近年人気の平屋は子育て世代向きかシニア層向きか?「平屋に関する意識調査2025」
注目されている平屋。平屋に対する消費者の声は?
平屋プランの人気が高まっている。
一般的な2階建ての住まいと比較すると、1階2階の上下移動がなく、ひとつのフロアでの平面移動のため、移動のしやすさはもちろん、効率的な家事動線を実現できるのが大きな特徴。また、家族の気配を感じやすくコミュニケーションが高まるとも言われている。ライフスタイルの変化に対応しやすく、将来的にも暮らしやすいのも魅力だろう。
最近では、各ハウスメーカーでも平屋の商品提案がなされ、多様なプランニングやデザインの住まいがみられる。では、この平屋プランに対して消費者はどのように捉えているのだろうか。
一条工務店が実施した「平屋に関する意識調査2025」をみてみよう。
平屋は「シニア層向き」か「子育て世代向き」か?
上下移動が少なく、フラットなフロアが特徴の平屋プラン。調査によると「平屋はシニア層に向いていると思うか」と尋ねたところ「とてもそう思う」が62.2%、「そう思う」が31.0%と、合わせると93.2%の人がシニア層に向いているプランと感じている。
一方で「平屋は子育て世代に向いていると思うか」という質問に対しては、「とてもそう思う」が32.0%、「そう思う」の40.7%を合わせると、72.7%の人が子育て世代に向いていると考えている。
従来であれば、平屋はシニア層向けというイメージを持つ人も多かったと思うが、家のどこにいても子どもの様子を把握でき、家事動線の短いプランは、仕事にも家事にも多忙な子育て世代にとっても使いやすいプランと言えるようだ。マンション生活を長く経験している世代も多く、上下移動のある多層階の住まいよりもその使い勝手の良さを実感しているケースもあるかもしれない。
一条工務店では「家族が自然と顔を合わせやすい間取りが特徴です。LDKを中心にすることでコミュニケーションがスムーズになり、各部屋へのアクセスもしやすくなります。また、すべての部屋が同じフロアにあるため、洗濯や掃除などの家事動線が効率的になり、作業時間を短縮できます」と平屋の特徴を挙げる。
また、空間のつくりを工夫することで広々とした住まいも実現できる。たとえば「勾配天井を採用することで開放感を演出したり、テラスやウッドデッキで屋内外をつなげることも可能。階段がないため子どもや高齢者にも優しく、将来にわたって快適に暮らせる住まいです」(一条工務店)
これから建てるなら…68%の人が「平屋」
機会があるなら平屋を建ててみたい、と希望する人も多くいるようだ。
調査では、「老後の暮らしを想定したうえで、現在の住まいで生涯暮らしたいと思うか?」と尋ねたところ、「住み替えると思う」と回答したのは61.2%。また「これから理想の戸建て住宅を建てられるとしたら、何階建ての住宅が良いか?」という質問に対しては、68%が「平屋」が良いと回答している。
「平屋」の人気の理由を、これから理想の戸建て住宅を建てるなら「平屋」が良いと回答した人の聞いたところ、トップは「階段の上り下りが不要」で84.6%。次いで「老後の生活のしやすさを考慮して」が80%、「生活動線・家事動線が効率的」が71.7%という答え。やはり、上下移動が少なく、フラットなフロアである平屋プランは、高齢化が進む中、できる限りわが家で過ごしたい、と願う人々にとっては、その可能性が広がる重要なプランニングのひとつなのだろう。
平屋をプランニングする際の注意点
人気の平屋だが、プランニングの際にどのような点に注意すればいいのだろうか。
通常、平屋プランの場合、屋根からの熱が伝わりやすいため、夏の暑さや冬の寒さへの対策として断熱性能を高めることが必要だろう。また、すべての部屋にアクセスしやすいことから防犯対策にも配慮を。開口部には、強靭な窓(ガラス)を取り入れる、必要であれば窓シャッター、人感センサー付きライトなどの設置も検討しておきたい。
また、平屋を建てる際に、こだわりたいポイントを尋ねたところ「収納の広さ・位置」と「効率的な動線」という回答が66.8%で同率トップ。どのような住まいでも収納プランは重要だが、限られたスペースである平屋の場合、ロフトや床下などデッドスペースを有効活用して収納スペースを確保することも考えられるだろう。
その他、平屋を建てる際に取り入れたい設備は「床暖房」が75.8%。次いで「太陽光発電システム」が74.6%、「全館空調」56.4%という結果だ。冷暖房空調計画の重要性は平屋に限ったことではないが、機器の設置スペースが不要で、ひとつの全体空間を暖めることができる床暖房が人気なのは頷ける。合わせて屋根面を活用して太陽光発電システムもエネルギーの環境からも必要と考える人も多いのだろう。
気になる建築費について調査では、「平屋は建築費が高くなりそうだと思うか?」は、「とてもそう思う」が21.7%、「そう思う」が45.6%と、合わせて67.3%の人が、建築費が高くなりそうだと感じている。
建築費に関しては、プランや仕様、取り入れる建材設備によって大きく異なる。しかし、メンテナンス費用に関しては、一般的に2階建てよりも足場などの設置が軽減されることから、多層階に比較すると抑えることも可能な場合もある。
平屋に限らず、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストを考慮して家づくりを進めることが大切だろう。
■取材協力
一条工務店
≪イイコト調査≫
https://www.ichijo.co.jp/research/article/hiraya/
「平屋に関する意識調査2025」
【調査概要】 調査手法:オンラインアンケート/調査期間:2025年2月8日(土)~2025年2月16日(日)/調査対象:全国の男女/有効回答数:905サンプル/回答者:女性486名、男性419名(20代85名、30代307名、40代190名、50代186名、60代114名、70代以上23名)※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100にならない場合がある。
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