幼稚園から発達支援施設への送迎に限界…。ママ友の「一人で頑張りすぎないで」の言葉が後押しに
監修:新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
児童発達支援を増やしたい!でも幼稚園からの通所は想像以上にハードで……
たーちゃんはプレ幼稚園の頃から5歳の今まで、10時~16時までと預かり時間が長めの発達支援施設に通所しています。
幼稚園に通い始めたばかりの頃は、土曜日だけ通所していました。
こちらの施設は送迎もしてくれるところなので、土曜日に通所する時は、自宅から施設への送りも迎えもお願いしていました。
年少の夏休み直前の頃、「もっと児童発達支援の時間を増やしたい!」と思い、平日で幼稚園が午前保育の日にも、幼稚園が終わったあとに通所することにしました。
午前保育のあとに通所する初日。
11時半に幼稚園にお迎え、自宅に戻って2人でお昼ごはんを食べ、自転車で施設に送っていき、16時にたーちゃんが帰宅……というスケジュールを考えていた私。
これが、思っていた以上にハードだとすぐに気づかされることになりました。
午前中に昼ごはんの支度をして幼稚園に向かいましたが、その日は雨だったため自転車に乗れず、たーちゃんを連れて徒歩やバスで移動する羽目に……。
分刻みのスケジュールで一日を何とか乗り切りました。
そのあとも、綱渡りのようなスケジュールで幼稚園と自宅、発達支援施設を行き来する日々……。
それに加えて気持ちの切り替えが苦手なたーちゃん。
一度自宅へ帰ってきたのに、また出かけなくてはいけないというのがストレスだったようでした。
癇癪がひどく、児童発達支援の開始時間に間に合わないことも度々あり……。
そんな日が続き、私自身も参ってしまいました。
そんな理由もあり、幼稚園にたーちゃんを迎えに来てもらって、施設に直接行くほうが、たーちゃんにも私にも負担が少ないのではないか?と思うようになりました。
頼りになるのはやっぱりママ友の情報!送迎事情を聞いてみると
ところで当時私には、たーちゃんと同じ幼稚園に通っている年長児のママ友がいました。
もともと親同士は顔見知りではありませんでしたが、たまたま公園で会って一緒に遊んだことがきっかけで交流するようになり、そのうちに、お互いの子どもが同じ発達支援施設に通っていることが分かったのです。
そのママ友から、午前保育の日には幼稚園からの送迎を利用していると伺っていたので、送迎の利用について気になることをたくさん質問させてもらいました。
私「発達支援施設の支援員さんに幼稚園で子どもをピックアップしてもらう時間は、何時にしてる?」
ママ友「通常保護者がお迎えに行く時間の10分前に来てもらってるよ。幼稚園の先生に聞いたら、お迎えの時間と被ると先生の手が足りなくてバタバタするみたいだから、その時間にお願いすることになったの」
私「子どもは幼稚園のどこで待っているの?」
ママ友「基本は教室の中だけど、迎えが少し遅くなったら職員室で待たせてもらっているみたい」
私「今まで何かトラブルはあった?」
ママ友「自分の目が届かないところだから心配だと思うけれど、大きなトラブルはないよ!でもしっかりスケジュール管理して、児童発達支援を受ける日は専用のリュックを忘れないようにしてる」
私「幼稚園の連絡帳には、その都度送迎を利用することを書いているの?」
ママ友「『通園鞄のほかに児童発達支援用のリュックを持たせている日は、ピックアップをお願いしている』と幼稚園の先生に伝えてあるから、毎回連絡帳には書いていないよ」
それぞれの施設によって対応は違うかと思いますが、たーちゃんの通う幼稚園と発達支援施設ではこういった流れになっているようでした。
保護者の立ち合いなしで送迎を頼むことに不安もありましたが、利用しているママ友から直接話を聞いてみて、大丈夫そうだと納得することができました。
さらに、ママ友が「一人で頑張りすぎないで!使える制度は使ってみて!」と、利用の後押ししてくれたこともうれしかったです。
そして、年少の冬休み直前から、児童発達支援施設に幼稚園からの送迎をお願いすることに決めました。
送迎について幼稚園と発達支援施設に相談。利用を開始することに
次に、通っている幼稚園と児童発達支援双方の承諾をもらうために相談してみました。ちょうど秋頃にどちらも面談があったので話をすることができました。
幼稚園では「12月の午前保育の日、発達支援施設の支援員さんに迎えに来てもらおうと思うのですが大丈夫ですか?」と話を切り出し、「年長の〇〇くんが利用している施設と同じで……」と続けました。前例があったおかげで話はスムーズに進み、ありがたかったです。事前にたーちゃんがASD(自閉スペクトラム症)であること、児童発達支援を受けていることを幼稚園の先生方に伝えていたのも良かったと思います。
施設側にも相談したところ、問題なく利用できるとのことでした。降園時にタイムカードの打刻が必要か、どこから入るか、何組か、などの情報についても、予め伝えておきました。
利用数日前には、たーちゃんにも発達支援施設の支援員さんが幼稚園に迎えに来てくれることを説明しました。不安感の強いたーちゃんが当日癇癪を起こさないために、説明を理解できなくても繰り返し伝えました。
そしていよいよ、利用当日。
たーちゃんは通園鞄と児童発達支援用のリュックを持ち、元気に登園していきました。
私も忘れ物のチェックを念入りに行い、連絡帳には何時に支援員さんが迎えに来るかを書いておきました。
ピックアップ予定の時間、トラブルはないかな……と、私はスマートフォンの傍でソワソワしていたのを覚えています。
その日は緊急の連絡もなく、予定していた時間にたーちゃんは支援員さんが運転する車に乗って、無事に自宅へに帰ってきました。
支援員さんに様子を聞いてみたところ、癇癪を起こすこともなく、スムーズに送迎の車に乗り、幼稚園から発達支援施設に移動できたとのことでした。
その話を聞いて、今後も問題なく送迎の利用をお願いできそうだと安心しました。
そして今でも、午前保育の日には送迎をお願いしています。そのおかげで、私もたーちゃんも負担が減り、助かっています。
幼稚園でも午後のお預かりをしてくれますが、発達支援施設で過ごすほうがたーちゃんはリラックスできるようなので、送迎を利用してこれからも併用する予定です。
この記事が、幼稚園から発達支援施設への送迎の利用を考えている方の参考になればうれしいです。
執筆/みかみかん
(監修:新美先生より)
児童発達支援施設の送迎利用について、具体的に聞かせていただきありがとうございます。
放課後等デイサービスだと、学校や家までの送迎があるところが多いですが、児童発達支援施設ではそこまで一般的ではないので、送迎サービスがある事業所もあるのだということ自体、知らなかった方も多いかもしれません。
みかみかんさんの場合、幼稚園が午前中で終わる日がもともとあるのですね。記事にあるように、幼稚園が終わって、一度お母さんの顔を見るとほっとしてしまって、さらにまた集団の施設に行くのがおっくうになるというのもよくあることかと思います。幼稚園→発達支援施設の外モードのまま行けるほうがスムーズと言うのは納得です。
送迎でトラブルが起きないように、事前の綿密な打ち合わせは重要ですね。また、お子さんによっては、事前の練習や手順書、発達支援施設の利用日かどうかが本人もすぐにわかる仕組み(記事にあるようなカバンを変えるというのは分かりやすいです!)など、いろいろ工夫は必要そうです。運用の仕方などは、施設による差や、通っている幼稚園・保育園によっても異なると思うので、施設・園と十分打ち合わせをされるようお願いします。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。