最新ランドセルは“かぶせ“なし 新1年生の使いやすさを最優先した《新デザイン》とは?〔2026年度入学モデル〕徹底取材
2026年度入学向けのランドセル選び=ラン活がスタート。既存の概念をくつがえす、かぶせ(ランドセルのふた)なしデザインなど、話題の新作を一挙紹介。2026年度入学向けラン活、第1回。
【写真➡】大人気ランドセル「土屋鞄」の話題カラーを見る春はラン活の季節。次の年度に向けたランドセル選びは、5月の大型連休が1度目のピークです。軽量化やカラーバリエーションの追加など、毎年新作が出揃いますが、今年の目玉は次世代を担う“かぶせなし”のデザイン! ランドセルのDNAを受け継ぎつつ、新しいエッセンスを加えた新しいカタチに注目です。
さぁ、今年も楽しいランドセル選びをしていきましょう!
人気ブランドから使い方を変える新設計
「天使のはね」で有名なランドセル大手・セイバンから新スタイルブランドとして2023年に登場した「+CEL(セル)」。
洗練されたデザインが人気ですが、今期の注目は“かぶせ(ランドセルのふた)なし”の新モデル「NOBLE(ノーブル)」(全4色、88,000円・税込)です。
「手掛けたのは、人気プロダクトデザイナーの柴田文江さん。みなさんが愛着を持つ『ランドセルらしさ』を残しつつも、新しさを取り入れたこれまでにないデザインです」(「+CEL」担当セイバン・石田ゆうさん)
ぱっと見ではかぶせなしには見えない形は、ランドセルの良さを残すデザインにこだわった。 写真提供:+CEL
今一度ランドセルをカバンとして見直し、使いやすさを考慮した結果、かぶせをなくして、上部を開閉口とすることに。子どもたちが開け閉めしやすく、荷物も取り出しやすくなりました。
「上から開く機能性と、ふたの丸いフォルムには職人の技術がこめられています。一目でランドセルだとわかる形ながら、使ってみると革新的だとわかっていただけると思います」(+CEL・石田さん)
こだわりは細部にも感じます。
「背面はランドセルのカラーに合わせ柴田さんがデザインしたチェック柄、鋲や金具までオリジナルです。親子ともに反響がよく、特にお子さん自身が気に入ってくださるという点で、早い段階での購入の決め手になっているようです」(+CEL・石田さん)
発売前から「開けてみたい!」の声多数
創業50周年のランドセルメーカー・ララちゃんランドセルのららやが2025年に発売したのが、新発想の高機能ランドセル「トップん」。
「ランドセルが、ずっと変わらぬ形で愛用されるのには理由があると思っています。『6年間どんなに元気に使っても壊れない』『転倒しても厚みと形状で頭を守ってくれる』『雨にも汚れにも強く衛生的』などなど。
子どもの通学がランドセルでなくてはいけない意味を置き去りにせず、新しい使い方を提案したのが『トップん』です」(ららや・唐橋亮平さん)
子どもがランドセルを開閉しやすい“毎日の使いやすさ”に着目。かぶせ(ふた)上部にあるマークを引っ張るとワンタッチで開き、閉めるときは磁石を近づけるだけと超簡単。
内側のかぶせ部分は下におろすと磁石があり、時間割り部分がひと目で見えるようにパチッと本体に引っ付きスマートに取り出せます。
縦に置いた状態で、上部のハートマークを引っ張るとワンタッチで開く「トップん フルール」。開いた後は、時間割が入ったファイルが見やすい。 写真提供:ららや
スタイリッシュなデザインの「トップん VONDSコンバーチブル」。 写真提供:ららや
「トップんは、2シリーズで全4色(66,000円・税込)。ジュエリーボックスのようなデザインの『トップん フルール』は、グレージュとフロスティブルーの2色。
繊細な刺繡は、自社工場で1枚1枚、ていねいに施しています。シンプルなスタイルの『トップんVONDSコンバーチブル』は、ブラックとネイビーブルーの2色展開です」(ららや・唐橋さん)
この新しい開閉スタイルはリリース前からSNSで話題となり、多くの問い合わせがありました。
「小学校に在学中のごきょうだいがいる家庭から、『トップんに買い直したい!』という声も。初めてラン活をする方からも、かわいい、開けてみたい、背負ってみたいと好評です。
近年、ランドセルの新たな選択肢が増えきました。これからは《上から開くランドセル》の認知を広め、スタンダードにしていけたら。ララちゃんランドセルはランドセルメーカーのパイオニアとして、機能的な《使って楽しい商品》を開発してまいります」(ららや・唐橋さん)
大きく開いて ランドセルの横から出し入れが可能
2024年に発売以降、「横からも荷物が出せる!」「毎日の支度がラクになった」と話題の、軽・開ランドセル「パッかる」(全6色、24,200円・税込)。一見すると、普通のナイロン製通学リュックに見えるのですが……。
軽さを重視したナイロン製の通学リュックが主流となるなか、「パッかる」だけの驚きの機能とは……。 写真提供:プラス
新1年生が扱いやすいランドセルを追求した結果、「軽さ」に加えて、「支度のしやすさ」に着目。
ファスナーの位置によって開閉が自由自在のフルオープン構造なので、上からも横からも出し入れが可能。ロッカーに置いたまま、棚に置いたままでもすぐに荷物を出し入れできます。
ロッカーに入れたままタテヨコ自由な向きから開閉ができる。 写真提供:プラス
「自分の荷物の管理が上手くできない子どもたちが支度でつまずかないように、出し入れのしやすさに配慮しました。
コンセプトは『カブセがないから パッと出し入れ軽々お仕度』。通学と支度をもっとスムーズ&軽快にという想いをこめています。新1年生だけでなく、買い替えを考えているご家族にも検討していただいております」(プラス・佐久間智子さん)
ランドセルとリュックサックのいいとこどりをしたデザインなうえ、薄く折りたたむこともできるのが驚きです。
「ファスナーを全て開いて折りたためばフラットになるので、省スペースな点も喜ばれているんです」(プラス・佐久間さん)
フルオープン仕様なので、折りたたむとぺたっとほぼ平面に! 省スペースで、使わない時期の管理も助かりそう。 写真提供:プラス
近未来を連想させる曲線デザイン
ランドセルの抱える課題を考えるなかで、いっそ「かぶせ」を取ってしまったらどうかという発想から生まれたという「ミライロ アラベスク(全3色、55,000円・税込)」(トップバリュ)。
「こだわったのは、ランドセルのフォルムは残しつつも、ミニマルで近未来的な美しい曲線デザイン。ファスナーで開閉するため、従来のランドセルとは全く異なる機能性を持っています」(イオンリテール・山下琳さん)
従来の常識にとらわれない、ファスナーで開け閉めする新しいカタチのランドセル。 写真提供:イオンリテール
デザインのインパクトはさることながら、軽くて丈夫な点や、背あてに重さを分散させるY字クッション、体に沿うように考えられた立体型肩ベルトなど、フィット感と通気性を考慮したこだわりも。
「お子さんのイメージするランドセルのカタチとは少し違うので、ラン活中の親子には驚かれます。個性・多様性が尊重されるこれからの時代、多くのお子さんたちがもっと自由に、自分らしいランドセルを選んでいってほしいです」(イオンリテール・山下さん)
自分だけのランドセルを探している子に
“かぶせなし”ではないものの、ありそうでなかった新しいランドセルのあり方を提案するのが、セイバンの「3way ShuShu(全4色、82,500円・税込)」。
なんとランドセルに、取り外せるサコッシュやポシェットがくっついて、ランドセル、サコッシュ、ポシェットといった3通りの使い方ができます。
「ランドセルの用途をもっと広げられないかと思案するなかで、前ポケットを取り外して、サコッシュやポシェットに付け替えられれば、学校だけではなく日常でもカバンとして使用できるのではないか、と考えつきました」(セイバン・松井満和子さん)
そこで、付け替えできる2タイプのポケット(ポシェット型、サコッシュ型)と、ショルダーストラップをセットに。
ランドセルのポケットにハンカチなどを入れておけば、帰宅後はポケットを取り外しショルダーストラップを付けて、すぐにおでかけへ! ポケットはサコッシュ型とポシェット型の2種類両方が付く。 写真提供:セイバン
「学校だけではなく、日常使いをすることで、子どもたちが自由に楽しんでもらえればと考えています。近年『自分だけのランドセル』を探す方が増えていると感じます。セイバンでは、機能面での開発はもちろん、さまざまな『好き』に応えるランドセルを展開していけたらと考えています」(セイバン・松井さん)
─・─・─・─・─・
次回は、物価高騰が進むなかで、低価格を維持するランドセルブランドにインタビュー。2万円台前半の人気シリーズを発売する「ツバメランドセル」と、3万円で最新技術を詰め込んだ「ニトリのランドセル」、2社に安さの秘密を聞いてみました。
取材・文/遠藤るりこ
【取材協力と新作ランドセル】
●+CEL(セル)
NOBLE(全4色)
88,000円(税込)
※2025年2月13日発売
●ららや
ララちゃんランドセル トップん(全4色)
66,000円(税込)
※2025年1月17日発売
●プラス株式会社
軽・開ランドセル「パッかる」(全6色)
24,200円(税込)
※2024年8月発売
●イオン
かるすぽ ミライロ アラベスク(全3色)
55,000円(税込)
※2025年3月1日発売
●株式会社セイバン
3way ShuShu(全4色)
82,500円(税込)
※2024年2月6日より販売開始