「インチキですよ」ガソリン価格引き下げで検討の補助金に経済評論家が指摘
4月7日(月) 寺島尚正アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『おはよう寺ちゃん』(文化放送・月曜日~金曜日 午前5時00分~9時00分)が放送。月曜コメンテーターで経済評論家の上念司氏と、ガソリン価格について意見を交わした。
法律をいじりたくないから補助金で
寺島アナ「政府、与党が物価高対策として6月から実施するガソリン価格抑制の補助金について、値下げの幅を1リットル当たり10円とする案を軸に検討していることが昨日わかりました。現行制度では市況に関わらず185円程度に抑えていますが、こうした目安は廃止して、定額の抑制策に切り替えると言います。最近の市場動向に照らせば、今の補助制度よりも価格が下がることになりますが、原油相場が高騰すると消費者の負担が増す恐れもあるといいます。トランプ政権の関税政策を受けて、国内には景気の悪化懸念がくすぶります。参議院選挙が夏にありますが、これを見据えて家計支援を重視する姿勢を打ち出すのが狙いです。財源は既存の基金を活用し、予備費などは使わない方向だといいます。政府にとっては、定額の抑制幅とすることで財源の見通しがつきやすくなる利点があります。上念さん、この動きはどうご覧になりますか?」
上念「2重の意味で的外れかもしれない。なぜなら原油価格が急落しているからです。先週金曜日に1バレル71~2ドル近辺から61~2ドル近辺まで…」
寺島「今、61.99ドルです」
上念「ああ、62ドル割っちゃった。これはもうちょっと下がるかもしれません。ずっと1バレル66ドルがWTI(原油先物)の下の壁だったんですけど、壁を一気に抜いちゃったので、こういう時はだいたいエネルギーが下方向に思いきり放出されてオーバーシュートするので、このガソリンの高価格抑制策が実現される頃には、こんなのいらないんじゃないかというぐらい値段が下がっている可能性があります。それが一つと。あともう一個は、例のトリガー条項の凍結です。租税法律主義といって、法律をちゃんと作らないと税金は取っちゃいけませんよね。なぜかというと、アメリカ独立戦争時の「代表なくして課税なし」という言葉を歴史で習ったでしょう。要は、国民に選ばれた代表が税金を取っていいと決めたから取れるわけであって、そうじゃないのはダメなんですよ。道路特定財源の一般財源化を勝手にしちゃったでしょ。あれは法律にもとづいて無いはずなんです。だからトリガー条項の凍結なんてとんでもない話で、もらっちゃってもう予算のあてにしてますからやめられませんっていうのは理由にならないんですよ。いや、そうじゃない、租税法律主義だろうって話なんです。法律をいじりたくないからこんな補助金でっていつもやるんですけどインチキですよ」
寺島「なるほど、いじりたくないからなんですね」
上念「だから、ちゃんとやったほうがいいと思いますよ。日本は法治国家なんだから」