赤ちゃんにベストな室温と湿度は? 快適な環境づくり 〜赤ちゃんが生まれたらやるべきこと(14)〜
新生児は体温調整機能が未発達なため、外の気温や環境の変化に敏感です。そのため、ママやパパは赤ちゃんが快適にすごせる環境を整えてあげることが大切です。この記事では、赤ちゃんにとって理想的な居住環境を作るための温度や湿度の管理方法などについて解説します。
目次体温調節がうまくできない赤ちゃん湿度は50~60%を保ちましょう空気の乾燥は肌だけではなく、鼻のトラブルの元になることもママとパパで協力して環境づくりを掃除機の排気にも気をつけて お掃除シートも上手に活用
体温調節がうまくできない赤ちゃん
人間は、寒いときには末梢血管が収縮しからだから熱が奪われるのを防ぎ、暑ければ末梢血管が広がって熱を体外に放出するなどして体温調節をしています。しかしこれは、自律神経が発達している大人の話。
生まれたばかりの赤ちゃんは体温調節機能が未熟なため気温に影響されやすく、また成長のために多くのエネルギーを消耗していることもあり、寒いと体温が下がり、暑いと体温が上がってしまいやすいのです。だからこそママ、パパはお部屋の温度をできるだけ一定に保って、暑さや寒さから赤ちゃんを守ってあげる必要があります。
赤ちゃんに快適な室温は?
夏場は25~28℃、肌寒い時期は20〜25℃くらいが快適にすごせる室温といわれています。季節にあわせてエアコンなどを使って室温を保ちましょう。
赤ちゃんを部屋のどこですごさせてあげる?
暖かい空気は天井近くに上昇し、冷たい空気は床付近にたまりやすく、窓の近くは外気の影響を受けやすいなど、同じ部屋の中でも場所によって温度は変わります。
そのため、自宅の適温をつくりやすい場所や高さにベビーベットを置き、赤ちゃんが快適に眠ることができる場所を用意してあげます。直射日光や、エアコン・扇風機などの風が赤ちゃんに直接当たらないようにすることも忘れずに。
床暖房やホットカーペットを使用する際は注意を
床暖房やホットカーペットを使うときは、直接赤ちゃんを床に寝かせることは避けましょう。電気式の床暖房やホットカーペットは、設定温度より実際の接触面の温度が上がってしまう場合があるためです。温かいからと床暖房の上に寝かせておいて、からだが温まりすぎて汗をたくさんかいてしまう、ということにならないようにしましょう。
赤ちゃんの皮膚は薄いので、低温やけどには注意が必要ですが、床暖房の低温やけどについては、あまり心配はいらないかもしれません。電気式の場合、室温20℃で表面温度は35℃前後。温水式の場合も、一般的に表面温度が30℃~32℃になるように設定されています。表面温度が40℃を超えるような“高温設定”の場合は、長時間使用するには注意が必要ですが、基本的な設定であれば問題ないでしょう。
一方ホットカーペットは、「強」設定にした場合、表面温度が40℃〜45℃になるものがあり、長時間の接触にはご注意ください。
赤ちゃんにとって快適かどうかわからない…
室温は適温にしているけれども、赤ちゃんが本当に快適かどうか、心配なときもあります。大人にとっての快適さとも違うでしょうし、言葉や態度で明確に伝えてくれるわけでもありません。また動いている大人と、じっとしている赤ちゃんとでも感じ方は違うはずです。
実際に赤ちゃんのからだを触って様子を確かめてみることも大切です。汗ばんでいるときは、エアコンの設定を下げるか、着ているものを脱がせるなどしてください。ちょっと寒そうかもと思ったときは、肌着を重ねて着せたり、胴着などのウェアで調節をするのもいいでしょう。
夏の赤ちゃん服の選び方については、こちらの過去記事(「赤ちゃんの夏服 【0〜12か月】月齢別 服選びのポイント」)を、冬はこの過去記事(「冬はなにを着せたらいい?赤ちゃんの初めての冬服選びのポイント」)を参考になさってください。
湿度は50~60%を保ちましょう
赤ちゃんの肌はとってもデリケート。皮脂が十分に分泌されず、皮膚の厚みは大人の半分しかないといわれているほど薄く、乾燥しやすいのが特徴です。ちょっとした刺激で荒れて、湿疹になってしまうこともあります。
理想的な湿度って?
乾燥性の湿疹はクリームなどでの保湿ケアすることはとても効果的です。ですが、その前に室内の湿度を適切にすることが重要です。
赤ちゃんにとって理想的な湿度は50~60%。とくに冬は湿度が下がり、さらに暖房のせいで空気が乾燥するので、加湿器などを上手に利用して湿度をコントロールしましょう。加湿器は赤ちゃんが直接触れない場所で、床から1メートルほど高さのあるところに置くと、効率的に加湿することができます。
加湿器がない場合は?
洗濯物を部屋干しにしたり、濡れたバスタオルをかけておいたりするだけで湿度を上げることができます。また、暖房だけに頼らず、肌着やその他のウェアの重ね着で調節できるかどうか考えてみるのも、乾燥から赤ちゃんを守るためには大事なこと。様子を見ながら対処しましょう。
高すぎる湿度も注意が必要です
湿度を上げすぎると、室内のカビやダニの発生を促すことにもなりかねません。湿度計を使って、ときどきチェックしながら、温度とともに適切な状態をキープするようにしたいものです。赤ちゃんにとって理想的な湿度である50~60%を保っていれば、カビ発生の心配はしなくてもいいでしょう。
空気の乾燥は肌だけではなく、鼻のトラブルの元になることも
乾燥は肌へのダメージだけでなく、鼻トラブルを起こすこともあります。赤ちゃんは、のどや鼻の粘膜からの分泌物が多いのに鼻腔が狭いので、空気が乾燥していると鼻水が乾いて固まってしまうのです。とくに新生児は口で呼吸をすることができないので、鼻をフガフガさせて苦しそうに息をします。
ですから、室内の湿度に気を配ることが大切。のどや鼻の粘膜が炎症を起こさないようにすると、風邪などのウィルスが体に侵入するのを防ぐことにもつながります。
もし鼻がフガフガいいはじめたら
まずおすすめはお風呂に入れること。からだを温めて、同時に鼻腔に湿気を与えられることで鼻の通りがよくなりますよ。
30代の先輩ママはこうアドバイスしてくれました。
「熱がないことをまずは確かめてからですけど、お風呂に入れるのはいいですよ。体が温まって血行がよくなるし、水分をたっぷり含んだ空気を吸い込んで鼻の通りがよくなるんです」
「点鼻母乳」という方法も
点鼻薬代わりに母乳を鼻にさすという方法もあります。実は母乳には抗炎・抗菌作用のある成分が含まれていて、炎症による鼻づまりに効果的だともいわれています。
「私もこれは先輩ママに教わった方法です。母乳を少し絞ってスポイトで吸いとって鼻の穴にたらすのですが、やってみたら本当に子どもが楽に呼吸を始めました。しぼりたての母乳でスポイトを鼻に入れないように気をつけながらやるといいと思います」(20代ママ)
こちらのママがいうように、母乳点鼻を行うときは必ずしぼりたての母乳を使いましょう。また粉ミルクでは代用できないので注意してください。
鼻水吸引器も効果的です
テいろいろな種類が販売されていますが、吸引力のある電動の据え置き型の鼻水吸引器は効果的なようです。なお鼻水の中にはウイルスや細菌などの病原体や炎症を引き起こす物質が含まれていることがありますので、ママやパパが赤ちゃんの鼻を直接口で吸うことは避けてください。
ママとパパで協力して環境づくりを
からだの機能が未熟で細菌への抵抗力が弱く、皮膚や腸のバリア機能もできあがっていない赤ちゃんの体は、アレルギーのもとになる物質の侵入にも気を使う必要があります。閉めきったお部屋の中には、目に見えなくても「ハウスダスト」と呼ばれるホコリやダニがたくさん浮遊しているのです。
ハウスダストはどこに集中している?
赤ちゃんが長い時間をすごすベビーベッドや布団、部屋のカーペット、カーテンなどもハウスダストが発生しやすい場所です。
ねんねの赤ちゃんも、ハイハイを始めた赤ちゃんも、大人よりも床に近いところで生活しているため、もしハウスダストがたまっていれば、吸いこんでしまう可能性がより高くなります。
ベビーベッドはハウスダスト対策にもなる
床に近いところに溜まりやすいハウスダスト。ほこりが舞いにくい“高さ”にあるベビーベッドですごさせることは、ハウスダスト対策にもなります。またベッドは、おむつを替えたり着替えさせたりなど、お世話もしやすくなります。
何より大切なのは毎日のお掃除
掃除機をかけ、棚やカーテンなど高いところはホコリ取りでふき取って、お部屋からハウスダストを追い出しましょう。赤ちゃんが眠る場所は、ほこりが立ちにくく、風通しのよい場所に確保してあげてください。
てんてこまいで掃除まで手が回らない…
赤ちゃんの世話に追われていると、思うように掃除ができないものです。先輩ママ、パパがこんな体験談を話してくれました。
「ふだんはモップで床や家具のホコリを拭くだけにして、パパが早く帰った日の夕食後や休日に掃除機をかけています」(20代ママ)
「毎日ではありませんが、余裕があるときは出社前の15分間、僕が掃除機をかけるようにしています。子どもには健康に育ってほしいですから」(30代パパ)
「外出時にロボット掃除機に働いてもらってます。ロボットが隅々まで動けるよう、床にモノを置いたままにしないようにして外出しておけばOK」(30代ママ)
掃除機の排気にも気をつけて お掃除シートも上手に活用
お部屋をきれいにしてくれるはずの掃除機ですが、排気口からは微粒子の粉じんがかなりの数で排出されているという調査結果もあります。掃除機をかけているときやかけた後30分ぐらいは、窓を開けるなどして十分な換気を行いましょう。
空気清浄機で浮遊しているホコリなどを吸い込む
掃除機をかけるときは、赤ちゃんは別のお部屋へ。もし、赤ちゃんを移動させられないような場合は、フローリング用のお掃除シートを利用して、ふき取るのもよいでしょう。
PM2.5や花粉などが特に気になるようであれば、空気清浄機を使うなどの対策をとってもいいかもしれません。フィルターの掃除や交換もきちんとおこなって、きれいな環境を整えたいものです。
いかがでしょうか。神経質になりすぎる必要はありませんが、環境を整えることは赤ちゃんが元気に成長する上でも重要です。お部屋の温度と湿度を一定に保ち、ダニやハウスダストなどを取りのぞいて、快適な環境をつくってあげたいですね。