「死にたくても死ねない」「永遠に生き続けるとは?」不死身キャラの苦悩を描いた映画5選
2025年7月2日(水)より、Netflixで『オールド・ガード2』の配信が開始しました。何世紀にも渡って、歴史の影で誰にも知られることなく人類を守り続けてきた永遠の命を持つ不死身の傭兵たちを描いた前作。ラストシーンで登場した重要人物が最新作でどのように立ち回るのかにも期待が高まります。
「不老不死」と言えば古くは秦の始皇帝が求めたように、人類にとっての究極のあこがれともいえますが、そこには「不老不死」だからこその苦悩や葛藤も存在するようです。そこで、ハリウッドの最新作から日本アニメの名作、文学的SF作品まで、「不死身」のキャラクターが活躍する珠玉の5作品を紹介します。
『オールド・ガード』
公開年:2020年(Netflix配信)
監督:ジーナ・プリンス=バイスウッド
出演:シャーリーズ・セロン、キキ・レイン、マティアス・スーナールツほか
【あらすじ】
数千年もの間、不死身の能力を持ちながら人類を守り続けてきた戦士チーム「オールド・ガード」。リーダーのアンドロマケ(アンディ)をはじめとする4人の戦士たちは、新たに不死身となった海兵隊員ナイルと出会い、自分たちの秘密を狙う組織との戦いに巻き込まれる。
【おすすめポイント】
Netflix配信作品として世界的な話題となった、不死身というテーマを現代的なアクション映画として見事に昇華させた本作。シャーリーズ・セロンの圧倒的なアクションと、数千年を生きる戦士たちの孤独感や使命感が丁寧に描かれており、単なるアクション映画を超えた深みがあります。特に、永遠に生き続けることの重さと、それでも人類を守り続ける意志の強さが印象的。
『デッドプール&ウルヴァリン』
公開年:2024年
監督:ショーン・レヴィ
主演:ライアン・レイノルズ、ヒュー・ジャックマンほか
【あらすじ】
再生能力により実質的に不死身のデッドプールが、同じく驚異的な治癒能力を持つウルヴァリンとタッグを組んだ『デッドプール』シリーズの第3弾。マルチバースの危機に立ち向かう二人の不死身ヒーローの活躍を描いたアクション・コメディ。
【おすすめポイント】
2024年最大の話題作の一つとなった本作では、二人の不死身キャラクターの対照的な魅力を存分に楽しめる。デッドプールの軽妙なユーモアとウルヴァリンの重厚なキャラクターが絶妙にバランスを取り、再生能力を活かした過激なアクションシーンは圧巻。特に、死を恐れずに戦える二人だからこそ可能な、常軌を逸したバトルシーンは他にはない爽快感を味わえるはず。
『人魚の森』
公開年:1991年(OVA)、2003年(TVアニメ全13話)
原作:高橋留美子
【あらすじ】
人魚の肉を食べることで不老不死となった青年・湧太。500年もの時を生き続ける彼は、同じく人魚の肉で不死身となった少女・真魚と出会う。しかし人魚の肉は、永遠の命と引き換えに恐ろしい呪いももたらしていた。
【おすすめポイント】
高橋留美子の代表作の一つである「人魚シリーズ」の映像化作品で、不死身というテーマを深く、そして美しく描く。永遠に生き続けることの孤独感や絶望感を、日本的な情緒と共に表現しており、西洋的な不死身描写とは一線を画す独特の世界観を持っています。人魚の肉による不死身化という設定は、日本の民話的要素と現代的なホラー要素を見事に融合。特に、不死身であることの重荷と、それでも生きる意味を探し続ける主人公たちの心情は、観る者の心に深く響きます。
『Arc アーク』
公開年:2021年
監督:石川慶
主演:芳根京子
【あらすじ】
記憶を保持したまま転生を繰り返す女性リナの物語。世界的SF作家ケン・リュウの傑作短編小説「円弧」を原作とし、死と再生を通じて愛する人との関係、そして自分自身のアイデンティティについて考える近未来SF作品。
【おすすめポイント】
ヒューゴー賞作家ケン・リュウの原作を石川慶監督が映像化した文学的SF作品。従来の不死身映画とは異なり、転生という形での永続的な存在を扱っており、哲学的な深みも感じさせる。芳根京子の繊細な演技により、何度も生まれ変わりながらも愛し続ける女性の心情が丁寧に描かれる。記憶を保持したまま転生するという設定は、アイデンティティとは何か、愛とは何かという根源的な問いを投げかける。
『永遠に美しく…』
公開年:1993年
監督:ロバート・ゼメキス
主演:メリル・ストリープ、ゴールディ・ホーン、ブルース・ウィリス
【あらすじ】
女優マデリーンと作家ヘレンは、美貌と若さを永遠に保つ秘薬を手に入れ、不老不死の身体を得る。しかし、死ねない身体となった二人は、予想もしなかった数々のトラブルに巻き込まれることに……。
【おすすめポイント】
第65回アカデミー賞視覚効果賞を受賞した、不死身テーマのブラック・コメディーの傑作。メリル・ストリープとゴールディ・ホーンの名演により、不老不死への憧れが皮肉な結末を迎える様子がコミカルに描かれます。永遠の美と命を手に入れた代償として失うものの大きさを、笑いの中に込めた脚本は秀逸。不死身というテーマを、恐怖やアクションではなくコメディとして昇華させた、ユニークな発想は現代でも色褪せない魅力を持っています。
「不死身」というテーマを様々な角度から描いた、それぞれが異なる魅力を持った5作品でした。アクションの爽快感、哲学的な深み、コメディの軽妙さ、そして日本独特の情緒まで、不死身のキャラクターたちが織りなす物語の多様性を楽しむことができます。『オールド・ガード2』の配信を前に、不死身キャラクターの魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。