フランス語は「楽しく」「耳で覚える」! 10月新開講「NHKテレビ しあわせ気分のフランス語」出演・田中道子さん インタビュー<前編>
10月1日に新シーズンの新開講を迎える「NHKテレビ しあわせ気分のフランス語」。番組に出演するのは、俳優の田中道子さん。俳優業のかたわら、バラエティ番組で水彩画・色鉛筆の才能を発揮したり、合格率10%弱とも言われる難関資格の一級建築士試験に一発合格したりと、多趣味で努力家な姿が注目を集めています。
今回が初めての挑戦となるフランス語学習への意気込みを伺いました。
~9月18日発売『NHKテレビテキスト しあわせ気分のフランス語』10月号巻頭インタビューより増補のうえご紹介します。
憧れの大聖堂があるフランスに興味津々!
フランスに行ったこともフランス語に触れたこともなかったので、今回は新しい扉を開ける気分ですね。
でも、ヨーロッパやフランスの文化にはずっと興味がありました。私は建築を学んでいるんですが、ヨーロッパ建築の中で一番好きなのが大聖堂。なかでもフランスにある、ステンドグラスがとっても美しいシャルトル大聖堂、フランス最大のアミアン大聖堂の2つがとりわけ大好きなんです。
出演の話が決まったときは語学知識ゼロだったので、「私で大丈夫なのかな?」と不安もありました。今は、語学習得した暁には絶対にフランスに行きたい、この経験を生かさないともったいないと思っています。フランス語ができれば、現地の方ともコミュニケーションがたくさんとれますし、奥深い旅ができるはず。今から楽しみでなりません。
意味もわからず耳だけで覚えたフランス語が、今や口をついて出る
実は私、小さい頃から好きなフランス語の曲があって、フランス語スタッフさんの前でもその曲を歌ったんです。ワンフレーズしかわからないんですけど…(編集部注:インタビューの際、実際にワンフレーズ歌ってくれました)。
マネージャーさんが調べてくれたところ、「美しい人」というテレビドラマの挿入歌として使われた曲らしいのですが、私はそのドラマのことを知らないので、多分何気なく聞いたのを耳だけで覚えていたようです。
改めてその曲を聴いてみたら、結構、歌詞の通りに歌えていたんですよね。フランス語って、文字などを見るとなんだか発音しにくいタイプの言語のように思われるかもしれないですが、こんな風にまずは耳で覚えていけたらいいなって思っています。
ちなみに私が覚えた歌詞の響きが「アクア」に似ていたので、てっきり「水にまつわる歌かな」と思っていたのですが、後々調べたところ、まったく違う意味でした…。
いつか、そう遠くない日に、この曲の歌詞の意味がわかるようになりたいな、どんな歌なのか知りたいなって思います。私にとってフランス語学習の目標の1つですね。スペイン語やイタリア語では特にそういったエピソードはなくて、本当にフランス語のこの曲だけ。何やら不思議なご縁があるのかもしれません。きっと幼かった私の心に何かが刺さったんですね。
日々の中にある、2つの“しあわせ気分”
私がハピネスを感じる瞬間には、2タイプの要素があります。
1つは、“達成感”。今の自分のキャパを超えていることにトライして無事に達成できたときとか、自分の成長が感じられる瞬間に、年々、喜びを感じます。子どもの頃は、何かができても、「わーい」くらいにしか思わなかったんですが、近頃は何かに到達できたときに「大人になっても新しいことをこんなに覚えられるんだ」「こんなこともできるようになるんだ」と、涙が出ちゃうくらいにうれしくなりますね。しあわせになるんです。
もう1つは、“没入感”。私は集中するタイプで、だからこれは日々の中でいっぱい感じますね。例えば趣味に没頭しているとき。私は昔からピアノやハープなどの楽器を弾くんですが、弾き終わってふと気づいたら汗だくになっていて、すごく時間が経っていた、みたいなことはざらにあります。没頭して頭や心を空っぽにすることでストレスフリーになれる。結果、しあわせにつながっています。
だから、何かに打ち込める趣味の時間は、とても大事にしています。絵を描くことも好きで、描き始めると、ごはんもいらなくなるんですよ。アドレナリンが出ているようで、睡眠も削れちゃう……。まぁ、食事や睡眠は削ってはいけないから、これは短所でもあるかもしれないんですけれど。ともかくも何か好きなことに没頭できるっていうのは、自分にとっては大切でかけがえのない、しあわせを感じる時間です。
たくさんある趣味の中に、今度は新しくフランス語が入ってきそうです。いつかフランス映画が字幕なしで見られるようになるかも⁉ 実は建築用語にはフランス語由来のものが結構あるんですよ。メゾン(maison)とか。そういった好きなことどうしの知識のつながりも楽しめるかなって思っています。
フランス語を話す自分、めちゃくちゃすてきじゃない? と想像してみましょう
こういう話ばかりしていると、「ストイックだね」と言われがちなんですけど、いえいえ、普通に休みの日にする2度寝もしあわせです(笑)。私としては好きなことをついついやっちゃうっていうだけで、けっして無理はしていないんです。
興味がないものがあんまりない、ともいえますね。なかでも特に興味があるものをギュッと突き詰めたのが今の私なんですけど、いつどのタイミングで究めるかの違いがあるだけで、どのジャンルのことだってとことん知りたい。知らないと損をするからというより、知ると得だし楽しいことのほうが多い、っていう感覚ですね。
実際、たとえば番組「解体キングダム」の現場で1つ情報を得ると、違う現場で得た知識と結びついて「なるほど!」と新しい気付きにつながることがあったりします。知識を深めることの相乗効果ですね。「知ろう、ちょっと練習してみよう」という感覚や欲みたいなものは私にとっては本能的なもので、昔から好きなものへのチャレンジに対してハードルが低いんです。
でも読者のみなさんも、番組を見たり、テキストを手に取ったりしている時点でそのハードルを越えてますよね。みなさん、ぜひご一緒に切磋琢磨しましょう。
「どうしよう、やろうかな?」と、まだお悩み中、たまたま記事が目に入ったという方には、「フランス語を話せるようになった自分、めちゃくちゃすてきじゃない?」って想像してみていただきたいです。私も一級建築士の試験勉強のときに「一級取ったら無敵でしょう!」みたいなことをよく考えていました。
新しいことを始めると人生の幅も広がるし、合理的な言い方をすると損がなくて絶対プラス。さらに言語習得の場合は、どんな方にとってもいい趣味になると思うんです。だから「フランス語って難しいんでしょ…?」などと思わずに、敷居を下げましょう。数字の1から10を言う練習をするだけでもいいと思います。小さなことでもまず始めれば、そこから広がっていくと思うんです。
◆撮影=森 浩司/スタイリング=青柳裕美(Azzurro)/ヘア&メイク=山田典良/取材・文=編集部
田中道子(たなか・みちこ)
俳優。静岡県出身。「ミス・ワールド2013」の日本代表に選出され、世界大会ではベスト30に。その後ファッションイベントの「GirlsAward」、「TOKYO RUNWAY」などへの出演を経て、2016年に俳優の活動を開始。『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日)、『解体キングダム』(NHK総合)、『新美の巨人たち』(テレビ東京)などに出演するほか、『プレバト!!』(MBS/TBS)では水彩画・色鉛筆の才能を発揮するなど多方面で活躍中。
NHKテキスト『しあわせ気分のフランス語』では、会話で使えるフレーズを紹介。基本文法はもちろん、初心者がつまずきがちなつづりと発音も丁寧に解説しています。