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安心、楽しい登山を 釜石・橋野地区最高峰「片羽(葉)山」 住民ら、合目標識を新調

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 釜石市橋野町の「片羽(かたば)山」(標高1313メートル)の登山道に設置されている合目標識が新しくなった。もともとあった標識は歳月を経て朽ちたりしていたことから、地元の橋野町振興協議会が新たに作製。釜石勤労者山岳会の協力で設置した。「いい山だよ」と住民が誇る里山。実は、“隠れた名峰”として地域外から登山客が訪れているといい、「安心して楽しんでほしい」との思いが込められている。

 7月6日に行われた作業には同協議会や同山岳会の会員、一般市民ら約15人が参加した。しっかりとした支柱が付いた標識や設置作業に使うハンマーなどの道具は程よい重さがあり、山岳会員が中心となり背負って歩行。5~9合目と、ルートを示す矢印の標識を計7カ所に設置した。

合目標識や穴を掘るための道具などを持ちながら山道を歩く


橋野町振興協議会と釜石勤労者山岳会の会員らが協力して設置


 標識を新調するきっかけは昨年秋、市の出先機関・栗橋地区生活応援センターが企画した住民向けの登山会。同センターの二本松由美子所長(59)らによると、ペンキやニスで塗装された木製の標識はクマなどがかじり壊されていたり、経年劣化で朽ちたりしていた。また、ルートが二手に分かれた箇所があり、山頂方面とは別の道を進んで戻るという経験もしたことから、「安心して登ってもらうために新しいものを」と同協議会と相談し、作製した。

もともとある4合目の木製標識。半分ほどが欠けている


迷いそうな場所には矢印の標識。標識の奥に道が続くも山頂とは別ルート


 設置作業は5月に実施する計画だったが、雨天のため延期されていた。「念願かなった」と晴れやかな笑顔を見せたのは、地元の小笠原幸雄さん(70)。今回の最高齢参加者の一人で、「地区の最高峰にこの年で初めて登ることがきた」と喜びもひとしおの様子。力作業も率先し、「道に迷わないで楽しい登山を」と汗をぬぐった。

 同山岳会は、昨秋の登山会で先導役を担ったこともあり協力。標識を設置しながらの山行は初めての経験という中軽米一(はじめ)会長(55)は「安心な登山環境の整備に関わることができた。山に親しむ者にとって価値ある取り組みだ」と感慨深げ。不慣れな道で迷ったり、どこまで進んでいるのか分からなくなることもある登山。そんな時に目安となる標識を備えた山道に目を向け、「たくさんの人に登ってほしい」と望んだ。

 片羽山は、三角点のある雄岳と南の雌岳(1291メートル)の双子峰で、登山の対象となるのは雄岳。4合目まではダケカンバなどの林の中を進み、足元は柔らかで歩きやすい。その先は少し下ったかと思うと勾配が増し、7合目辺りからは急登に。倒れたまま手つかずの木、張り出た木の根、石が露出している場所もあり、足元には注意が必要になる。

道幅は広く、足元も柔らかく歩きやすいが、徐々に…


傾斜のきつい道を進むとお立ち台のような岩が。山頂は目前


 「きついな」と思いながら、木の幹や岩などの力を借りつつ足を踏み出していくと低木帯になり、気づくと登頂。山頂は360度のパノラマが広がり、五葉山や早池峰山、条件が良ければ鳥海山を臨むことができるというが、今回は霧で視界は遮られていた。

 地元の人が「結構きつい山だよ。登山初心者はやめた方がいい」というのも分かる。それでも、登り切った達成感は格別だ。同山岳会の会員たちが「ストレス解消、すがすがしい気持ちになる。つらさも楽しみ」「自然の中を歩くことで今まで気づかなかったことを発見したり、感動も多くなった」と話す“登山の魅力”に共感した。

山頂は霧に包まれるも、登頂者の表情は晴れやか


 この山の面白さは名前にも。地図上には「片羽山」と表記され、三角点のそばにある看板にもうっすらだが「片羽山」と文字が見えた。が、登山口や登山道にある鳥居などには「片葉山」とつづられていた。そして、地元の人たちになじみ深いのは「葉」の方。遠野物語三十二話に登場する山の中には「片羽山」とある。一方で、地元には「片葉山」と刻まれた碑などが残っているという。

「片羽山」と「片葉山」が混在しているところが面白い⁉


 そんな山に住民は親しみを持つ。町内にある産地直売所の橋野どんぐり広場の近くから「雄岳と雌岳がきれい見える」と教えてくれたのは、店頭に立つ女性。かつて登ったことを思い出しながら、「いい山だと思う」とほほ笑む。地域の人は高齢になって登る機会は少なくなったというが、「外の人たちが結構来ているみたい。帰りに(産直に)寄っていく」とうれしそうに話した。

奥に見える双子峰が「片羽(葉)山」で、右側が雄岳


 今回、下山時に二組の登山客とあいさつを交わした。そのうちの一組は「秋田から」と言っていた。新調した標識がさっそく役立ったと実感。二本松所長は「皆さんの協力で設置できたことを広く知らせたい。地元の山を歩く取り組みも続けられたら」と思いをめぐらせた。

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