菊池雄星投手の〝大好物〟に困惑広がる「なんですか!?」「初めて見た」 謎の食べ物〝きりせんしょ〟とは
大好物のきりせんしょが、岩手にしかない食べ物なのだと今日知りました。 全国区だと思っておりました。
2025年1月22日、岩手県盛岡市出身のメジャーリーガー・菊池雄星投手(エンゼルス)がX上でそう呟いた。
「きりせんしょ」......? 関東出身・在住の記者は、とんと聞いたことがない名前だ。
菊池投手の投稿には地元民からの「きりせんしょ」愛を叫ぶ声が相次ぎ、そして、他地域のユーザーからはこんな声が寄せられている。
「え、初めて見ました」 「まだまだ知らないものがあるものだ...」 「なんですか!? 生姜の煮物!?」 「岩手はお隣さんで身近ですが知りませんでした!」 「元岩手県民ですが、きりせんしょ初めて聞きました」
一体どういう食べ物なんだろうか? 菊池投手が投稿した写真には「きりせんしょ」と書かれたパックが2つ写っている。
茶色っぽくて、黒い粒の入った平べったいものがいくつか詰められているようだが......。
日本よ、これが「きりせんしょ」だ
農林水産省のサイト「うちの郷土料理」を見てみると、「きりせんしょ」は岩手県のページに掲載されていた。
昔は山椒を刻んで浸した汁で粉を練ったことから「きりさんしょう」と呼ばれており、それが転じて「きりせんしょ」となったという説があるという。しかし、昭和初期にはすでに山椒は全く使われなくなったそう。
では、現在の「きりせんしょ」とは?
見た目は、小判型のお餅といった感じ。表面には何本もの筋が入っている。
生地には黒い粒が練り込まれており、表面には細かく砕かれたクルミが乗っているようだ。
ご飯のおかず......いや、お菓子? とにかく、どんな味がするのか気になるところだ。
記者は24日、きりせんしょの詳細について、菊池投手が紹介した「きりさんしょ」の販売元として記載されていた岩手県北上市の産地直売センター「あぐり夢むくちない」に話を聞いた。
取材に応じた同センタースタッフによると、「きりせんしょ」とはズバリ、米粉を使ったお菓子。
米粉に砂糖、醤油、クルミ、黒ゴマを混ぜてこね、それをきりせんしょ専用の型で成形した後に、蒸し器で蒸し上げて作るのだという。
「冠婚葬祭など行事のときによく食べるものです。昔はほとんど手作りするものというイメージでしたが、今はお店で買う人も多いです」(同スタッフ)
「うちの郷土料理」によれば、きりせんしょが食べられている主な地域は、盛岡市、花巻市、紫波町、遠野市などの県央地域。県民でも「知らなかった」という声が上がったのも納得だ。
この地域では、農作業の合間の「こびり」(昼食と夕食の間のおやつのこと)として、腹持ちのよい米粉、小麦粉、雑穀、豆類などで作られたものがよく食べられており、きりせんしょもその1つだったんだとか。
岩手県央地域では昔から親しまれていたという郷土料理、きりせんしょ。
現役のメジャーリーガーである菊池選手に「大好物」と評されていることについて、地元民としてはどう感じているのだろうか。
記者の質問に、同センタースタッフはこう答えた。
「私たちにとっては子供の頃から食べていて慣れ親しんでいたものなので、世界に羽ばたいて活躍されているようなすごい選手が、今もその味を忘れずにいてくれているというのは嬉しいです」
読者の皆さんも、岩手の県央地域を訪れた時は、記念に「きりせんしょ」を食べてみては?