病変への兆しを早めにキャッチ!予防で発症リスクを減らせるがん
がんは、できてから対処するより、できる前にその芽を摘み取る方が体への負担は少なくて済みます。
オプション検査も上手に活用し、発症を未然に防ぎましょう。
取材協力/株式会社キャンサースキャン 代表 福吉潤さん
感染が原因となるがん
日本人のがんの原因として、女性で1番、男性でも2番目に多いのが「感染」です。
表1のようなウイルス・細菌感染は、がんの発生と関連があるとされています。
いずれの場合も、感染したら必ずがんになるわけではありません。
それぞれの感染の状況に応じた対応をとることで、がんを防ぐことにつながります。
参考:国立がん研究センターがん情報サービス
胃がん
胃がんの原因の約6割は、ピロリ菌感染。
感染による炎症が慢性胃炎となり、やがて胃がんへと至ります。
血液検査で菌の有無を調べ、陽性なら薬を服用して除菌することで、胃がんになるリスクを減らすことができます。
肝臓がん(肝細胞がん)
肝臓がんの多くは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染した結果慢性肝炎となり、やがて肝硬変となって、がんへと進んだもの。
自治体が委託する医療機関などで一度はウイルス検査を受け、自身の感染の有無を調べて、予防や対応に務めましょう。
がん化する前に切除できるがん
ポリープや細胞の異常な変形の中には、放置するとがんになる可能性が高いものもあります。
これらを検診で見つけることができれば、そのまま切除して、がん化を防ぐことができるかもしれません。
大腸がん
大腸がんの多くは、大腸内の腫瘍性のポリープが大きくなり、がん化したもの。
大腸内視鏡カメラ検査では、検査中に病変リスクのあるポリープを摘出して、発症を未然に防ぐことができます(便潜血検査に比べ体にかかる負荷が大きいため、一定の検査間隔が必要です)。
子宮頸がん
HPVウイルスに感染して子宮頸部(入り口)の細胞が変形し、その一部ががん化したもの。
進行してしまうと子宮の全摘出となり、その後の妊娠は不可能に。
がん化する前(前がん病変)に変形した細胞のみを切除すれば、それを避けることができます。
経過観察と自然治癒
子宮頸がんの前がん病変には、軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成・上皮内がん(CIN3)の3段階があります。
CIN1とCIN2では約半数が自然治癒するといわれ、経過観察となります。