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『キングダム』楊端和(ようたんわ)とは? 山の民を率いて「血祭りだ!」 長澤まさみさんの演技でも話題になった、美しい山界の王を解説!

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

『キングダム』は、週刊ヤングジャンプ連載中の原泰久先生の歴史漫画作品です。舞台は、中国 戦国時代末期(紀元前245年頃から)。主人公は、中華統一をめざす若き秦(しん)王 嬴政(えいせい、後の始皇帝)と、下僕から大将軍を目指す信(しん、後に李信)の二人です。
 
ここでは、美しい山の民のリーダー 楊端和(ようたんわ)の人物情報をまとめていきます。また、史実の楊端和についても調べてみようと思います。
 
※2025.6現在アニメ放映済み(第5シーズン)の先の話を含みます。ネタバレNGの方はブラウザバックをお願いします。
 
 

【写真】『キングダム』楊端和(ようたんわ)とは?史実も含めて解説

楊端和はなぜ政に力を貸しているの?


  
楊端和は、山の民のリーダーです。秦国人ではありません。それなのに、なぜ政に力を貸すことになったのでしょうか?
 

楊端和と政の出会い

楊端和と政の出会いは、物語の序盤に描かれています。
 
政は、異母弟 成蟜(せいきょう)に王座を奪われ、王都 咸陽(かんよう)から村里に追放されている状況。政は、咸陽に帰還して王座を取り戻さねばならないのです。
 
政は信と河了貂(かりょうてん)とともに人目を避けて山林を進んでいきます。政の目指すのは、忠臣 昌文君(しょうぶんくん)率いる一隊と合流することになっている場所。その場所というのは、山の民が400年間守り続けている、穆公(ぼくこう、秦国9第目の王、史実での在位は前659~前621)が建てた八角堂です。
 
穆公は、当時野人と差別されていた山の民にも対等に接し、「盟を結んだ」貴重な王でした。穆公が山の民と交流するために造られたのが、山奥に秘密裏にたたずむ八角堂なのです。
 
この堂で昌文君らと合流した政は、山の民に協力を求めることに。とはいえ、穆公が死んで以来、秦と山の民との関係は疎遠になっています。それでも政は、自身の身の危険を承知で、ひとり山の王のもとへ交渉に行きます。
 
政は、山の王 楊端和に対面。400年もの間、堂を清掃修繕してくれたことに感謝を述べます。そして、本題である協力依頼が、以下のとおり。本音を隠さない、誠実で力強いものとなっています。

「秦人(しんびと)山の民と分けるから そこで摩擦が起こる」と自分の考えを説明する政。この問題は中華でもそうだと内心でつぶやき、目指すのは「全国境の排除!」だと表明するのです。
 
これを聞いた楊端和は、自身の長年の夢「世界を広げたい」と重なったのか、「皆の者 よく聞け、山界の王楊端和は 秦王嬴政とかつてない強固な盟を結ぶ!!」と宣言。政に全面的に協力することを約束したのでした。
 

「山界の死王」

秦国の味方になった山の民。彼らを率いる楊端和の、カリスマ的な統率力は見事なもの。
そして、なんといっても、その美しさも魅力的です。
 
楊端和の刀は「双曲剣」。武人としての強さと、時には冷酷な判断も辞さない冷静さから、「山界の死王」という異名をもちます。また、彼女の率いる山の民の強さは、平地の民には真似のできない独特なものです。
 
 

山の民とは?

 
 
ではそもそも、山の民とはどんな人々なのでしょうか?
 

数々の部族の集合体

山の民とひと口に言いますが、その実は、さまざまな部族の集まりです(例えば、フィゴ族、猿手族、メラ族など)。各部族は、それぞれ異なった習慣や特質をもっています。言語は、秦などの中華世界とは異なる、山の民特有の言語です。
 
山の民はたくさんいますが、ここでは2人だけ紹介してみます。
バジオウ:滅んだバジ族の生き残り。発見された時は、言葉が話せず獣のようだった。楊端和の元で人間性を取り戻し、現在では、山の民の言語・秦(中華)の言語の両方を話せるように。
ダント:フィゴ族の長。鷹をペットにして自在に扱う。族長として、いちもく置かれている。下ネタが多いのが残念かも(?) 実は楊端和に惚れている(!?)
 
 

楊端和の活躍と秦での出世

 
 
話が進むにつれ、山の民は秦に協力というよりも、秦軍の一部隊として活躍していくのですが、そのきっかけとなった出来事は、蕞(さい)攻防戦ではないでしょうか。そのようすは、ざっと以下のとおり。
 
「函谷関の戦い(合従軍編、秦vs.6ヶ国、函谷関は秦の東国境の門でもある)」の時のことです。
趙(ちょう)の李牧(りぼく)が、本戦を離れ、秦の南門の城都 蕞に侵攻したのです。飛信隊が本戦を抜けて急ぎ駆け付け、咸陽から政も来て自ら防御のために戦います。しかし、民兵主体の蕞は押され気味。苦しい籠城戦が続きます。

もう駄目かと思った七日目、戦場を見下ろす高台に、楊端和率いる山の民が!
 
楊端和の「全軍 血祭りだ」のひとことで、山の民が一斉に垂直な崖を下り、戦場になだれこみます。蕞を含む秦国は救われ、楊端和は論功行賞により秦の「大上造(大将軍)」となりました。
 
この論功行賞が、秦国内にいまだ残る、山の民を蔑視する人々の認識を改めさせ、山の民たちの秦への親しみを増す転機となったように感じます。
 
その後、匈奴の討伐に向かった時の異変を政に知らせたり、犬戎(けんじゅう)との戦いで戦果を収めたりと活躍。楊端和は、秦国「六大将軍」のひとりに任命されます。
 
 

史実の楊端和

 
 
さて、ここまで『キングダム』の楊端和を見てきましたが、今度は史実の楊端和を見ていきましょう。
 

『史記』の楊端和

中国 戦国時代のことを知ろうと思ったら、頼るべきは『史記』です。
 
『史記』は、前漢 武帝の時代に司馬遷が編纂した約53万字の紀伝体(年代順ではなく人物や国ごとに出来事をまとめた形式)ものです。武帝の時代なので、秦が滅んでから100年ほどのちに書かれた歴史書ということになります。
 
楊端和が、『史記』に出てくるところは、以下の3ヶ所です。
「九年(中略)楊端和が衍(えん)氏(魏邑、河南・鄭州に所属)を攻めた」
「十一年、王翦が主将、桓齮が副将、楊端和が末将となり、軍をあわせて鄴(河北・彭城)を攻めたが、なかなかおちいらず、まず九カ城を取った」
「十八年、大兵を興して趙を攻めた。(中略)端和は河内の兵を将(ひき)いて邯鄲(かんたん)を囲み」
(司馬遷『史記1本紀』筑摩書房、1995 より引用)
 
以上はすべて、「秦始皇本紀」内の記載となっています。時代背景を考えると女性ではなく男性だったと思いますが、秦の中華統一に貢献したことは確かではないでしょうか。『史記』の書き方では、山岳地帯の異民族だったということは書かれていないので、ふつうに秦の武将だったのでは、という気もします。
家族や性格、私生活、どのような最期だったのかなど、詳細については不明です。
 
それにしても、楊端和を女性にして、山の民という“異文化民イメージ“を造形するなんて、原先生はすごいですね。楊端和は、作品を彩り、強力な場面転換をもたらすキャラクターとして、立っているのではないでしょうか。
 
 

アニメで楊端和を演じていらっしゃるのは園崎未恵さん

 
さて、次はアニメ版の『キングダム』を見ていきましょう。
 
アニメ版で楊端和を演じていらっしゃるのは、園崎未恵さんです。
 

 
 

園崎未恵さんのプロフィール

園崎未恵さんは、東京都にて2月7日のお生まれです。
 
アニメ作品での代表作は、『ストライクウィッチーズ』ゲルトルート・バルクホルン役、『遊☆戯☆王ARC-V』紫雲院素良役、『GREAT PRETENDER』ポーラ・ディキンス(シンシア・ムーア)役など。
 
『キングダム』では、冷静さと冷酷さを備えたカリスマ性、そして名台詞「血祭りだー」など、格好いい楊端和を私たちに見せてくれています。揺らがない芯の強さには、これこそ山の王!と観ている誰もが納得したことと思います。
 
 

映画で楊端和を演じていらっしゃるのは長澤まさみさん

 
  
さて、次は実写映画版の『キングダム』を見ていきましょう。
 
映画版で楊端和を演じていらっしゃるのは、長澤まさみさんです。
 


 

長澤まさみさんのプロフィール

長澤まさみさんは、静岡県にて6月3日のお生まれです。
 
代表作は、大河ドラマ『功名が辻』小りん 役、『天地人』初音 役、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』廣瀬亜紀 役、映画『涙そうそう』新垣カオル 役など多数。
 
『キングダム』の実写映画は4本ありますが、長澤さんは、『キングダム』『キングダム 運命の炎』『キングダム 大将軍の帰還』の3本に、ご出演されています。
 
長澤さんの楊端和は、まずはとにかく美人!スタイルがいい!とその見た目に惹かれてしまうのですが、アクションシーンも格好良くて驚きました。また個人的にはですが、台詞に、言葉以上の人間味が隠されているような、優しさを秘めたような感じを受けました。
 
 

まとめ

 
 
楊端和の情報をまとめてきましたが、やはり、魅力的なキャラクターですね。その美しさとカリスマ性には、誰の心をもとらえる力があるのではないでしょうか。
 
山の民の台詞は、漫画版では謎の文字で書かれ、私たちにわかる言葉がルビとして添えられています。楊端和は、この山の民の言葉と秦の言葉(中華の言葉)を自在に扱っており、軍事面だけではない知性と教養も、彼女の魅力の大きな一面だと思います。
 
楊端和には、漫画版でこそよくわかる配下の者たちとのやり取り、アニメ版の芯の強さ、映画版の美しさと、それぞれの見どころがあると思います。まだひとつの版しか知らないという方は、ぜひ他の版も鑑賞してみてくださいね!
 
 

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