パテック フィリップのレディスウォッチ:今年は鮮やかな暖色系カラーのモデルに注目
レディスウォッチの名門としても知られるパテック フィリップ。今年は鮮やかな暖色系のカラーの華やかなモデルに注目。
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かつての腕時計の主役は女性。男性が大きな懐中時計に興じていた頃、女性はお抱えの時計師に、小型の時計を組み込んだペンダントやブローチなどを製作させ、アクセサリーとして楽しんだ。
パテック フィリップでは、かねてから貴婦人の顧客が多く、1851年に開催されたロンドンの万国博覧会では、出品されたラピスブルーのペンダントウォッチを英国のヴィクトリア女王が購入したという記録が残っている。また、スイス初の腕時計は1868年にパテック フィリップが製作したもので、これはハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人のために製作したもの。その他にもデンマーク女王ルイーズやスペイン女王イザベラ2世など、各国の王侯貴族の女性たちがパテック フィリップを愛し、製作を依頼した。
こうした背景から、今日でもパテック フィリップのレディスウォッチは、気品溢れる婦人たちの憧れとなっている。
1932年の誕生以来、ドレスウォッチの定番となった「カラトラバ」は、端正な2針モデルでありながら、同心円状の波形エンボス模様を施して華やかな雰囲気に。1976年に誕生したラグジュアリーなスポーツウォッチ「ノーチラス」のレディスモデルは、小ぶりな32mm径を採用。ダイヤルの水平ラインを緩やかなウェーブ模様にアレンジすることで、柔らかな表情を生み出している。
そして「ゴンドーロ・セラータ」は、アールデコ様式を現代的に解釈。上下アシンメトリックのケースの柔らかなフォルムや、ダイヤルの模様とブレゲ数字などで優美な世界を創作している。
パテック フィリップは創業以来、独立資本による家族経営を守り、ジュネーブの時計文化を継承している。レディスウォッチもまた、パテック フィリップの歴史を語る重要な要素。美しい時計文化に触れ、華やかなスタイルを楽しみたい。