APEC中小企業作業部会 八王子で先進企業を視察 市内初 国際会議の一環で
市で初となる政府系国際会議「APEC中小企業作業部会」が5月22日・23日に東京たま未来メッセで開催されたことに際し、参加者による市内の先進中小企業3社((株)内野製作所、MIRAI-LABO(株)、(株)島田電機製作所)を巡るエクスカーションツアー(体験型見学会)が行われた。
同ツアーの参加者は、APEC中小企業作業部会に加盟する、21の加盟国・地域の課長級の中小企業政策担当者ら約60人。八王子市内の中小企業の高度な技術や革新的な取り組みを直接視察することで相互の理解を深め、国際的な連携を促進することを目的としている。
精密ギヤに感嘆
23日の体験型見学会でまず訪問したのは、戸吹町にあり試作用自動車などの精密ギヤ(歯車)製造に高い技術力を誇る内野製作所。内野徳昭社長が参加者に英語であいさつと簡単な会社説明をした後、グループに分かれ社内工場を見学した。
社員による説明のもと、ギヤの切削や加工機械などを見て回った参加者たちからは、時折感嘆の声やスマートフォンで展示されているギヤを写真に収める姿が見られた。
参加者からは、「どんな会社から発注が来るのか」「3Dプリンターなどは使用しないのか」などの質問が担当者に寄せられた。
「価格を下げるための工夫などは何か行っているのか」という質問に対しては、従業員の技術や生産性を上げ「よりスピーディに高品質な製品をつくることがコストカットにつながる」と高技術を有する企業としての自信を見せた。
内野社長は「海外製の機械を導入している点や工場内の清潔さ、従業員の雰囲気など、言葉は通じずとも伝わるものがあると思うのでそれぞれ自国に持ち帰ってほしい」と総括した。
インフラ整備に太陽光技術を
一行が次に訪れたのは、『環境に良いことしかやらない会社』を謳うMIRAI-LABO(株)(平塚利男社長)。滝山町に本社を構え、太陽光路面発電パネルの開発や電気自動車の廃バッテリーの再製品化などを手がけている。
一行は敷地内の駐車場に設置された太陽光路面発電パネルの実物の上に立ったり、廃バッテリーを再製品化した街路灯などを見学。「どれくらいの発電量なのか」「スマホの充電はできるか」など具体的な質疑応答があった。議長を務めたチリ人のマリア・プリエットさんは「チリにはインフラが整わない過疎地がある。太陽光パネルの技術はすごく役に立つし、チリの人が喜びそう」と感想を話した。同社の平塚雷太常務は見学会を終え、「海外の方に直接見て頂いたのは今回が初めてだった。皆様の反応から、インフラのない地域こそ必要な技術だと実感した」と手応えを話した。
その後、エレベーター関連部品を製造する(株)島田電機製作所(大和田町)にも訪れ工場を見学。24日には、高尾山薬王院の僧侶による境内案内や護摩修行、精進料理の喫食などが行われた。