【相模原市】津久井やまゆり園 地域とつながるきっかけに 着火剤販売から1年
障害者施設の津久井やまゆり園(千木良)が地元の企業と協力して手掛ける着火剤「オガチャッカ」の販売から1年が経過した。製造から販売までの作業を分けて取り組むことで、「利用者さんの関りはスタート時より増えている」と同園。着火剤を通した地域とのつながりにも今後は期待を寄せる。
オガチャッカは、さがみはら津久井産材のおが屑と使用済みろうそくで作った着火剤。根小屋で自然素材を使った環境に優しい商品の製造、販売をする株式会社ネットフィールドが提携して商品を開発。材料の調達は同社が行い、製造と販売をやまゆり園が担う。園が製造、販売することで園にそのまま売り上げが入るしくみになっている。
やまゆり園では、おが屑とろうそくを型どる形成作業、米袋を使った袋づくり、商品の袋詰めの作業を利用者が行っている。作業工程が複数あるため、それぞれの能力に応じて可能な作業を進める。スタート時は園内で作業を行っていたが、今年の4月からは園から徒歩15分ほどにある従たる事業所に活動の場を移した。園の外に出ての活動になったため、「利用者さんも今まで以上に楽しみにして作業に取り組んでいますよ」と同園の職員は話す。さらに、「製造作業を通して利用者さんや職員が『こんなこともできるんだ』と新たな気付きがあるのはうれしい」と続ける。
「発見あれば」
着火剤の製造、販売について、園としては売上を重視するのではなく、あくまで作業活動の一環として捉えている。「作業活動は利用者さんが望む暮らしの実現をテーマに、そのためにはどのような生活の場を求めていくのか、それを知る必要がある。作業やつながり、体験を経て、利用者さんが今後の暮らしに生かせる発見があればいい」と説明する。
現在、商品を販売しているのは4店(CAMP&CRAFT/三ケ木、上大島キャンプ場/大島、日相園/日連、津久井やまゆり園)。販売から1年が経過して「やはり夏場のキャンプやバーベキューのシーズンは注文が多かったように思う」と振り返る。
現在は平均して1カ月に約100袋を製造している。地域の障害者施設とも連携して、注文が増えた際には協力して対応するしくみも整える。今後については、「引き続き園の方で販路を拡大していきたい。『オガチャッカ』をより認識してもらい、園が地域とつながるきっかけが生まれればうれしい」と話す。