立命館大ラグビー部がインドネシアで小さな一歩、世界ランキング下から5番目の弱小国で普及活動
インドネシアのクラブチームや小中学生に指導
ラグビーの強豪国と言えば、ニュージーランドやオーストラリア、南アフリカなどが有名だ。日本でも人気スポーツのひとつとして、リーグワンや大学、高校ラグビーなどは多くの観客を集める。2019年に日本で開催されたワールドカップでベスト8入りするなど、日本代表チームの活躍が人気上昇に拍車をかけた。
しかし、サッカーのように世界中で親しまれているかと言えば、そうではない。南半球やヨーロッパに比べると東南アジアなどではまだまだ普及しておらず、世界的なラグビー人口の増加は競技の発展に欠かせないだろう。
その一助となるべく、立命館大ラグビー部員が2月にインドネシアを訪れ、現地のクラブチームや子供たちを指導した。
一般財団法人国際開発センターによるスポーツ国際交流活動の一環として、同センターでインドネシアラグビー協会とつながりを持つ杉谷健一郎氏が橋渡し役となり実現。現地へ渡ってジャカルタ周辺の小中学校やクラブチームを訪問した2年生のPR近藤四海とFL久野惇也がSPAIAの取材に応じた。
男子世界ランキングは113チーム中109位
インドネシアではバドミントンやサッカーは盛んだが、ラグビーは競技人口が少ない。インドネシアラグビー協会の公式サイトによると、インドネシアの競技人口は草の根レベルも合わせて男性が4537人、女性が3554人。日本に比べると女性の比率が高いが、それでも10万人以上と言われる日本とは雲泥の差だ。
1970年代に欧米の鉱山関係者がラグビーを持ち込んだのが起源とされ、現在は国内リーグもあるものの7人制がメイン。15人制代表チームの男子世界ランキングは113チーム中109位と下から5番目で、国際大会での実績はほとんどない。しかし、現地で指導した近藤は驚いたと振り返る。
「言葉の壁もあって教えた通りにやってもらうのは難しく技術はまだまだですが、体が強くて大きい。体は小さいと聞いていたので予想と違いました。これから技術を身につければ強くなっていくと思います」
2024年の関西大学ラグビーAリーグで5位に入った立命館大の現役部員が感じたポテンシャル。指導者や環境が整えば急成長する可能性を秘めている。
立命館大学ラグビー部提供
ホッケー場で練習
ただ、現在はラグビー場もほとんどなく、ホッケー場で練習するような状況。それでも異国の地での貴重な経験は、近藤に初心を取り戻させる効果もあった。
「みんな前のめりというか、小中学生は日本人に興味を持ってくれて、ラグビーに積極的に取り組んでいました。僕も部活ではきつくて、なんでラグビーしてるんやろと思うこともあるんですが、好きなことを楽しんでやる大切さを思い出させてくれました」
インドネシアラグビー協会は7人制でオリンピックに出場することを将来の目標に掲げているという。久野は「まだまだラグビー人口が少ないので、これから増えて15人制が普及すれば嬉しいですね」と目を輝かせる。
ラグビーに国境はない。お互いを称え合い、仲間として友情を深める「ノーサイドの精神」で手を差し伸べた立命館大の小さな一歩が、大きな夢を育むか。いずれインドネシアが日本のライバルとなる日が来るかもしれない。
立命館大学ラグビー部提供
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記事:SPAIA編集部 請川公一