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明石の英雄!車いすテニスプレーヤー上地結衣選手の3年間の記録 監督と本人が語る当時の思い出 明石市など

Kiss

10月18日より上映が始まった映画『The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。』は、明石市出身で、パリ2024パラリンピック競技大会 テニス女子シングルス・ダブルスで金メダルを獲得した上地結衣(かみじ ゆい)選手に3年間にわたって密着したドキュメンタリー作品。

10月22日に大阪のTOHOシネマズ梅田で行われた舞台挨拶に出席した上地選手と、新山正彰(にいやま まさあき)監督にインタビューを実施!撮影中のお話をたっぷり聞かせてもらいました。

まずは新山監督にこの映画を撮影するに至った経緯を教えていただきたいです!

新山:私が所属するギークピクチャーズという映像制作会社が、東京2020パラリンピック競技大会の後、上地選手とスポンサード契約を結んでおり、支援のひとつとして本業である映像を駆使した何かをしようという中で、上地選手の活動を映像に記録することになったのがきっかけです。

当初は映画にすることまでは決まっていませんでしたが、撮影スタッフやプロデューサーの間で協議を重ねていくうちに、上地選手を応援する人々を増やしていくためには、より多くの人に発信できる映画という媒体が最も適しているという話になりました。

©︎2024「The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。」製作委員会

上地選手はご自身の活動や生活の様子を撮影するというお話を受けた時、どう思われましたか?

上地:ドキュメンタリーの番組で取り上げられる機会はこれまでも何度かありましたが、ギークピクチャーズさんはスポンサードしてくださっている会社ということもあり、3年間という長期にわたり密着していただきました。

最初にお話をいただいた時は、(最終的に)どのような形で表に出るのかわからなかったこともあり、感覚としては普段の生活を記録したホームビデオというか、なにも飾らない、飾れないことが印象的でした。今振り返ってみると、私の素の部分を色々な場面で撮っていただいたように思います。

たしかに映画は上地選手の人となりに迫るような内容で、観ていてどんどん親身な気持ちになったことが印象的でした。それにしても、3年という長期にわたって撮影が行われたなんてすごいですね!

新山:私は過去にテレビのドキュメンタリー番組の制作を行ったことがありますが、制作期間にしばりのあるテレビの場合、一般的にここまで長期間密着することは難しいです。

今回の場合そうした制約がなかったので、試合や遠征といった上地選手の動向をチェックしながら、“一緒に時間をともにする”ような感じで撮影することを意識しました。こちらから何か要望を出すことはなく、何か動きがあった時にそっとカメラを回して観察するような感じで…(笑)。

それはすごい…(笑)。撮影期間中、カメラが気になることはありませんでしたか?

上地:全然気になりませんでした!お話を聞いてくださる時も自分の考えや思いに寄り添っていただくことが多かったので、自分も(カメラに対して)構えるようなことはありませんでした。むしろ、長い時間を一緒に過ごさせていただく中で、逆に自分の方から「こういうこともやりたい」と提案する場面もありましたね。

撮影が行われた3年間は、車いすやラケットなどの道具面やプレースタイルについて手を加えたところが本当にたくさんありました。映画の中でも“車いすの改造”がひとつの大きな軸となっていますが、毎週違う車いすに乗っているような状況だったので、(撮影で)久しぶりにお会いした時は、説明し切れないぐらいたくさんの変化がありました。

その様子を継続して撮っていただいたので、撮影の度に「こういった部分が変わりました」「今はこういうことを試みていて、今後はこんな風になりそうです」と、情報共有もたくさん行ったことを覚えています。

©︎2024「The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。」製作委員会

それだけ濃密な3年間の時間がギュッと詰まった作品になっているんですね。映画になったことに対する思いを伺えますか?

上地:そうですね、パリのパラリンピック競技大会に出発する前の空港で、「帰国後に映画として公開することが決まりました」とお伝えいただいたんですが、「(パラリンピックが)良い結果であれ、悪い結果であれ、自分たちが追いかけてきた1人の女性の記録として公開を進める」と言っていただけたのは、すごく後押しというか、頑張ろうという気持ちにさせてもらえました。

ひとつだけ、映画のフライヤーなどには“主演:上地結衣”と書いていただいているんですが、本当にありのままの姿をフィルムに収めてもらっていたので、「演じてないよ!」とは思いました(笑)。3年も一緒にいると、新山監督をはじめスタッフの皆さんの前では何も飾れなくなってしまいましたね。

負けて悔しい時の表情などもそうですが、本当なら(悔しさを)ぐっとこらえてインタビューに応えないといけない場面でもギークさんのカメラの前だけはそれができずに、思ったことをそのまま話したことも多かったと思います。

なので完成した映画を観ると「この時、この映像を撮ってもらってたな~」と思い出が鮮明に蘇ってきて。当時の自分の感情や思いが克明に思い出されて、自分としては(74分よりも)もっともっと長くても観ていられると思いました(笑)。

TOHOシネマズ梅田 での舞台挨拶の様子。膝の上には公式マスコットキャラクター 「カーミィ」が♪

そんな本作品を観た人にどんな気持ちになってほしいと思いましたか?

映画の感想は観る人によって違うと思うので少し難しいんですが、私は障がいを持って生まれて、これまでたくさんの方に出会ってきましたが、車いすだったり補装具だったり、テニス以前に自分の生活に必要なものを作ってくれている人たちがたくさんいます。

テニスを始めるようになってその輪がさらに広がり、サポートしてくださる方もどんどん増えていきましたが、この3年間も、自分がやりたいことを新たに増やしていったからこそ生まれた出会いがたくさんありました。それこそ、映画の中では描き切れないくらい多くの人にサポート・応援していただいています。

テレビでテニスの試合を観ると、プレーヤーは一人きり(ダブルスでも二人だけ)で戦っている印象を受けるかもしれませんが、その背景にはたくさんの人のサポートが存在します。なのでこの映画を観て、「上地結衣はたくさんの人に支えられているんだ」ということを知ってもらえると嬉しいですね。

舞台挨拶で関西の印象を聞かれ「551の印象が強いです」と語り、会場の笑いを誘った新山監督

私は映画を観て、上地さんの“吸引力”というか、人を巻き込む力(応援したくなる力)がすごいと思いました。新山監督は、3年間ずっとカメラを回し続けてきて、上地さんに対する印象は変わっていきましたか?

撮影をする前から上地さんや国枝さんのお名前は知っていましたが、世界ランキング1位などの輝かしい成績をお持ちのトップアスリートだから、すごく怖い人なんだろうな…と勝手にイメージしていた部分はあります(笑)。けれど、初めてお会いして練習の様子なども見させていただく中で、練習で打つ1球1球にすごく意図が込められているというか、一つひとつの細かな点を詰めていき、その積み重ねの先にすごいプレーがあるのだと実感して、そんな姿を見て自分ももっと頑張らないと!という気持ちになりました。私自身も上地さんの吸引力に吸い込まれた一人、という感じです(笑)。

多くの方が本作を観て、上地選手の魅力に吸引されるのが楽しみです♪最後に地元・明石市の魅力について教えてください!

やっぱり明石焼(玉子焼)ですね(笑)。県外から人が遊びに来た時は、必ず食べに連れていきたいと思っています!いつも話してびっくりされるんですが、自分が小学生の頃には明石焼を作る授業もありました。それも調理実習ではなく道徳の時間に!

道徳の授業で!?郷土の魅力を学ぶ一環なんでしょうね♪本日はインタビューをお受けいただきありがとうございました!

映画『The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。』は現在、全国の劇場で上映中。兵庫県では『TOHOシネマズ西宮OS』で鑑賞することができます。


上映開始
2024年10月18日(金)~

劇場
<兵庫県内>
TOHOシネマズ西宮OS
(西宮市高松町14-2 阪急西宮ガーデンズ5F)

作品情報
出演:上地結衣
ナレーション:花江夏樹
監督:新山正彰
製作:小佐野保
プロデューサー:小澤祐治 増渕美帆
クリエイティブ・ディレクター:小山佳奈
監督補:沖悠司
制作:北村有視
構成:小川賢治
構成協力:池山珠子
撮影:小屋畑晃弘 長谷部雅治 平古場毅 小山一平
録音:高橋圭介 佐々木大夢
タイトルデザイン:今井祐介 テロップデザイン:中田早紀
オープニングタイトル:小宮一郎 柴田倫花
編集:清水咲希 眞鍋愛梨
キャスティング:木曽友和 松木香沙美
音楽:小川明夏
音楽エグゼクティブプロデューサー:緑川徹
音楽プロデューサー:福永菜摘
企画・製作:ギークピクチュアズ
制作プロダクション:ギークピクチュアズ
配給:日活
宣伝:FINOR
©︎2024「The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。」製作委員会

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