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赤ちゃんからシニアまで集うお祭り|小田原の「おだわらスポーツ&レクリエーションフェスティバル」

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神奈川県小田原市で毎年9月に開催される「おだわらスポーツ&レクリエーションフェスティバル」。平成22年度から始まったこのイベントは、今年で16回目を迎えました。赤ちゃんから高齢者まで約1,000人が参加し、200人のボランティアが支える、地域密着型のスポーツイベントです。

競技性よりも「誰もが気軽にできる」ことを重視し、ニュースポーツを中心とした体験型プログラムを展開しています。とくに人気の「赤ちゃんダービー」には約300人の赤ちゃんが参加し、3世代にわたる家族連れで会場が賑わいます。

これまで5年間、このイベントの企画・運営を担当している小田原市体育協会事務局の小野田さん(以下、小野田)に、フェスティバルの魅力と地域に与える影響についてお話を伺いました。

きっかけは「誰もが気軽にスポーツを体験してほしい」想いから

ーーまず最初に、おだわらスポーツ&レクリエーションフェスティバルを始めたきっかけについて教えてください。

小野田)きっかけは、マラソン大会や市民総体のような競技性のあるものではなく、「ニュースポーツを中心に誰もが気軽にスポーツを体験できる場を提供したい」という想いからです。これまでスポーツをする機会がなかった人たちへのきっかけづくりとして、平成22年度から開催しています。

ニュースポーツと聞いてもイメージが湧かないかもしれませんが、例えば今年は卓球とテニスを組み合わせたような「ピックルボール」を体験できるブースを用意しました。有明のアーバンスポーツパークでもコートができて話題になっている競技です。

また、日本体育大学さんの協力で「ダブルダッチ」の体験も実施しました。他にも「インディアカ」など、年齢や性別にとらわれず、誰もが楽しめる種目を体験してもらうことを重視しています。

ーー誰もが楽しめる機会を作りたいからこそ、あえて気軽に始めやすいニュースポーツに特化しているのですね。

小野田)小田原アリーナの室内を会場として開催しているのですが、参加者の中心は小田原近隣の小学生です。このイベントは事前申し込み制ではないため、当日にならないと参加者数が分かりませんが、ニュースポーツ以外に「赤ちゃんダービー」などの人気企画もあり、幅広い世代に参加していただいています。

ーー赤ちゃんからでもスポーツを体験できるのですか?

小野田)ハイハイができるようになれば誰でも参加することができます。3歳未満までの赤ちゃんを年齢で4つのクラスに分けて、15~20mをハイハイで競争する企画です。赤ちゃんの頃からスポーツに触れられるこの企画は毎年大人気で、今年は約300人の赤ちゃんが参加してくれました。

日本体育大学の協力のもと「ダブルダッチ」の体験会を開催しました

赤ちゃんからシニアまで、世代をつなぐフェスティバル

ーー「赤ちゃんダービー」という言葉は初めて聞きました。かなり盛り上がりそうな企画ですね。

小野田)赤ちゃんだけでなく、お父さんやお母さん、またおじいちゃん、おばあちゃんも一緒に来場されるので、総勢1,000人を超える大イベントになります。これからも続けていきたいメインイベントの1つです。

ーーほかにはどのような企画をされているのですか。

小野田)今年は「小田原グルメマルシェ」を同時開催して、来場した多くの方に楽しんでいただけるように工夫しました。さらに、6〜7年前から絵のコンテストを開催しています。イベント後も作品を展示し、来場者投票で上位10作品に副賞を贈る企画です。毎年40〜50作品ほどの応募がありますが、年齢制限は設けていないため、子どもから大人までバラエティに富んだ作品が集まります。

一見スポーツとは結びつかないかもしれません。しかし、そのような新たな取り組みを常に取り入れていくことで多くの人に参加してもらい、スポーツに触れる機会を増やしていけたらと考えています。

キッチンカーが並ぶ「小田原グルメマルシェ」の様子

ーーたしかに、スポーツ以外のさまざまな企画があると、より多くの人に関心を持ってもらえますね。

小野田)来場してくださった方に「来てよかったな」と思っていただけるように、他にも景品抽選を行っています。スポーツ体験ブースは10種目あり、8種目以上体験してもらうと抽選に参加できる仕組みです。絵の出展者にも抽選券を1枚お渡ししていますが、今年は応募者44人中41人が来場されたので、この景品抽選が足を運んでいただくきっかけにもなったのではないかと思っています。

景品は協賛企業から提供いただいていますが、今年はその数は380個にもなりました。協賛いただいた企業のみなさまには心から感謝しています。赤ちゃんダービーのような大勢が集まる企画は、協賛企業にとっても自社の商品を知ってもらえる機会になりますので、運営の私たちも協賛会社も来場者の方もお互いにメリットがある仕組みになっています。

ーー抽選で景品がもらえるなど、実際に地域で開催されるお祭りみたいで楽しそうですね。

小野田)抽選は昔ながらの抽選箱からくじを引くシンプルな方式ですが、毎年とても盛り上がります。もちろん抽選ですので当たり外れはありますが、ご家族が楽しんでいる姿を見ると「やってよかった」と感じますね。

おだわらスポーツ&レクリエーションフェスティバルは、その名の通り競技大会ではなくお祭りです。景品の抽選を目的に来場される方も多いかもしれませんが、きっかけが何であれ小田原アリーナに足を運んでいただき、1日スポーツを体験してもらえたら嬉しいです。

毎年40〜50作品の応募があり賑わう絵画コンテスト

200人の市民の力が支える運営チーム

ーー多くの方が来場するイベントになっていますが、来場してくださった方の満足度を高めるためには、どのような体制を取られているのですか?

小野田)約200人が実行委員として運営に関わっていますが、基本はボランティアでの協力です。加盟団体のなかには、地域のために熱心に取り組んでくださっているご年配の方もいるため、このイベントの開催月である9月の暑さの中で1日活動することは、運営上の大きな負担です。

この課題を解消するために、今年は加盟団体とは別に一般ボランティアを募集し、中学生や主婦の方など約40人にご協力いただきました。加えて、ここ数年は小田原短期大学保育学科の学生さんにも、赤ちゃんダービーの運営に協力してもらっています。

今回の新たな取り組みとして一般の方々に協力していただいたことは、大きな成果だと感じています。来年以降もこうした活動を支えてくれる人の輪を広げていく取り組みを継続していきたいです。

ーー若い世代の参加が広がってきていますが、さらにフェスティバルを発展させるために取り組みたいことはありますか。

小野田)有名選手や芸能人を呼ぶといった呼び込みができていないと感じています。赤ちゃんダービーなど目玉となる企画はあるので、もしこうした著名な方を呼ぶことができればイベント全体の注目度が上がるはずです。そうなれば、より多くの方が参加してくださり、私たちが目指す「スポーツを体験するきっかけ」をさらに大きくできると考えています。そのためには、予算づくりや予算配分が今後の課題になりそうです。

子どもからシニアまでの幅広い世代がスポーツに触れるきっかけを提供しています

スポーツが育む新しい小田原の文化

ーー小野田さんご自身は、小田原市で開催しているスポーツイベントに、どのような魅力を感じられているのでしょうか。

小野田)小田原市体育協会主催で取り組んでいるイベントは他にもありますが、このフェスティバル以上に人気なのが「おだわらキッズマラソン大会」です。この大会は小学生を対象にしていますが、計測チップを使って正確にタイムを測ります。

このようにタイムを正確に計測する大会は近隣では珍しく、小学生たちが当日に向けて一生懸命に練習している姿を見ると胸を打たれます。イベント当日だけでなく、当日までの期間もスポーツを楽しめる機会を提供できていることは、私自身がこの仕事をしていて嬉しいことの1つですね。

ーーなるほど、スポーツを楽しむのは当日だけではないというところがポイントですね。最後に、小田原市民のみなさんに、あらためておだわらスポーツ&レクリエーションフェスティバルの魅力もお願いします。

小野田)このフェスティバルには多くの小学生が参加します。普段はサッカーなど特定の種目に打ち込んでいる子が多いと思いますが、ここではまだ出会っていないスポーツに触れることができます。

「体を動かすってこんなに楽しいんだ」「この種目は面白いな」と感じてもらえるよう、たくさんの方々のアイデアをいただきながら企画・運営をしていますので、ぜひ会場に足を運んで実際に体験してほしいです。きっと新しいスポーツ体験を「楽しかった」と思っていただけるはずです。

私自身も子どもがいて、週末はサッカーの応援に行く生活をしています。サッカーに限らず、スポーツに打ち込む子どもの姿を見るのは楽しく幸せな気持ちになります。そのような楽しさを、来場者のみなさんにも感じてほしいと思います。

ーーありがとうございました。

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