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「物価高に追いつかない…」夏のボーナス平均支給額は41.9万円。使い道は“貯金・生活費”が最多に|求人ボックス「2025年 夏のボーナス実態調査」

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「物価高に追いつかない…」夏のボーナス平均支給額は41.9万円。使い道は“貯金・生活費”が最多に|求人ボックス「2025年 夏のボーナス実態調査」 【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

「今年も“ボーナスシーズン”がやってきた」――そんな期待に胸を膨らませていた人は、どれほどいたのだろうか。
月間1,200万人が利用する求人情報の一括検索サービス【求人ボックス】では、全国のビジネスパーソンを対象に「2025年 夏のボーナス実態調査」を実施。支給の有無から金額、使い道、転職意欲の変化まで、多角的に分析した。
今回の調査では、「もらえたけど満足していない」という層の本音が浮き彫りに。実際、ボーナスをきっかけに転職を考え始めた人も多いようだ。本記事では、そのリアルな声とともに、今の働き手の“本音”をひも解いていく。

ボーナス平均支給額は41.9万。「仕事量の割にボーナスが少ない」の声

まず、2025年夏のボーナス支給状況は「ある」が42.0%で最多。「ない」(33.7%)、「未定」(24.3%)と続いた。

ボーナス制度:制度がある人は約8割

ボーナス制度の有無については、「ある(年2回支給)」が65.0%で最多。次いで「ない」(17.8%)、「ある(年1回支給)」が8.3%となり、制度がある人の合計は78.6%だった。

昨今はボーナスを減らして月給を上げる「賞与の給与化」が進んでいる。2025年度の制度変更について聞いたところ、「変更なし」が83.7%と多数を占める一方、「年収に占めるボーナスの割合が減った」(8.9%)、「ボーナスが廃止された」(1.6%)という回答もあり、制度の見直しが進む企業もある。

夏のボーナス支給額:平均は41.9万円、最多は「20万~29万円」

支給された人に金額を聞いたところ、「20万~29万円」が52人(23.3%)で最多。「30万~39万円」37人(16.6%)、「10万~19万円」36人(16.1%)と続いた。
加重平均支給額(※1)は41.9万円。全体の56.1%が「10万~39万円」のレンジに集中している。

(※1)加重平均支給額の算出方法:設定した選択肢の支給金額帯の中央値を使用。例:「10万円未満」は4万円、「10万円〜」は14万円、「100万円〜」は110万円。

支給額の変化については、「変わらない」が64.2%で最多。「減った」(23.2%)、「増えた」(12.6%)が続き、変化があった人の多くは「10万円未満」の増減だった。

ボーナス支給額に関する声

将来への不安やモチベーション低下などのコメントも多く寄せられた。

「夏も少し減ったが、冬のボーナスが特に減り、会社自体が厳しいのだなと感じた。 ボーナスあるだけありがたいが、将来に不安を感じる 。」(40代/企画系) 「 ボーナスは給与以上もらいたい 。モチベーションが上がらない。」(30代/事務・受付) 「基本給が少なく、処遇改善手当でなんとかなっているだけ。 ボーナスも減らされるがやる事だけが増えてやる気をなくす 。」(30代/保育士) 「後から入社した人の方がボーナスが多い(同じ職種でかつ前職経験もなし)」(50代/コメディカル・その他医療系)

夏のボーナス満足度は40.0%にとどまる。「生活ができない」の声も

支給額に対する満足度では、「とても満足」「まあ満足」を合わせた満足派が40.0%。一方で、不満派は過半数を占めた。

支給額別に満足度を見ると、「〜29万円」では「とても不満」が最多で、満足派は23.6%にとどまった。一方、30万円以上では「まあ満足」が最多となり、「30万〜49万円」の満足派は41.7%、「50万円〜」の満足派は67.2%だった。支給額が高いほど満足度も上がる傾向が明らかとなった。

ボーナス支給額に関する声

労働環境的に満足している、今の支給額では生活できないなどのコメントが多く寄せられた。

満足派の声

「現在 地方移住しており、フルリモートで東京の給与水準で仕事ができているのでそこはありがたい が、ボーナスはやや低いという印象」(20代/マーケティング系) 「現在、 再雇用制度適用で従事しているので、満足している のが現状です。」(60代/管理系)

不満派の声

「昇給はない、ボーナスは少ないじゃ、 生活ができない 。評価の基準が見えない」(40代/工場・製造系) 「 労働量とボーナス量が見合っていない と感じることが多々あり、同期ともよくその話をすることがある。」(20代/販売・接客・サービス) 「1年目は2度あるはずのボーナスは出ずに、4月末にようやく出ました。 会社の業績により給料やボーナスに響くのが辛い 。」(50代/配送・物流)

職種別ボーナス額ランキング:1位は「管理・コーポレート」

職種別の加重平均支給額では、1位が 「管理・コーポレート」(110.0万円) 、2位が 「営業」(61.8万円) 、3位が 「企画・マーケティング」(58.0万円) という結果に。
一方で「事務・受付」「配送・物流」「工場・製造」などでは、 支給なしの割合が高い など、厳しい現実も浮き彫りになった。

※回答数4名以上の職種で分析。

使い道のトップは「貯金」──夢のないボーナス?

使い道として最も多かったのは「貯金」、次いで「生活費の補填」、「ローン返済」「旅行」が並んだ。
物価高や将来不安から、ボーナスを娯楽ではなく「生活防衛資金」として活用する傾向が強いようだ。

物価高に関する声
また、ボーナスが少なすぎる、賃上げが物価高に追いついていないというコメントも多く寄せられた。

「給料の基本給が低く設定されているので、ボーナスが少なすぎる。 賃上げが物価高に追いつかず生活が苦しくなる一方だ 」(50代/保育士) 「社会保険料で手取りが少なく、 物価高もあり将来が不安 です。」(30代/事務・受付)

ボーナス後に転職意欲が上がった人は6割越え

ボーナスをきっかけに転職意欲が高まった人は63.4%。特に「とても転職したくなった」が37.1%と高く、待遇への不満や将来不安が背景にある。
一方で、「安定してボーナスが出るだけありがたい」「ヤル気の源になる」との声もあり、価値観は二極化している。

転職意欲の変化に関する声

ボーナス支給を機に転職を考え始めた、再雇用制度でもボーナス支給がありがたいなどのコメントも寄せられた。

転職意欲が上がった人の声

「 何年もいるのに、ボーナス減らされて、年収が減るのはおかしい。転職を考え始めた 。物価高で昇給もなければ、ボーナスも下げられて、なにもいいことない。」(30代/介護・福祉系) 「 業務量に対して給与が低い。見合わないので転職を考えている 。」(30代/Web・インターネット・ゲーム系)

転職意欲が下がった・特に変化ない人の声

「今まで増減するとはいえ ボーナス支給がなかった時はなく、またこの年齢まで減給が1度もなく給与を貰えている のはありがたい。」(50代/営業系) 「 少しでも多ければ嬉しいし、ヤル気にもつながる 」(50代/車修理)

今、転職するなら何を重視する?年代で変わる優先順位

転職時に重視する項目として最も多かったのは「給料・ボーナス・待遇のアップ」で、「職場の人間関係・雰囲気」、「仕事のやりがい・成長実感」と続いた。

ただし、年代別に見ると、 60〜70代では「仕事のやりがい・成長実感」が最も重視されており、20〜30代では4位、40〜50代では3位と、年齢とともにその重要度が増している 傾向が見られる。また、20代では「労働時間・残業の少なさ」が2位となり、プライベートを重視する傾向が顕著。さらに5位には「福利厚生の充実」が入り、分かりやすい待遇面への関心も高い。一方、40代以降では「通勤のしやすさ」が上位にランクインし、日常の働きやすさが重視されている。

働き方の多様化が進む中で、年齢や価値観によって転職で重視されるポイントが大きく異なることが明らかになった。

【総評】物価高時代のリアルと、働き手の意識変化が浮き彫りに

2025年夏のボーナス実態調査から見えてきたのは、物価上昇に実質賃金が追いついていないという現実と、それに対する働き手の不満、そして「転職」という選択肢への関心の高まりだ。支給額の平均は41.9万円と一定の水準を維持しているものの、約6割が不満を抱えており、特に「〜29万円」のボーナスを受け取った層では満足度が著しく低下している。これは単なる数字の問題ではなく、評価制度や労働量とのバランス、将来不安といった構造的な問題に起因している。
注目すべきは、ボーナスの使い道として「貯金」や「生活費の補填」が上位を占めている点だ。かつてのような「ご褒美消費」ではなく、生活を守るための“防衛的な貯蓄”が主流となっている。こうした傾向は、長引く物価高と社会保障制度への不信感から、将来に備える姿勢が強まっていることの表れといえる。
また、支給額の多少が転職意欲に直結している点も興味深い。実際、ボーナスをきっかけに転職を考える人は全体の6割を超えており、「待遇に納得できない」「労働量と見合っていない」といった声が多く見られた。特に30〜40代は、キャリアの折り返し地点でありながら、昇給や処遇改善が見込めない職場に強い不満を抱いている層だ。反対に、50代以降では「転職は控えるが、待遇改善には関心がある」といった慎重な姿勢も見受けられる。
職種別に見ると、会社を支える「管理・コーポレート」や、法人向けに価値提供をする「営業」「企画・マーケティング」職などが比較的高いボーナス支給額を記録した。一方で、「事務・受付」や「工場・製造」などでは、支給がない、あるいは非常に少額といった回答が多く、職種間格差も明らかとなった。これらは職務内容の成果の見えやすさや、企業の業績との連動性が影響していると考えられる。
転職で重視する項目としては、やはり「給料・ボーナス・待遇アップ」が最上位となったが、年代別での違いも興味深い。20代では「労働時間・残業の少なさ」や「福利厚生の充実」が重視されており、働き方そのものへの関心が高い。一方で、60〜70代では「仕事のやりがい」や「成長実感」が1位に挙げられており、単なる金銭的報酬ではない価値を重視する傾向が見て取れる。
本調査から浮かび上がったのは、「評価されている実感」「生活の安定」「将来への備え」という3つの観点で働き手が今の職場を見つめ直しているという構図だ。企業側は報酬制度だけでなく、評価の透明性や処遇の納得感といった“目に見えない報酬”の見直しが求められている。加えて、柔軟な働き方やキャリア支援の強化は、今後の採用・定着における大きなカギとなるだろう。

「2025年 夏のボーナス実態調査」概要

■調査主体:株式会社カカクコム
■調査対象:求人ボックス会員のうち、「正社員」に関する検索履歴がある人に調査を実施。現在、正社員として働く男女552名の回答を抽出。
■調査方法:インターネット調査
■調査期間:2025年6月16日(月)~6月22日(日)
※構成比(%)、差分(pt)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合や、少数第1位までの計算とは数値が異なる場合があります。

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