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新潟では珍しい串天が看板メニュー。古町の居酒屋「わたなべたかし」。

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新潟では珍しい串天が看板メニュー。古町の居酒屋「わたなべたかし」。

ある日雑誌を読んでいて、個性的な名前の居酒屋を発見しました。その名は「ニコ味とくし天 オムライス わたなべたかし」。看板メニューである煮込み料理と串の天ぷら、オムライスという3品には、いったいどんなこだわりがあるのだろうと気になり、早速取材をお願いしました。笑顔が抜群に似合う店主の渡邊さんに、独立するまでのことや飲食店のおもしろさなど、いろいろとお話を聞いてきました。

わたなべたかし

渡邊 隆司 Takashi Watanabe

1985年新潟市生まれ。新潟調理師専門学校を卒業後、北区の「奥次郎」と中央区の居酒屋で働く。介護施設での調理スタッフを経験した後、2024年5月に「ニコ味とくし天 オムライス わたなべたかし」をオープン。ビールと日本酒を好む。

離れてみてわかる、飲食店で働く魅力。

――渡邊さんが料理の道を目指されたのは、いつ頃ですか?

渡邊さん:高校時代に居酒屋でアルバイトをしていたんです。それが楽しかったんですよね。ホールだけじゃなくて、調理のお手伝いもさせてもらって。「いつか居酒屋をやってみたい」と調理の専門学校へ進学しました。

――専門学校卒業後は、北区の割烹でお勤めされたんですよね。

渡邊さん:「奥次郎」さんの板前を5年ほど経験しました。それから新潟駅や古町で展開していた居酒屋で10年以上働きました。そこでは店長を任せてもらったこともあったんですよ。その後、一旦飲食の仕事からは離れたんです。コロナ禍で飲食業は壊滅状態でしたから。「もうこの仕事をしていても意味ないな」って、かなり気持ちが落ち込みました。

――しかも当時はいつ落ち着くかわからない状況でした。

渡邊さん:ただただ辛かったです。最初店が休業したときは、休みなのに給料がもらえて「ラッキー」って感じだったんですけどね。2~3年経っても以前の活気が戻っていない気がして、「もう飲食店からは離れよう」と介護施設での調理スタッフとして1年ほど働きました。

――新しい仕事はどうだったんでしょう?

渡邊さん:なんだか毎日同じことをしているような気がして、自分には向いていなかったです。それに「暇だな」って思ってしまって。あまり大きな声では言えませんけど、飲食店で働いていると10時間以上は普通に働くじゃないですか。営業時間外には、仕入れに仕込み、掃除だってしなくちゃいけませんから。それに慣れると、一般的な8時間の仕事じゃ物足りなってしまったんです。

――接客がないところにも違いがありそうですよね。

渡邊さん:介護施設での調理は、利用者さんが生きるために必要な食事を作ることが求められていると思うんです。すごく大事な仕事なんですけど、「美味しいから食べてほしい」って料理するのとはちょっと違うかなって。でも一度違う仕事をしたことで、「やっぱり居酒屋をやろう」と思えたのかもしれません。

煮込み料理、串の天ぷら、オムライスを選んだ理由。

――煮込み料理とくし天、オムライスを看板メニューにしているお店ってどんなところだろうと気になっていたんです。

渡邊さん:どうせなら新潟にない感じの居酒屋にしたかったんですよね。お酒の席では揚げ物がよく出るんですよ。自宅ではなかなか作らないし、おつまみにぴったりですから。揚げたてを食べられるのも飲食店の楽しみだよなと思うので、揚げ物には力を入れようと思いました。

――「くし天」って珍しいですよね。

渡邊さん:ただの天ぷらよりも「くし天」の方がキャッチーで、居酒屋らしいと思ったんです。関西方面には、くし天のお店がけっこうあるんですよ。煮込み料理は以前働いていた居酒屋でも定番メニューだったので、自分のお店でも提供したかったんです。それとオムライスは単純に好物だから。

――オムライスだけちょっとジャンルが違うかなと思ったら、そういうことでしたか(笑)

渡邊さん:そうっすね(笑)。やっぱりシメ料理の名物もあったらいいなと思って。オムライスのソースには、煮込み料理の「赤」というメニューに使っている赤ワインと八丁味噌ベースのビーフシチューを使っています。

――あら美味しそう。卵の具合はどうでしょう?

渡邊さん:卵はふわとろの「ぱっかんと開く系」です。それにケチャップライス。おつまみにもシメにもいける味にしています。

――他におすすめメニューはありますか?

渡邊さん:日本酒もうちの売りです。メニュー表には5種類載せていますけど、他にも季節の日本酒や県外のお酒もありますよ。

やっと手に入れた自分のお店。その感想は意外にも……?!

――レトロで可愛らしい店内ですよね。

渡邊さん:居心地の良い感じにしたいなと思って。かしこまった雰囲気にはしたくなかったので、こんな店内になりました。

――自身のお店をオープンして、どんなお気持ちでしたか?

渡邊さん:意外と普通でした。夢を叶えたってことだと思うんですけど、その実感があまりないんですよね。

――古町を選んだのはどうしてでしょう?

渡邊さん:古町がよかったんです。やっぱり新潟の繁華街といえば、古町じゃないですか。このお店はそれほど大きくないので、全体が見渡せますし、ひとりで切り盛りできるから気に入っています。

――この規模で営業する楽しさがありそうだなと想像していました。

渡邊さん:楽しいですよ。居酒屋で働いていた頃も「自由にやっていいよ」と任せてもらっていましたけど、そのときとはまた違う自由がありますよね。鳥かごに入ったままの自由とそうではない自由というか。

――いずれは多店舗展開したいというお考えはありますか?

渡邊さん:できたら他にもお店を持ちたいです。もっともっとやりたいことがあるんですけど、現実は資金面もあるし、そう簡単にはすべて実現できません。ひとまず、毎日満席にしたいと思っています。

ニコ味とくし天 オムライス わたなべたかし

新潟市中央区西堀前通6番町900-2

tel/050-8881-7520

定休日/月曜日

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