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選手の命を守るAED、音声案内通りで意外と簡単! Jクラブドクターも「躊躇せず使って」と語る理由【医師監修】

サカイク

サッカーにつきもののケガやアクシデント。心臓の突然死は年間7万人とも言われています。

日常生活では使うことがないので、「使い方が分からない」という親御さんも多いと思いますが、過去国内外でサッカー選手がピッチ内での突然の心停止により命を失ったこともあり、選手の命を守るために、日本サッカー協会でもAED(自動体外式除細動装置)の設置や保有を促進しています。

日本サッカー協会のスポーツ医学委員でJクラブのドクターも務める大塚一寛先生(あげお愛友の里施設長)にAEDの重要性などを伺いました。
(取材・文:小林博子)

 

写真は少年サッカーのイメージ

 

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■AEDはためらわず使って

応急処置としてもう1つ、必ず念頭に入れておいてもらいたいのはAEDのことです」と大塚先生。スポーツの現場ではAEDは「絶対必要」と話します。

特にサッカーは運動強度が高く、心臓へのリスクも他の競技より高いスポーツです。サッカーの試合中にAEDが必要になったケースや、AEDによって救命できたケースは数えられないほどたくさんありました。

選手が突然、心臓疾患で倒れるのは、肥大型心筋症や不整脈といった持病がある人の発症の他に、心臓震盪(しんぞうしんとう)といって、ボールなどが心臓の位置に強く当たって起こる心停止もあります。

 

 

■救命措置が1分遅れると救命率が10%下がる

もし心停止になって倒れてしまったら、1秒でも早くAEDを使うことが救命率を上げることは多くの保護者も知っているはず。

日本サッカー協会のホームページにはこのように記載されています。

 

「心停止になった場合、救命処置が1分遅れるごとに救命率が10%低下すると言われています。ですので、5分以内にAEDによる電気ショックを行うことが目標です。 心停止は健康な人にでも突然起こりえます。」

出典:日本サッカー協会

 

■AEDの使いかたは意外と簡単

パットを張る場所のイラストがあるので初めてでも迷う心配なし

 

AEDは使い方がわからなくても、ケースから取り出してスイッチを入れればガイダンスが流れて初めて触る人でも正しく使うことができるようになっています。

 

基本動作は以下の通り
1.AEDの電源を入れる
2.電極パットを取り出す
3.右肩と左わき腹にパットを貼る
4.ボタンを押して電気ショックを流す

 

ふたを開けると自動電源ONになりますし、貼る位置はパットにイラストが描いてあるので迷うことはありません。

そして、AEDが適応ではない症状の場合には、当てても作動しない仕様ゆえ、誤作動の心配もないのでご安心を。

それよりも命を救うためには、とにかくいち早く、ためらわずに使うべきだと心得ておきましょう。

 

■「呼吸をしているし、ただ倒れているだけ」に見えても要注意

心室細動など、AEDを使わないと救命が難しい症状が突然起きた時にAEDを使うべきかの判断を迷わせるのが、呼吸です。

「ハッハッ」と浅く細かな呼吸を繰り返していたら「死戦期呼吸」といって、心停止直後の症状の可能性が。「呼吸しているから大丈夫」ではないのだと大塚先生は警鐘を鳴らします。

死戦期呼吸が現れたら、むしろAED以外では助かる見込みはないと考えられていますので、呼吸に惑わされず、繰り返しますがためらわずにAEDを使いましょう。

 

■AEDの設置場所を覚えておくこと

AEDがどこにあるか、きちんと調べておきましょう

 

そんな大切な存在のAEDですが、どこにあるか知っていますか。

クラブで保有して練習や試合に携帯しているチームなら普段から身近な存在かもしれませんが、高額なのでクラブで購入するのはためらわれることも多いかもしれません。

チームで保有しておらず、グラウンドをレンタルしている場合などは意外と設置場所を知らないことがあります。

大会などでは運営本部に必ず置かれていますし、グラウンド付近に常設されている場合は案内が出ていることもあります。

練習場所や試合会場では、どこにAEDがあるのかを保護者が試合や練習が始まる際に把握しておくのも一刻を争う事態が発生した時にスピーディーな対応ができるかどうかを大きく左右するもの。

いざ応急処置をすることになったときに慌てないように、知識はいれておきたいものですね。

 

大塚一寛(おおつか・かずひろ)
医師、あげお友愛の里施設長。
1996年からはJクラブのドクターとしてチームとともに帯同を続けている。現在はVプレミアリーグの上尾メディックス(女子)のチームドクターも兼任。そのほか、『日本サッカー協会スポーツ医学委員』を務め、全カテゴリーの選手の健康管理(脳震盪・ヘディング・熱中症・整形外科的外傷など)に携わっている。多数の講演にも出演し、現場のノウハウや選手のケガ、障害予防などの啓発活動も積極的に行っている。

 

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