県高校野球春季大会 大師が桐光学園に大金星 監督「選手の成長に感動」
大師高校(川崎区)野球部が、神奈川県高校野球春季大会2回戦で、強豪の桐光学園(麻生区)を破る大金星を挙げた。3回戦で横浜隼人に敗れたが、11人というコンパクトなチームが、常勝校相手にひるまず打線をつなげ、大きな1勝を手中にした。
4月6日の等々力球場(中原区)。桐光学園に勝利した瞬間、大師高校野球部の選手と女子マネージャーの12人は、歓喜のあまりグラウンドを飛び跳ねた。相手は春夏あわせて5回の全国大会出場経験がある強豪校。園田雄介監督(30)は、「勝てる可能性はゼロではないとは思ったが、相手との力の差は、50回戦って1回勝てるかどうか。その1回が今回だった」と驚きを語る。
「上位打線がカギと考えていた」という監督の言葉通り、3回に1番の佐藤優人選手が2塁打を放って先制した。続く4回にも1塁に走者が出た場面で6番の菅野樹選手が長打を放ち、追加点をもぎ取った。エースの大竹倖太郎投手は5回に1点を失うも、桐光打線に被安打5と好投した。
少ない人数でも
今大会を前に、監督は思い切って打順を変更した。主将の佐藤を4番から1番に上げ、主砲のプレッシャーから解放する一方で「思い切り振ってこい」と送り出した。「最も振れる打者が1番に立つことで、相手に『このチームは振ってくるぞ』と警戒させるのが狙いだった」という。佐藤選手も「地区予選では打てていなかったが、(桐光学園戦で)監督に『気楽にいけ』と言われ、思い切れた」と笑顔を見せる。
同校の前監督は、今春の選抜大会を制した横浜高校野球部のコーチ・小山内一平さんだ。園田監督は昨春にチームを引き継いだ際、「自分に何ができるか」を考えた結果、選手と丁寧にコミュニケーションを重ね、話しやすい関係性を構築することに決めた。去年の春季大会は選手9人、今年は11人と人数が少ないチームだが、「人数が少ないことはメリットも多い。技術的な悩みや人間的な課題など、一人一人と共有して一緒に考えていきたい」と語る。
春季大会3回戦は横浜隼人に3-7で敗れたが、11安打を放ち、9回にも得点するなど粘りを見せた。夏に向け、佐藤選手は「春の経験を忘れず、もう一段先に進めるようにしたい」と抱負を語る。
園田監督は「注目された経験のない選手たちが、まじめに練習した成果を大会で出せたことがうれしい。野球が大好きな選手たちの成長を間近で見て、高校生の力に日々、感動している」と話していた。