新種記載された<ミナミスナヤツメ> 琵琶湖博物館で生体とパラタイプ標本が展示開始【滋賀県草津市】
滋賀県草津市にある琵琶湖博物館で現在、水族トピック展示「新種記載されたスナヤツメの仲間」が開催中です。常設では展示していなかった、キタスナヤツメとミナミスナヤツメを生体展示しています。
ミナミスナヤツメは、2024年12月に発表された論文で新種となった魚。新種記載論文で使用された標本も展示されています。
「やつめうなぎ」として知られるスナヤツメ
スナヤツメの仲間は、滋賀県内では主に河川の上流域、湧き水のある河川や水路に生息しています。古くから「やつめうなぎ」という名前で知られていました。
今回、スナヤツメの仲間であるキタスナヤツメと、2024年12月に新種記載されたミナミスナヤツメの幼生を生体展示しています。
スナヤツメの仲間は常設では展示しておらず、2種が同時に生体展示されるのは琵琶湖博物館において初めてとのことです。
また、同時に新種記載論文で使用された標本も展示。特にミナミスナヤツメの標本は、新種記載となった際に基準のひとつとなったパラタイプ標本です。
またA展示室では、トピック展示として2024年秋に新種記載されたレイホクナガレホトケドジョウのタイプ標本も展示しています。
2024年12月に新種記載されたミナミスナヤツメ
従来、日本のヤツメウナギ科は2属5種が知られていました。
このうちカワヤツメ属のスナヤツメには、遺伝的に識別される2種の隠蔽種がわかっていました。それぞれ、スナヤツメ北方種と、スナヤツメ南方種と区別されていました。
2024年12月、水産研究・教育機構 水産大学校の酒井治己名誉教授、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の岩田明久名誉教授、京都大学大学院理学研究科の渡辺勝敏教授、北海道教育大学国際地域学科の後藤晃元教授らによる研究グループにより、スナヤツメ北方種はLethenteron mitsukuriiであることが判明。スナヤツメ南方種は未記載種であることがわかりました。
この研究では、琵琶湖博物館所蔵の標本も使用されており、滋賀県産ミナミスナヤツメの一部の標本がパラタイプとなりました。
パラタイプとは、学名の基準として指定された単一の標本(ホロタイプ)に準じる標本です。
4月27日(日)までの開催
水族トピック展示「新種記載されたスナヤツメの仲間」は、4月27日(日)までの開催です。
詳細は琵琶湖博物館公式ホームページに掲載されています。
※2025年2月27日時点の情報です。
(サカナト編集部)