「盗める書作展」○○なひらがなを筆でしたためるゲームとは?東大本郷キャンパスで開催【東京都文京区】
2025年4月27日に東京都文京区東京大学本郷キャンパスでTEDxUTokyo 2025 “でこぼこ”が開かれた。
豪華ゲストによるトークあり、ワークショップありの盛りだくさんなイベントだが、その中のOff-Stage Booth(展示コーナー)に個性的な文字が並んでいるブースがある。
出展している団体は「にゅ〜書道開発委員会」新しい書道の遊び方を考えるプロジェクトとして活動していて、今回のイベントでは書道のカードゲーム「<○○なひらがな>を筆でしたためるゲーム」の体験コーナーを出展している。
「上手い/下手」で判断されない書道を作ってみたかった
カードゲームを開発したきっかけは「上手(うま)い/下手(へた)」で判断されない書道を作ってみたかったから。
委員長の増田さんは人の感性や書き癖に興味があって、それをオープンにしたいと思ったときに、書道にコミュニケーションが加わるシステムがあったらいいなと思い、そこでカードゲームを作る事を思いついた事が開発のきっかけになった。
書道とカードゲーム?って一体何?と思った人のためにどんなゲームか簡単に説明したい。
カードをめくって「ひらがな一文字」と「どんなイメージで書いていくか?」のお題をランダムに決めて、みんなで思い思いにお題のひらがな一文字を筆で書いて表現していく。そして書き終わった後で「どんなイメージで書いたか?」を語り合う。
この記事を書いている私かずひろも、このゲームが初めて使われたイベントにも参加して、ランダムに出現するお題のひらがなを書いてみた事がある。
参加者がお題のひらがなを書き終わった後で「どんな事をイメージして書いたか?」を語り合う。お題が「夏の音がしそうなひらがな」でも、ある人のイメージは花火だったり、またある人はセミだったり、またある人はエアコンの室外機だったりと考えるものが違っていて、同じお題からいろんなタイプのひらがなが書かれていく。
にゅ〜書道開発委員会ではカードゲームを作る実験の他にも輪ゴムやスポンジといった日用品で筆を作る実験(ほうき、スポンジ、ペットボトルのフタが筆に!?書道×日用品で筆圧を探求する書き初め会【東京都渋谷区】https://thelocality.net/newsyodokaihatuiinkai/)をやったこともあり、その時に作った筆も今回の出展ブースに用意している。
今回の出展では既存の「ランダムに選ばれるお題×ランダムに選ばれるひらがな」の二つの要素の組み合わせ加えて「どの筆を選ぶか」という変化する要素が一つ増えた。
これにより初期の遊び方よりも、作品全体の自由度が増えている。
同じお題でも人それぞれ、出来上がった作品がこちら!
筆圧や太さ、勢いにバリエーションがある作品でパネルがうまった。気になった作品をいくつか紹介したい。
パネルの上に並んでいる二つの「つ」は実は同じお題「舌触りのよさそうなひらがな」をテーマに書いている。
左の「つ」は輪ゴムの筆を使って書いた線のかすれ具合と「つ」の字の形からえびのようになっている。真ん中の「つ」はスポンジの筆を使ってスタンプをたくさん押すようにして書いて版画のようになっている。
同じお題で同じひらがなでもここまで差が出るところがおもしろい。
右下の顔も文字として「るんるんな気分のひらがな」のお題で「つ」を書いている。
下に並んでいる二つの「は」を書いていた人々は「ギャルっぽいひらがな」のお題で「は」を書いた。
ひらがなを書いた後で「(自身が)ギャルとは無縁の人生を歩んできて、遊んでいそうで心の軸はしっかり持っていそうだという頭の中にあるギャルのイメージをひらがなに落とし込んだ」事を語ってくれた。
こちらの展示コーナー、盗める書作展とタイトルにある通り、誰かが書いた作品を盗む(持ち帰る)こともできる。たくさんの人に書道のカードゲームを体験してもらって生み出されて、パネルに展示された個性豊かな作品たちは、おもしろがった別の人に盗まれていった。