大阪万博チケット苦戦、「並ばない万博」が仇になったか
大阪万博の入場チケットの販売状況が14日に公式ホームページで公開された。2月12日時点で特別割引券や夏パスなどを含んだ累計販売枚数は約780万枚となっている。万博会協会は入場券2300万枚のうち1400万枚を前売りチケットとして販売することを目標としていた。開幕まで約2ヶ月という段階で目標との乖離が目立ってきている。
大阪万博のこの現状をこれまでの万博と比較してみる。国際博覧会は大きく認定博と登録博に分けられる。認定博とは規模やテーマを絞って行われるもので国際園芸博覧会などがその代表だ。一般的にイメージされやすいのが登録博で総合的なテーマを扱う5年に1度の博覧会だ。大阪万博や上海版博など私たちがよく耳にする万博の多くはこの登録博に分類される。大阪万博の1つ前の登録博は2021年のドバイ万博だ。ドバイ万博は来場者数の目標を2,500万人としたが、新型コロナウイルスのパンデミックに影響を受け、最終的な来場者は約2,400万人となった。ミラノ万博の来場者数は約2,200万人。目標としていた2000万人を無事達成する結果となった。史上最多の来場者を記録したのは2010年の上海万博だ。累計の来場者は7,300万人を記録し、1日の最高来場者数は約100万人となっている。
同じ日本で開催された万博として2005年の愛知万博では開幕の半年前に前売り券の目標枚数であった800万枚を達成。最終的な来場者数は目標の1,500万人を大きく上回る2,200万人となっている。
チケット低迷の原因の1つとして考えられるのが、購入方法の煩雑さだ。「並ばない万博」というコンセプトを当初から掲げてきた大阪万博。これを達成するための来場者管理体制が「買いにくさ」を生じさせている。大阪万博のチケット購入ページから「入場チケット購入ガイド」をみると当日入場するまでの段階が示されている。1.万博IDの登録、2.チケットの購入、3.来場日時予約、4.パビリオンなどの観覧予約、5.予約日時に会場へ!この5つのステップが必要ということだ。私は公式ホームページにある「万博ID登録マニュアル」をみて気が遠くなり、登録を諦めてしまったが、これはまだ序の口なのだ。
万博会協会はこの状況を打破するために当日券の発行を検討。原則として毎日、会場の東西にある入場ゲートで販売する方向で調整を進めている。当日券発行により混雑が予想される場合は販売時間を遅らせたり、販売を取りやめることも想定している。万博会協会はこの方法で来場者管理と買いやすさの両立を目指す。