「ジャパンカップ」で実感した世界の壁。海外ウマ娘のキャストに「強すぎる」ーーアニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』第2クール 高柳知葉さん(オグリキャップ役)、香坂さきさん(ゴールドシチー役)、石上静香さん(オベイユアマスター役)インタビュー
好評放送中のアニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』(以下、『シンデレラグレイ』)。9月より第2クールがスタートし、オグリキャップとライバルたちとの熱い物語が毎週描かれています。最新放送回である第18話では、世界の強豪ウマ娘たちと競い合ったジャパンカップがついに決着を迎えました。
アニメイトタイムズでは、素晴らしい演技で第2クールを彩っているキャストへのインタビュー連載を実施。第1回は、ジャパンカップで熱いレースを繰り広げた高柳知葉さん(オグリキャップ役)、香坂さきさん(ゴールドシチー役)、石上静香さん(オベイユアマスター役)にお話をうかがいました。
※本文中に第18話までのネタバレが含まれます。
【写真】ウマ娘 シンデレラグレイ:高柳知葉×香坂さき×石上静香インタビュー
オベイユアマスターは私が考えた表現を採用していただきました
――オベイユアマスターは第1クール最終回第13話のラストで初登場となりました。石上さんはもともと『ウマ娘』シリーズや『シンデレラグレイ』はご存知だったのでしょうか?
オベイユアマスター役・石上静香さん(以下、石上):ゲームの存在はもちろん知っていて、リリースされたときに遊んでいました。原作の『シンデレラグレイ』は(ほかのウマ娘の)オーディションを受ける際に初めて読んだのですが、読む前に想像していた可愛い感じではなく結構スポ根強めの印象でした。
アニメはオベイユアマスターの主な出番が第2クールからなので、第1クールはできる限りリアタイで見ていて、そこから実際の競馬にもすごく興味を持ちました。まだ競馬場に行ったことはないですが、テレビでやっているとついつい見ちゃうぐらいにはハマっています。
オグリキャップ役・高柳知葉さん(以下、高柳):嬉しいです。『シンデレラグレイ』は、いちファン、いち読者の気持ちで連載開始からずっと追っていたので、第2クールから参加されるキャストさんが原作を読まれて「この作品ほんとに面白いね」と言ってくださると、勝手に鼻高々で「ですよね!!」って気持ちになります。
ゴールドシチー役・香坂さきさん(以下、香坂):私の周りにいる競馬好きの人達も、『シンデレラグレイ』を読んで「そうそう、こういうことがあって」と涙するぐらい感動したらしいんです。本当に幅広い方々にオススメしたい漫画だなって思いました。
――スポ根モノとして、『ウマ娘』を知らなかった人でも楽しめますからね。
高柳:そうですね。オグリキャップという名前から興味を持っていただいた方もすごく多いと思いますし、(日曜夕方という)放送時間も含めて、「タイトルは聞いたことあるけど」「CMは見かけるけど」「『うまぴょい伝説』は知っているけど」といった方たちが、『シンデレラグレイ』をきっかけに『ウマ娘』の世界を知ってくださっているのをすごく感じています。コンテンツ自体のさらなる盛り上がりのきっかけになっていたら嬉しいです。
――オベイユアマスターの役作りについても教えて下さい。
石上:オベイユアマスターはオーディションではなくご指名いただいたので、テストで「私はこういうオベイを持ってきましたけどどうですか?」と演技で提示しました。そのキャラ付けが制作サイドのイメージと合致していたみたいで、特にリクエストをいただくことなくすんなり役作りできたと思います。仮面を被っているオベイと素のオベイとのギャップをどうするかも、私が考えた表現に対してどちらのオベイも採用していただいたので、演じやすかったです。
「ジャパンカップ」で好きなシーンは?
――それぞれの立場によって思うところは違うと思いますが、ジャパンカップを終えたいまの気持ちをお聞かせください。
高柳:とてつもなく熱かったです。やはり世界の壁は厚いことをとてもとても感じましたし、ジャパンカップに登場する海外ウマ娘のキャストのお名前を聞いたときに「つ、強すぎる。これは世界だ!」となりました。実際にアフレコでご一緒しても、ひとりひとりの強さが半端なくて。それも含めて、これが世界だと私自身も実感しました。
オグリ的にはとてつもなく大きな壁にぶち当たって、とても苦しい展開でしたが、いままでにない存在とのレースは、走りたいという本能の中でワクワクするものでもあったんじゃないかなと思います。
香坂:私も、声がついて強者感が増し増しになったと思いました。原作で初めて海外勢を見たとき、フィジカルが強すぎて、日本勢大丈夫かな、と心配になるほどでした。そこに声がつき迫力がさらに増したので、声の力ってすごいなと感じました。でも、オグリから見たらライバルであり敵のような立ち位置になるわけですから、日本勢がんばれ! オグリ頑張れ!って気持ちにさせてくれる、すごく素敵なライバルたちで格好良かったです。
石上:原作で結果は分かっていたんですけど、その結果に至るまでのレースがどういうアニメーションで、どういう演出で描かれるんだろうって台本をもらうたびに毎回ワクワクしていました。海外ウマ娘は身長が高い娘が多いので、日本勢のウマ娘は小さく映っていますが、タマちゃんもオグリちゃんも末脚が格好良くて。海外ウマ娘よりも小さいのに走ると強い姿を見て、日本のウマ娘のことがより好きになりました。
アフレコに関しては、どの作品でもすでに出来上がった現場に新しく入っていくのはすごくドキドキするんです。でも、今回は海外ウマ娘が結構な人数だったこともありますし、現場のふわっとした雰囲気を高柳ちゃんと大空ちゃん(大空直美さん)が作ってくださっていたので、「第1クールからいましたけど?」みたいな感じでスッと入っていくことができました。現場はすごく居心地がいいです。
――では、レースの前後も含め「ジャパンカップ」で特に好きなシーンを教えて下さい。
石上:個人的には、第16話でベルノちゃん(ベルノライト)が海外ウマ娘たちにインタビューするシーンです。原作を読んだときから、ベルノちゃんのお当番回で大変だろうなと思っていたんです。でも、海外ウマ娘ひとりひとりにスポットが当たって、どういうキャラなのか音声で聴くと分かりやすくスッと入ってくるといいますか。オベイとしても、取材陣から興味を持たれず人と喋る機会がそこまでなかったので、ベルノちゃんとの会話が初めて仮面を被っている状態でしっかり喋る感じでしたから。ベルノちゃんが一生懸命英語を喋っているところも可愛かったです。
香坂:私が好きなのは、シチーとオグリが併走トレーニングをしたあとのアドリブですね(第16話)。オグリは髪が長くてあちこち引っかかるから、シチーに「シャンプーはなにを使っているんだ?」と聞くんです。そのあと、ちょっとキャッキャするシーンがあるんですが、知葉さんが「ギュってなって、イテって」とアドリブを入れていて(笑)。ちょっと口下手なところがすごくオグリっぽいし、めちゃめちゃ面白くて、私もほっこりした気持ちで自然にアドリブすることができました。シチーとオグリってこういう感じで接していたんだなと、2人の関係性も垣間見えるお気に入りのシーンです。
高柳:台本には、“オグリ・シチー「(アドリブで)」”と書かれていたので、そこに「ギュってなって」「イテっ」とメモしていました(笑)。アドリブって難しさもありますけど、そのキャラとして自然と会話ができたときは、キャラの理解といいますか、キャラとの心の距離がこんなに近くなったと実感できるんです。
香坂:分かります!キャラをより身近に感じて嬉しくなりますよね。
――高柳さんはいかがですか?
高柳:印象的なシーンはいろいろありますが、第17話Bパートでのミシェルマイベイビーとのシーンでしょうか。海外勢のラフプレーに直面して、ミシェルから急に英語を言われ、オグリが「英語、分からない!!」と返すところです。
石上:ここは最初の台本だとセリフが少し違っていたんですよね?
高柳:そうなんです。いったん台本のセリフのまま録ってみたところ、それはそれで良かったんですけど、原作では「英語、分からない!!」だったので原作通りのものも録ってみましょう、となったんです。やってみたら、みんながすごく笑ってくれて嬉しかったです。
石上:シリアスなシーンなのに、急にギャグみたいになるからね。でも、あれはギャグではなくて、必死なんですよね。
高柳:迫真の「英語、分からない!!」です(笑)。
香坂:ちょっとカタコトっぽく聞こえるのも、本当に可愛かったです。
高柳:オグリのピュアさがこの一言に表れているなと思って印象的でした。ミシェルのお芝居も相まって、すごく面白いシーンです。
英語の先生は、同じキャストのあの人!
――「英語、分からない!!」の言葉通りオグリは英語を喋りませんが、海外ウマ娘は英語のセリフもあります。その収録は大変でしたか?
石上:原作よりはだいぶ日本語になっていたんですけど、そのまま英語のセリフもあったので、現場で英語のレッスンが行われたんですよ。
高柳:藤井泉助役の高橋(大輔)さんが英語ペラペラな方なので、英語のセリフはすべて高橋さんに支えられています。でも、原作だと藤井は英語をめちゃくちゃ喋っているのに、アニメとして伝えやすい表現にするにあたり、アニメの脚本では藤井のセリフが日本語になっていて。せっかくペラペラなのに本編ではそれを発揮できてはいなかったですね(笑)。
石上:そうなんです。私たちは高橋さんに教えてもらいながら、必死にアフレコしていました。
高柳:それを聞いて、英語を全く喋らないキャストも「私たちもちょっと練習しようかな」と思って、小さな声で練習していたんですよ(笑)。
――3人とも英語は?
香坂:からっきしです。
高柳:心で会話する感じです。
石上:学校の授業で習ったぐらいです。
香坂:シチーも原作に英語で喋るシーンがあったんですよ。だから、アニメ化が決まったときに、「どうしよう……このセリフも喋るのかな?かっこよく言えるかな……」と思っていたんです。それに備えて家でセリフを読みながら練習をしていたんですけど、結局はなかったので少しだけホッとしました(笑)。
石上:英語のセリフがあると、事前に音源が送られてくるんです。でも、アニメだとそこに感情が入りますよね。例えば、「おはよう」も怒っていたら「おはよう!(怒)」ってなるじゃないですか。そういった違いは、音源のまま発音しても感情が入らないので、現場で「この感情だとどういうイントネーションになるのか」を指導していただきました。
香坂:ディレクションはありましたが、最終的には流暢な英語でお芝居されていたので、皆さんすごいなって。ビックリしながら聞いていました。
石上:海外の方が聞いたらどれだけカタコトに聞こえるんだろう?と思いましたけどね(笑)。
高柳:全部英語のまま字幕をつけると見るのも大変だと思いますし、一方で「英語、分からない!!」は英語で話しかけられないと成り立たないですから、ポイントポイントで英語を使ういい塩梅を制作の皆さんが模索してくださって。そのおかげでバランスが取れていたなと感じました。
3人が感じるオベイユアマスターの印象は?
――ジャパンカップのレース展開、特にオベイユアマスターの作戦や準備については、どのように感じましたか?
石上:私自身も下調べは結構するタイプなのですが、第16話の最後で部屋一面に調査した資料が貼ってあるのが映ったじゃないですか。擦り切れるほどテープを見て勉強する熱意もすごいですし、並々ならぬ思いでジャパンカップに挑んでいたと思うんです。これで勝てなかったら引退する、という気持ちだったのかなと思って演じていたので、彼女の想いが叶って良かったなと思います。
高柳:私は格好良いなって思いました。「仮面を被る」って、ものすごくセルフプロデュースが上手いってことですよね。私はそういうのが苦手で、見せたい姿があっても(素の自分が)漏れ出しちゃうんです。
石上:なかなかできないですよね。
高柳:めちゃくちゃ努力して、表に見せるキャラクター像を1から100まで練り上げていなかったら、きっとどこかで矛盾が生じると思うけど、オベイは一切それを感じさせない。本当にこういう子なんだろうなって思わせるぐらい努力を積み重ね、研究と鍛錬をした賜物であのオベイを出せているので、すごいなって思います。
香坂:本心が隠れすぎていて、ちょっと不気味でしたよね。まさかこんなキャラだったなんてと、最初は分からなかったですから。それぐらい分厚い仮面を被っていたんだなって。
石上:走り方すらも、ジャパンカップに出るまでずっと隠していましたからね。
香坂:キャラクター的にもオグリとオベイは結構違いますよね。
高柳:確かに、オグリはありのままの子なので、オベイと正反対の存在かもしれません。だからこそ、このレースを通してオベイから学ぶことが多かっただろうなって思います。
これは私の想像ですけど、走るために生まれてきたウマ娘たちは、一緒に走ったら私たちには分からないことまで分かり合うんじゃないかと思うんです。本能的な何かを感じ取るんじゃないかなと。なので、自分にないものを持っているからこそ、オベイと走ったことで感じるものが大きかったと思いますね。本人が自覚しているかは分からないですが。
石上:オベイもオグリのことをタマちゃんと同じぐらいの強敵だと認識していたので、また機会があったら競い合いたいですね。本編中に絡みはなかったですけど、すごく研究していましたから。
高柳:次までにもっと強くなりたいです。
香坂:それで言うと、シチーも結構オグリ寄りといいますか。シチーはいつも本当の自分を探していて、モデルとしての自分、レースで走る自分、全てがゴールドシチーなんだって認めてるし、認めてもらいたいんです。レース本番まで仮面を被っていたオベイとは対局の位置にいるタイプかなって思います。だからこそ、知葉さんが言ったように、頭脳で戦う大事さとか学ぶものが多かったでしょうし、ひとつの糧になったんじゃないかなと思いますね。
カサマツ時代とは違うオグリの“苦しさ”
――オグリはこれで2連敗という結果になりました。連敗といっても2着と3着ではありますが、勝てなくなったのは演じていてもつらいですか?
高柳:つらいというより、“苦しい”ですね。走りたいから走ってきたオグリは、カサマツの頃からいろいろな壁を乗り越えて、普通ではありえないぐらいの速度で成長し続けてきましたが、思うままに走るだけでは叶わないところまで来てしまった。本能的にはすごくワクワクしているだろうし、走っている瞬間は何物にも代えがたい高揚感があると思うけど、それだけでは勝てなくなったんです。
タマや世界という大きな壁にぶつかって、答えが見えない。どうしていいか分からない。勝ちたいのに勝てなくて、走るってなんだろう? 勝つってなんだろう?という迷いやもどかしさ、モヤモヤしたものがずっとオグリの心の中にあって。先の見えない状況がすごく苦しいなと思います。身体的な苦しさもあるでしょうけど、それ以上にやっぱり精神的な苦しさを、ここまで走ってきた中で一番色濃く感じています。
これまでは、北原から選択を迫られた瞬間が自分的には一番苦しいシーンでした。あのシーンは、なにが正解か分からず、走りたいから走るだけじゃダメだという現実に対する苦しさだったんですけど、いまはまた違った苦しさだなと。
――その苦しさは、オグリだからこそなんでしょうね。香坂さんや石上さんにはどのように映りましたか?
香坂:トップを行く者にしか分からない苦しみなんだと思います。どんどん強いウマ娘が出てくるのに、先が見えない。オグリは自分の中で抱える悩みを周りに「聞いて聞いて〜」って言うタイプではないですよね。そんなオグリだからこそ、より深く悩んでしまうんだと思います。寄り添ってあげたいけど、オグリのいるステージに追いつくのは、どのウマ娘にとっても至難の業ですから……。
――そこはオグリがすごすぎるだけで。
高柳:ここまですべて掲示板内(5着以内)ですからね。感覚がおかしくなるぐらい、とてつもない世界だなと思います。
――オベイもオグリのような戦績じゃないからこそ、このレースにかける思いが強かったのかもしれないですね。そういう気持ちは共感できますか?
石上:そうですね。私たち声優も、オーディションである意味“1着”を取らないと受からないのはウマ娘と一緒で、常に競い合っている感覚ではあります。そう考えてオベイを見ると、自分はまだまだ努力が足りないなと思っちゃいますね。
彼女の勉強熱心なところとか、(勝つために)仮面を完璧に被っていたこととか。それって自分との戦いでもあるじゃないですか。勝負事は常に昔の自分を超えなきゃいけないですけど、レースは過去の自分より1秒速く走ったところで、相手がそれより速かったら勝てないですよね。だから、どうしても人と比べてしまいますが、(相手を研究したり自分を磨いたりする)努力を欠かしてはいけないと思うんです。
オベイは周りのウマ娘を本当に細部まで観察していて。タマちゃんの隣のデンジャラスゾーンに入ってはいけないことも意外とみんな分かっていなかったのに、オベイはテープが擦り切れるまで見て、ここより近づいたら逆鱗に触れる、ここまでなら彼女の負けん気は発揮されないと勉強して走っていたんです。その努力が実って良かったなと思いますし、報われることが体現されたレースでもあったなと思います。
トニビアンカは第一声から説得力を感じました
――海外ウマ娘は演じるキャストも豪華です。皆さんとはだいたい一緒に収録できたのでしょうか?
高柳:はい。大まかには揃って収録できました。スケジュールが合わない話数もありましたけど、どの方とも最低1回は一緒になれたと思います。
――海外ウマ娘以外も含めて一緒に収録してすごいなと思った人や、掛け合いで影響を受けた人などを教えて下さい。
石上:一緒に走ったタマモクロス役の大空さんも挙げたいですが、『ウマ娘』ですごく重要なポジションは“実況”だと思うので、1人挙げるなら実況の赤坂美聡役の明坂(聡美)さんですね。ご一緒してみて、走っているのと同時に実況を入れる技術が本当にすごくて。
しかも、走っている私たちはモノローグで演じることも多いのですが、実況は常に声を張っていて、例えば残り200mのところでモノローグが入ったら実況はまた残り200mのテンションから始まるんですよ。そこのテンションのつまみ方が明坂さんは本当に上手なんです。滑舌も勢いもすごいですし、勢いを作っているのは、ウマ娘たちを演じる人の演技もありますけど、半分以上は明坂さんの実況が担っているんじゃないかと思いました。
高柳:いまこんなに盛り上がっている状況なんだと空気感を生み出しているのは、間違いなく明坂さんですよね。本当にずっと喋りっぱなしですごいです。
石上:「残り◯◯m!」とずっと盛り上がっていながら、そこからゴールに向けてさらに盛り上げていくのは本当にすごい技術だなって。モノローグを挟んでもちゃんと違和感なく実況されていますからね。
高柳:明坂さんの赤坂さんとしてのキャリアの長さが説得力を生んでいるんだろうなって思います。説得力でいえば、トニビアンカの強者っぷりもすごかったです。甲斐田裕子さんが演じてくださるなんて、こんな贅沢な話があるのかと思いましたし、最初の登場からもう強者のオーラが半端なくて。一言一言に重みを感じました。
石上:ほかの海外ウマ娘とは一味違いますよね。
高柳:そうなんですよ。世界のハードルが高いという説得力を、トニビアンカは第一声から出していたと思います。あと、ミシェルマイベイビーも最高でした。高垣彩陽さんのお芝居がアメリカン! パワフル! ダイナミック! エキサイティング!って感じで。
香坂:そこに可愛さも兼ね備えていますよね。
石上:なんというか、陽キャですよね(笑)。
高柳:そうそう。陽キャの圧がすごかったです(笑)。いままでにいないタイプのキャラクターですし、タマちゃんとの身長差がえげつなくて。レース中の絵としても、キャラクターとしても新たな勢いをつけてくれる存在で、高垣さんのお芝居でさらに色濃くなって魅力増し増しになったと思います。
香坂:これはラフプレーじゃないの?となるシーンでも、彼女のキャラクターとお芝居のおかげで全然嫌味がないというか。わざとラフプレーをしているのではなく、闘志があふれて、気持ちだけじゃなく体もぶつかってしまうほどレースに対して熱いところも、ミシェルマイベイビーの魅力だなって思います。
高柳:海外ではこれだけパワフルな戦いが(日常的に)行われているんだって、それを自然と出しているキャラクターですよね。
石上:私は“ラフプレー”って言葉も『シンデレラグレイ』で初めて知ったんですよ。そういう走り方があるんだと勉強になりました。
高柳:本当に、ゲームにはなかったキャラクターといいますか、原作漫画担当の久住太陽先生がデザインされた『シンデレラグレイ』の世界だからこそ生まれたキャラクターたちだなって感じます。それがアニメになって声がつき、アニメらしい描かれ方をして、また新たな魅力を感じていただけたんじゃないかなと思います。
香坂:私がすごいと感じたのは、大空さんです。彼女は憑依型といいますか、今キャラが降りてきているなって、声からもお芝居をしている様子からも伝わってくるんです。大空さんはマイク前で結構体を動かして演じられるのですが、そこに本当にタマモクロスがいると錯覚してしまうぐらい、身も心もタマモクロスになっている。熱量を込めて演じてらっしゃる姿にいつも感動していました。
特に、ジャパンカップが終わったあと、(また走って欲しいとオベイユアマスターに言われて)「機会があったらな」と含みをもたせたセリフがあったじゃないですか。取り繕いながらも放ったその一言から、タマが抱える葛藤がすごく伝わってきて。本当に泣きそうになりました。
――モチーフになった競走馬のことを知っていれば、タマモクロス号を思い出して感じるところがあったでしょうね。
香坂:そうなんです。今後の展開を知っているから、いろいろと思うところがあって・・・。タマちゃんの決意や覚悟、寂しさ、そういったことが全部含まれた素敵なお芝居だったなと思いました。
第2クール終盤は、涙なくしては見られない熱い展開に
――『ウマ娘』シリーズはさまざまなコラボも実施して、作品を知らなかった方に興味を持ってもらうなど裾野を広げてきました。今後、『シンデレラグレイ』でやってみたいコラボがあれば教えて下さい。
香坂:海外でもなにかコラボ展開して欲しいです。
高柳:ぜひして欲しい! 第1クールは海外の方もたくさん見てくださったそうですし、第2クールは各国のウマ娘が登場していますから。世界のいろんな国に『シンデレラグレイ』の面白さを伝える機会がもっともっと増えたらいいなと思います。ジャパンカップに出走したウマ娘も思わぬコラボをしてくれないかな、って期待しちゃいますね。
香坂:飛行機とか?
高柳:ウマ娘ジェットは夢が広がりますね。いろんな企業さんとのコラボで、ますます展開が広がっていったら個人的にも嬉しいです。
――海外コラボのときはオベイユアマスターもぜひ!
高柳:一緒にアメリカに行きましょう!
石上:行きます!!
高柳:コラボだけじゃなく、なにかのタイミングで海外の方と一緒に盛り上がる機会があったらすごく嬉しいです。
――そのときは、皆さん英語を勉強して。
高柳:絶対(通訳を兼ねて)高橋さんにも来ていただきましょう!(笑)
石上・香坂:(笑)。
――では最後に、第19話以降の第2クール終盤の見どころや、どんな風に楽しんでもらいたいかお聞かせください。
高柳:オグリはここ2戦負けてしまって、すごく苦しい状況にいますが、ひとつひとつの経験がオグリをとてつもなく大きく進化させていくことは間違いないと思います。この先、オグリがどこまで進化をしていくのか、進化した先で見るのはどんな景色なのか、ぜひ一緒に見届けていただきたいです。私も進化したオグリの力になれるように、精一杯演じていきたいと思っています。
石上:オベイユアマスターはジャパンカップを終えて出番がいったんなくなってしまいますが、私はあえて原作のジャパンカップ以降を読んでいないので、第19話からは皆さんと同じ視聴者として楽しもうと思っています。一緒に楽しみましょう!
香坂:これからオグリとタマにとって大きな転機となるようなレースが控えています。魂がぶつかり合う熱いレース展開になっていますので、ぜひ楽しみにしてください。シチーはジャパンカップを終え、友達を見守り支える立ち位置になっていきます。私もシチーと一緒に、頑張るみんなを応援していきたいと思います。
――楽しみにしています。ありがとうございました!
[取材・文/千葉研一]