イタリアでゴールデンリングを授与された鬼才、原一男監督が最新作『遺言三部作』製作のためのクラファンを開始
1987年公開の『ゆきゆきて、神軍』で知られる映画監督、原一男が昨年の秋、イタリア・ナイトメア映画祭でゴールデンリングを授与された。また、イタリア、北京、広州、香港、韓国など世界の映画祭で、前期の作品と『水俣曼荼羅』が上映された。 近作である2021年公開の『水俣曼荼羅』は、キネマ旬報ベスト・テン 文化映画ベスト・テン第1位/日本映画ベスト・テン第5位、毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞を受賞している。
優れたドキュメンタリー映画を世に送り出してきた原一男
『さようならCP』以来、一貫してインディペンデントでの映画制作を行ってきた原は、多くの映画制作者たちが目を向けることがなかったテーマに果敢に挑み、優れたドキュメンタリー映画を世に送り出してきた。映画を目撃した誰もが傍観者ではいられなくなる、予定調和の物語世界にドキュメンタリーを封じ込むことを拒み続ける姿勢は、今回の受賞が証明するように、国境を超えて全世界に計り知れない衝撃を与え続けている。
このように、世界が監督の動向に再び注目しているなか、現在『水俣曼荼羅part2』の撮影に着手している。前作は原告団と支援者たちの裁判闘争を軸に、人間の暗闇や原罪に迫る372分にもおよぶ超大作であったが、今作はその10倍の熱量と濃度が作品に込められていると制作者たちは語る。
クラファンで『水俣曼荼羅part2』の制作費1000万を目指す
2024年の1月より『遺言三部作』の撮影を再開させ、経費節約のためひとりで東京~水俣間1300kmを運転、車中泊でカメラを回してきた原一男だが、ついに制作費がピンチという状況に追い込まれている。
そこで、半年前より疾走プロ、スタッフで準備してきたクラファンをスタートさせた。まずは『水俣曼荼羅part2』の制作費1000万を目指し、昨年12月14日(土)より、プロジェクトページをオープンした。終了は2月28日(金)。今年80歳を迎える原監督の遺言とも言うべきこの作品の完成に、ひとりでも多くの協力者が現れることを切に願わずにはいられない。