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令和の北陸大返し【前編】~金沢から福井県・鯖江へ、道中の史跡を紹介致す!~

さんたつ

鼠多門、表紙前田利家

皆々、息災であるか前田又左衛門利家である。此度の戦国語りでは前回に引き続き、金沢城から名古屋城まで歩き、道中の史跡を紹介致す!名付けて「令和の北陸大返し」、五日間で250kmを進んで参るぞ!

出発の前に、金沢城の紹介じゃ!

前回は出発の地である我が金沢城を紹介致したわな。

此度はいよいよ金沢城を発ち、金沢の街へと進んでまいろうと思う。

のじゃがその前に!

実は金沢城の紹介したい場所が二つほど残っておるで簡単に紹介してまいろう。

一つ目がこの短冊石垣。

様々な形の石が用いられておって風流な石垣であろう。

それもそのはず、この石垣は庭園の一部として、趣を求めて独特の積み方がなされておるのじゃ!

上の方にくの字の雨樋が見えるじゃろう。

これもただの排水目的ではなく、水を流して滝として鑑賞するためのものなのじゃ!

庭園の一部として石垣を利用するのは誠に珍しいことで、この石垣は「石垣界の異端児」とも呼ばれておるそうじゃ!

三十間長屋から少し西に進んだ所にあるで忘れずに訪れるが良い!

鼠多門(ねずみたもん)を背に。

石垣から更に西に進むと見えてくるのは鼠多門。

他の門と異なり、黒い漆喰を用いた海鼠(なまこ)壁が特徴的な門である。

西側の要の門で、この門を出るとわしが祀られておる尾山(おやま)神社じゃ!

此度の北陸大返しはこの門から出発致すとしよう!

鼠多門。

それでは改め、いざ出陣!!

〈令和の大返し一日目〉金沢~大聖寺

金沢城下には我が家臣の屋敷がいくつか残っておって、古き趣を感じられる作りとなっておる。

街並みを眺めながらゆるゆると歩いておると、水路が見えて参る!

これは大野庄用水。

古くから民の暮らしを支えた用水で、金沢城築城の折には木材を運ぶためにこの川を用いたのじゃ!

正に我ら武士が築いた街であるとよくわかるじゃろう!

犀(さい)川を越えどんどんと進み、国道157号へと入った。

国道157号は金沢市と岐阜県岐阜市をおおよそ直線的に結ぶ道で、金沢から名古屋まで直行するならばこの道じゃ!

然りながら、厳しい山と曲がりくねった道を開いて通らねばならんで、玄人向きの道といえよう。

無論市街地を進むには快適な道であるぞ!

この道を一刻ほど進むと見えてくるのは野々市市。

そして更に進めば白山市へと入る!

この辺りで道を国道157号から国道8号へと変える。

国道8号はかつて北陸道と呼ばれた畿内と北陸を結ぶ重要な街道であった。

無論我ら武士も通ったのがこの道じゃ!

美しい白山を左手に歩き続けておると、

道の駅を見つけたでしばし一休みじゃ!

因みにこの白山は日ノ本でも有数の霊山信仰が盛んな山で、日ノ本中に白山神社が建てられておる。

信長様の弟君・信勝様が厚く信仰しておったことでも知られておるわな。

そんな話をしておったら見えて参ったのは、

手取(てどり)川である!

大きな美しい川じゃが、この川はかつて我ら織田北陸方面軍と上杉謙信殿の激しき戦が起こった場所である。

結果、織田軍は大敗、北陸方面軍として柴田勝家様や佐々成政と共に軍を指揮したわしには苦き記憶の残る地じゃ。

じゃが、400年越しに見ると我らを苦しめた急流とは思えぬ程に穏やかで良い川であったわ!

手取川を越えて、松井秀喜殿の故郷を通り過ぎ、小松市へと入った。

この地には安宅(あたか)公園と呼ばれし大きな公園があるのじゃ!!

この地はかつて安宅の関があった場所。

源頼朝様の怒りを勝った義経様が奥州へ落ち延びる折に通った場所として有名な地である。

義経様は山伏の装いで関を越えようとするも、怪しまれたところ、武蔵坊弁慶が義経様を金剛棒で殴りて疑いを晴らした。

歌舞伎「勧進帳」にて描かれる主従の絆を描いた人気の話は、この地が舞台となっておる。

故にこの地には弁慶様の像が立っておったぞ!

安宅公園から更に歩くこと五時間、小松空港を越え、

新堀川や、

小野坂を越えて大聖寺(だいしょうじ)にいたりて一日目は終いとあいなった。

此度は訪れること叶わなかったが、小松には小松城がある。

一国一城令にて大名は一国に一つしか城を持つことを許されなかったが、我が前田家は特別にこの小松にも城を持つことが許されたのじゃ!

故に小松も大いに栄え今に至っておる。

大返し一日目は金沢から大聖寺へとおおよそ50kmを進んで参った!

時間にして11時間、歩数にすると7万歩くらいかのう。

市街地を主に歩いたでな、さしたる苦労もないよき旅路であった!

〈令和の大返し二日目〉大聖寺城~鯖江

二日目の始まりは大聖寺城からじゃ!

大聖寺城は鎌倉時代に築かれ、その後も中先代の乱や南北朝時代で戦の舞台となった。

戦国時代には柴田勝家様が改修し、織田家と上杉家が取り合った城でもあるぞ。

江戸時代には我が前田家の分家として大聖寺藩が興りこの地を治めておった。

大聖寺を発ちて北陸道を二時間ほど進むと越前国、福井県へと入る!

県境の山々を乗り越えれば美しい田園が一面に広がっておるぞ!

越前入りから再び一刻、見えて参るは北陸唯一の現存天守、

丸岡城である!

黒く趣の深い天守に自然石を用いた粗い石垣。

武骨で古き装いの城として根強い人気を誇る城じゃ!

目の粗い石垣は、雨の多い北陸で石垣が崩れぬよう排水性を高めるための作りである!

他にも寒さに強い石瓦が屋根に使われておったり、この地ならではの工夫が見える城じゃ!

天守はもちろんじゃが、2025年に新たに開かれたばかりの「丸岡城観光情報センター」も見て行ってほしいわな!

丸岡城の笏谷石(しゃくだにいし)の瓦や鯱が展示されておる他、

甘味を堪能したり、観光情報を得たりすることもできる!

ガラス張りで丸岡城を眺めながらゆるりと時を過ごせる場所となっておるぞ!!

丸岡城へは福井駅からバスが出ておって、交通の便も良いから北陸を旅する折には立ち寄ってほしいのう!

丸岡城から再び北陸道を歩くこと三時間、

たどり着いたは福井城である!!

徳川家康殿の次男、結城秀康殿の城として改修され石垣と水堀が見所の城である!

現世においては福井県庁が本丸に収まっておる。

我らの時代、城は平時は政を執り行う場所、福井城は現世も戦国の世も同じ役割を担っておるといえるわな。

福井城は元々この地にあった北ノ庄城を改修してつくられた城である。

北ノ庄城を治めておられたのは柴田勝家様である!

福井城からほど近くには北ノ庄城址がある。

この地はかつて北ノ庄城の天守があった場所とされておる。

柴田様の像も立っておるで、福井城を訪れる折には併せて足を運んでほしいのう。

柴田様が築いた北ノ庄城下町が現世に続く福井の街の原型となり、現世においては恐竜の街としても知られる観光名所となっておる!

これもまた我ら武士が作った風景とも言えるじゃろう!

福井城を出ると二日目もいよいよ終盤である。

現世の明るい夜を進みてたどり着いたのはめがねの街、鯖江である。

この辺りは泰澄(たいちょう)大師のゆかりの地じゃ!

泰澄大師とは白山を開き、わしが生まれ育った荒子観音を造られたお方じゃ。我ら前田の家にとっての重要人物であるといえよう。

この辺りはかつて鯖江藩があり、家臣の屋敷の長屋門が残っておるぞ!

鯖江に着いたは間もなく日が変わる頃合い、故にこの地にて宿を取り二日目終いである!

二日目はおおよそ55kmを13時間で進んで参ったぞ!

歩数はよう分からんくなってしまったで省くわな。

しまいに

真・散歩の達人「令和の北陸大返し」、

一、二日目を紹介致した!

如何であったかのう。

現世の街並みを進んでおるけれども、北陸道といくつかの城郭は我らの頃の姿と大きくは変わらぬ懐かしさをも感じる不思議な旅となっておる。

此度の話を見て、北陸へと旅をしたいと思うてくれたらば嬉しい限りじゃ。

そして、地元に住む者にとっても近くにこんな史跡があるのかと気づきになれば良いのう。

さて残り三日、我が旅はいかにして進んでいくのか。

次の戦国がたりも楽しみに待っておれ!

文・写真=前田利家(名古屋おもてなし武将隊)

前田利家
名古屋おもてなし武将隊
名古屋おもてなし武将隊が一雄。
名古屋の良き所と戦国文化を世界に広めるため日々活動中。
2023年の大河ドラマ『どうする家康』をきっかけに、戦国時代の小話や、戦国ゆかりの史跡を紹介している。

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