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有楽町のガード下から生放送の音声配信もする居酒屋『まんぷく食堂』。昭和レトロな店内で昔ながらのナポリタン!

さんたつ

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JR有楽町駅からすぐのガード下・有楽町コンコース内に1996年創業の居酒屋『まんぷく食堂』がある。昭和レトロの落ち着いた雰囲気のなかで、昔ながらのナポリタンやポテトサラダをつまみにお酒が楽しめる。また、毎週火曜日に店内から生放送している音声配信や、不定期で行われる音楽や演芸のイベントなど、エンタメ要素もたっぷり!

まんぷく食堂(まんぷくしょくどう)

昭和30年代をモチーフにしたレトロな雰囲気ムンムンの居酒屋

JR有楽町駅中央西口を出て、新橋方面に線路沿いを1分ほど歩いたところに1996年創業の昭和レトロな居酒屋『まんぷく食堂』を見つけた。ガード下の仄暗さのなかに趣のあるアンティークのドアがはめ込まれ、店内には昔懐かしいブリキの看板が飾られていてまるで昭和にタイムスリップしたみたい。

日比谷と銀座をつなぐトンネルの中に店がある。写真は銀座側から見た様子。『YURAKU CONCOURSE』のフォントが気に入った。

店頭にあったおいしそうなナポリタンの看板に促されるように店の中に入った。何を隠そう、筆者はナポリタンが大好物なのだ。

名物はナポリタンらしい。おひとりさまも歓迎とのことで安心して店の中に入った。

「いらっしゃいませ!」と元気よく声をかけてくれたのは、オーナーのミッシェルさん。創業者の旦那さまから2014年ごろに店を引き継いで営業しているという。

「最初は夫が好きだった“昭和30年代”をテーマにした居酒屋だったんです。外観は昭和の商店街を表現したくていろんな建物の扉を並べていたり、店内の天井の梁にわざと電線を剥き出しにして張り巡らせたり。壁に貼ってあるブリキの看板は夫のコレクションなんですよ」

交友関係が広いミッシェルさん。彼女に会いに来るお客さんが多い。お店のSNSに彼女の出勤スケジュールを公開している。

昭和のブリキ看板はデザインもコピーも味わいがあって面白い。ふと天井に目をやると、透明のアクリル板の向こうに高架のコンクリートが剥き出しになっているのが見える。これは大正3年(1914)に新橋と有楽町をつなぐ高架ができた時のものだ。

「レトロな雰囲気は創業から変わらないのですが、時代に合わせてこの店も変化してきました。特にコロナ後はSNSの時代だ! と思って、FacebookやInstagramなどで店の情報を発信するようになったんですけど、そのおかげで若いお客さんも増えてきたんです」

昭和レトロの落ち着いた雰囲気だが、ブリキの看板や壁に書かれたサインなど情報が盛りだくさん。

オープン当初から有楽町で働く人たちが仕事帰りに立ち寄る店だが、現在は30〜40代くらいがコア層。大人の雰囲気がありながら、ちょっとガヤガヤしているところがいい感じだ。

毎週火曜のラジオ放送、店内の音楽イベントなど店から発信するエンタメも充実

店に着いた時から気になっていたのだが、日比谷側の入り口に『元祖ライブ配信居酒屋 まんぷく食堂』と書いてあり、なんと店の一角にスタジオを併設している。

「誰でも音声配信ができるアプリ『stand.fm』を使って、毎週火曜日の20時から店でライブ配信をしているんですよ。ラジオのパーソナリティを目指していた友達が毎週来てくれるんですけど、私もおしゃべりが好きですしリスナーさんとの交流も楽しいです。SNSを通じて友達がたくさんできました」

日比谷側の入り口のところにあるラジオブース。

そして2023年の夏から始めたのは「居酒屋夏フェス」。演者はミッシェルさんの友達や有楽町の駅前にいる路上パフォーマーらだ。

「ウチは扉を全部外しちゃうと路上と同じような感じですから(笑)。それにガード下なので音はいくら出してもOKなんです。何か店で面白いことをやろうという話になったときに『夏フェス』の案が出たのがはじまりでした。会場作りから、音響、写真・動画の記録係、スタッフ用のまかない作りまで、友達がみんなボランティアで手伝ってくれたんですよ」

お客さんにはチャージをもらわない代わりに、気に入った出演者に投げ銭をするスタイルを導入した。「友達で作り上げるフェスだから文化祭みたいな感じです(笑)」と笑うミッシェルさんだ。

2024年に第2回を開催し、さまざまなアーティストが登壇した(写真提供=まんぷく食堂)。

それにしてもミッシェルさんの交友関係の広さと行動力には目を見張るものがある。

「店を継ぐまではずっと専業主婦だったんですが、そもそもクリスマスの飾り付けやDIYなど手作りするのが好きだったんですね。もともと仕事人間じゃないから仕事のために店に来るというのではなくて、まずはこの店を自分にとっての遊び場にすればみんなも集まってくれるんじゃないかって思って。だから、いつも今度は何をやろう、何やったら楽しいかなと毎日ワクワクしながら考えてます」

フェスだけでなく、音楽ライブやマジック、よさこいなど不定期で楽しいイベントを行なっている(写真提供=まんぷく食堂)。

いつも楽しそうなミッシェルさんの周りには自然と人が集まる。最初は小さな文化祭だが、少しずつその渦は大きくなっているのだ。

口の周りを真っ赤にして食べたい、なつかし系ナポリタン

ミッシェルさんの楽しい話は尽きないが、そろそろ店頭で見たナポリタン1100円をいただきましょう。付け合わせにポテトサラダ748円、オリジナルカクテル・あん時のチス968円をオーダー。

ちなみにメニューは枝豆や唐揚げなど居酒屋の定番ものから、ガッツリ食べられるステーキや海鮮丼なども用意されている。

サラダ油ではなく、マヨネーズで具材を炒めるのがポイントだ。
炒めた具材をケチャップで味付け、茹でて一晩寝かせたスパゲティを投入。よく絡めて味をなじませる。

タマネギやピーマンを炒め、ケチャップなどの調味料を加えたらさらによく炒めて酸味を飛ばし、ソースに甘みを出すのがポイントだ。

一方、看板メニューに合わせるドリンクは唯一無二のオリジナルだ。何よりあん時のチスという個性的なネーミングに興味をそそられる。

濃厚な北海道産生乳で作られたアイスクリームと旨味を引き立てるピンクソルトをONして完成だ。

「これは私の友達で、ディズニーおたくYouTuberのBobby Maihamaさんが考案したメニューです」とミッシェルさん。辛口のジンジャーエールとビールのカクテルで、グラスの底にブルーベリージャムかイチゴジャム、トッピングに北海道で酪農をやっているミッシェルさんの友達から取り寄せた濃厚なアイスクリームがのる。

「ほんのり苦くて甘酸っぱいテイストだからあん時のチス(あの時のキス)なんですって。ちなみにアルコールなしだとプリティさんという商品名になります」

ビールカクテルにフルーツジャムやミルクアイスとは……これいかに。さっそくいただいてみましょう。

昔ながらのナポリタンだけに、トッピングにはタコさんウインナーがON!

かわいいタコさんたちを愛でつつ、まずはナポリタンをひと口いただきます。もっちもちのスパゲティにたっぷりコクのあるトマトケチャップが絡んでいる。想像していたより2割増しくらい甘めだ。

そこへよく混ぜたあん時のチスをゴクリ。ビールの苦味がほんのりあるけど、ビリッと辛いジンジャーエールとベリーのフルーティーさ、ミルクのまろやかさがマッチして、ノンアルカクテルみたい。お酒が苦手な人も飲みやすそうだ。

ナポリタンの上に並ぶ3つのタコさんズがかわいくて激写。タコさんウインナーは単品680円もある。
もちもちと弾力があるスパゲティと甘めのケチャップ味にホッとさせられる。

ニンジン、キュウリ、タマネギが入り、食感と風味が豊かなポテトサラダはなめらかな口当たりだ。これをチビチビと舐めながらお酒を飲みたくなる!

ジャガイモを茹で、昔ながらの製法で手作りしているポテサラもナポリタンに並ぶ人気メニュー。

ミッシェルさんにフェスの話を聞かせていただきながら3品すべて完食! ごちそうさまでした。

帰りに店頭にあった顔はめパネルとミッシェルさんを撮影。ミッシェルさんの笑顔を見てるとなんかイイコトある気がする。待ち受けにしようかなと考えながらルンルン気分で帰途に着いた。

店頭にある顔はめパネルは外国人にも人気。ミッシェルさんに入ってもらいました。

まんぷく食堂(まんぷくしょくどう)
住所:東京都千代田区有楽町2-4-1/営業時間:月・火17:00〜23:30、水〜金15:00〜翌2:30、土12:00〜23:30、日12:00〜22:30/定休日:無/アクセス:JR・地下鉄有楽町駅または地下鉄日比谷駅から徒歩1分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢

アート・サプライ
編集プロダクション
1971年創業の編プロ。「旅&食&散策」ジャンルに強く、情報誌では子供向けから鉄道やドライブでの大人旅まで。さらにグルメ系ではラーメンや唐揚げ専門情報誌をはじめ、日本全国うまいもの紹介なども手掛けている。

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