【佐倉市】時代を映す錦絵 ー浮世絵師が描いた幕末・明治ー 5月6日まで開催!浮世絵研究者が語る鑑賞のツボ
国立歴史民俗博物館では、大河ドラマで注目が集まる蔦重や写楽・歌麿の活躍期とは異なる激動の幕末・明治初期に次々生まれた新ジャンルの錦絵を展示します。歴博で浮世絵研究を専門とする大久保純一教授に鑑賞のツボを伺いました。
時事ニュースを伝えるメディアだった
そば1杯16文という時代に絵双紙(えぞうし)屋で20〜30文で入手できた錦絵は、大名の奥方から長屋の住人、子どもまで幅広く親しまれ、流行に敏感な江戸の民衆に世間の出来事を伝えるメディアでもありました。
本展では、当時流行していた民間信仰や見世物、横浜の開港といった出来事や、大地震や疫病のまん延、戊辰戦争などの激動の時代を描いた錦絵の歴史資料としての側面に光を当てます。
「鯰絵」から読む安政大地震への思い
錦絵の中に「五条の橋に立つ弁慶」に見える絵があります(※1)。
よく見ると鯰が斧(おの)・鋸(のこぎり)など土木建築の道具を背負っています。
この絵がはやったのは江戸市中に大きなダメージを与えた安政2年の大地震の直後。
俗に地震の元凶とされていた地中の大鯰(おおなまず)を描きました。
江戸っ子といえば「七(なな)つ道具」を「なまづ道具」と洒落(しゃれ)たりして、洒落や皮肉が好き。
復興景気で潤った建設関係者への皮肉を描くことで留飲を下げたのかもしれません。
浮世絵師が込めた謎解きの楽しみ
江戸時代後期の出版統制や天保の改革により庶民の娯楽への規制が厳しくなると、規制をかいくぐる表現が発達し、錦絵に「風刺画」と呼ばれるジャンルが確立したそうです。
絵師や版元は絵の真意が単純に分からないように工夫します。
歌舞伎や読み物を通して知られた物語は隠れみのとして画題によく選ばれました。
一方、客側は持っている知識を生かして解読に努めます。
直接描かれてなくても「実は○○の絵らしい」という噂や怪しい匂わせが、その絵の評判を高めて売上増につながり、大ヒットにつながったようです。
当時の民衆のようにピンとこなくても、本展では各絵に解読のヒントとなる歴史解説が付くそうで「なるほど、そういうことか」と謎を解き明かす楽しさがあります。
絵師の真意を謎解きに行きませんか。
時代を映す錦絵ー浮世絵師が描いた幕末・明治ー
日時/3月25日(火)~5月6日(火・休)
場所/国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
住所/千葉県佐倉市城内町117
問い合わせ
電話番号/050-5541-8600 ハローダイヤル
詳細/https://www.rekihaku.ac.jp/event/2025_exhibitions_kikaku_nishiki.html