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釣りで「ひきこもり」支援。日本釣振興会が秋川国際マス釣場で釣り体験会を実施。社会参加のキッカケに

釣具新聞

釣り体験の様子。笑顔があふれたニジマス釣り場

「魚釣りを人生の趣味とする人が増加すれば、『不登校』や『ひきこもり』の予防になるのではないか」。そんな打診に呼応する事業を、公益財団法人日本釣振興会が10月8日、東京都あきる野の管理釣り場「秋川国際マス釣場」で開いた。

青少年の健全育成など、魚釣りを通して社会貢献にも注力している日本釣振興会だが、何らかの理由で社会参加への場面が狭まっている人たちのサポートに乗り出すのは、今年度が初めて。

日本釣振興会が新規事業として今回実施したのは、NPO法人青少年自立援助センター(東京都福生市・河野久忠理事長)の利用者を秋川国際マス釣り場に招き、ニジマス釣り体験と釣り終了後のバーベキューを楽しんでもらおうという催し。

NPO法人青少年自立援助センターは、ひきこもり支援事業を基軸に、社会的弱者の子どもや若者を多角的に支援し、自立へと導く支援事業を展開する施設。

この日は、同センターより17歳から41歳までの11人の利用者と河野理事長含む職員4人の合計15人。日本釣振興会側からは常見会長、櫻井孝行東京都支部長、下山秀雄専務理事始め、岡野和好氏(岡野釣具)、小室真彦氏(櫻井釣漁具)、鈴木伸一氏(JOFI)、新井勝之氏(同)、増田孝子氏(同)、三村達矢事務局長の合計9人が参加した。

釣りを通して自然を楽しんで!成功体験が青少年の成長に

当日、あいにくの雨天のため、開会式は午前10時から釣り場前のバーベキューハウス内で行われた。 

常見会長が「今日はニジマスの釣り体験教室です。なかなか釣りをする体験はないと思いますが、魚を釣る体験を通して自然を楽しんでください」。

「釣りを通して自然を楽しんで」。挨拶する常見会長

河野理事長が「日本釣振興会さんの全面バックアップで開催頂き、大変ありがたく思っています。釣りは本当に楽しく、息抜きにもいい。魚は食べても美味しい。皆さんもこれを機会に、釣りに楽しめるようになって頂ければと思います」などと挨拶した。

釣りで不登校やひきこもりを予防し、社会参加へのキッカケにと提唱、同振興会に協力を要請したのは、参議院議員の下野六太氏。

開会式には同議員秘書の成松明氏が姿を見せていた。「日本釣振興会さんが入念に準備をして頂き、感謝申し上げます。こうした釣りの体験、特に釣り上げた時の成功体験を積み上げていくことが青少年の成長、社会で活躍していくために重要と考えます」などと述べ、取り組みに感謝の意を示した。

下野参議院議員秘書の成松氏も会場に駆け付けた

この後、三村事務局長がバーベキューハウスすぐ真下の3区画をニジマス釣り体験で使用することや竿、エサなどについて説明し、楽しいニジマス釣りとなった。

小雨の中、ニジマス釣りとバーベキューを堪能

しとしと小雨が降り続く中、参加者たちは雨合羽を着用して実釣。事前に放流されている20~25‌㎝ほどのニジマスが泳ぐポイントに向けて、竿を振った。

最初、エサのブドウ虫やイクラの付け方がままならず、スタッフにサポートしてもらう光景も。

ところが、釣り上げるニジマスが増えるごとに率先して自らエサを付け、目を凝らして浮きを見つめ、間髪を入れずアワせをするなど、皆真剣モード。アワせのタイミングが合わず、水面でバラしてしまう場面も少なくなかったが、それでも釣り場には参加者の笑顔が絶えなかった。

次々にニジマスを釣り上げる参加者。日本釣振興会のスタッフも大忙し
釣ったニジマスは網袋へ入れ、バーベキューに

ニジマス釣りは正午に終了し、その後、参加者たちはスタッフが調理したニジマスの塩焼きや焼き肉、焼きそばなどに舌鼓を打つなどし、豊かな河畔林に両岸が覆われた渓流に身を置く時間を満喫した。

日本釣振興会スタッフによる調理も手馴れたもの
バーベキューハウスで焼き肉などに舌鼓を打つ参加者

青少年自立援助センターからも好評。釣り体験教室の継続を求める声も

ニジマス釣りを楽しむ利用者の姿に目を細めながら河野理事長は、次のように話した。

青少年自立援助センターの河野理事長


「もともと不登校だったり、家に引きこもっていた方たち。ひとりぼっちの時間が長かったので、何かキッカケがないと釣りなどに取り組む機会がありません。楽しかったという思い出が置き去りになっているので、今日は面白いなと思って頂けたら嬉しい。

後々、皆が仕事をしていく時に仕事は仕事として、後は息抜きの余暇の時間をどう過ごすかとかの選択肢は多い方がいい。そういうことを下野議員と話す中で、このニジマス釣り体験の話があり、我々としては良いキッカケだと思いました。

このような事業が継続してあると、年中行事として釣りの楽しさを知って頂けるし、いずれ彼らも親になった時、子どもにも伝えていってほしい。そういう意味でも、釣り体験教室が継続されたらと思っています」。

【小島満也】

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