引っ越し、進学、単身赴任など。新生活に向けた「整理・収納術」をシーン別にプロが伝授!
片付けは過去を振り返って、未来を見据えながら上手に手放していくのがポイント
今回は新生活の「整理・収納」について「RittaStanza(リッタ・スタンツァ)」代表、整理収納アドバイザーでお部屋と心のカウンセラーでもある中山真由美さんにSBSアナウンサー牧野克彦が聞きました。
<目次>
・子どもが大学進学で引っ越す場合
・夫が単身赴任で引っ越す場合
・家族全員で引っ越す場合
・引っ越さないけど部模様替えや処分をしたい場合
・新生活の時期に多い整理・収納の相談
子どもが大学進学で引っ越す場合
牧野:いよいよ新生活が始まるぞという人も多いと思いますが、ちょうどこの時期は整理や収納を考えるのにいい時期ですよね。
中山:そうなんです!この時期は物を見直す絶好のチャンスで、これまで手放せなかった方も捨てることができる“魔法の季節”だと思います。ぜひやっていただきたいです。
牧野:今日はケース別にいろいろ教えてください。進学や単身赴任で家族が1人減るケースはいかがでしょうか。
中山:まず「子どもが大学進学で引っ越す」場合は、一旦出るとあまり戻ってこないと思います。だからこそ、一人立ちは人生のリセットと捉えて物を半分ぐらい減らして、1年以上使わなかったら手放す勇気を持って整理してください。
牧野:1年ルールですね!
中山:ちょっと苦しいかもしれませんが、仕事で訪れる多くの家庭で、子どもが物を置いて家を出て以来、何十年もそのままという家が多いんですよ。
牧野:それ、うちの実家です(笑)。
中山:残された親側が困っているケースが非常に増えているので、お子さん側も「自分の新たな旅立ち」として、過去を振り返りながら、手放すようにしたらいいと思います。
夫が単身赴任で引っ越す場合
牧野:では「夫が単身赴任で引っ越す」場合はいかがですか。
中山:単身赴任の場合は、のちに帰ってくるので、旦那さんは持っていく物を厳選して引っ越し、大切な物は自宅に保管して赴任してください。
ここで残されたご家族にお願いしたいのは、空いたスペースに多くの家庭では自分たちの物を置いてしまうのですが、それでは旦那さんが帰ってきた時に置くスペースがなくなって大変ということになってしまいます。必ず物が戻ってくることを考えて整理や配置をしてください。
牧野:お父さんの心情的にも帰った時に自分のスペースがなくなっていたら悲しいですからね。
家族全員で引っ越す場合
牧野:「家族全員で引っ越す」場合はどうでしょうか。
中山:これはお子さんの一人立ちと同様に、「引越し後の新しい生活でどんな暮らしをしたいのか」目的を持って物の整理をしてください。荷物の量だけ引っ越し代がかかります。お金をかけてまで持っていきたいのか?を前提に考えることがポイントです。
そして収納も、今住んでいる家の通りに新しい家でも置くのではなく、「どこで誰が何を使っているのか」考えてまず計画を立てることが大切です。ワクワクしながら何をどこへ置こうかをイメージしながら使う部屋ごとに分けて梱包してください。
牧野:なるほど!
中山:梱包する時に、役立つのが箱やかごです。100円ショップのかごでもいいのでグルーピング(グループ分け)して引っ越しが決まった段階から入れておいてください。そうすると梱包が楽になります。引っ越し後も、出して置くだけで済みますから。
牧野:「計画」と「コスト意識」と「グルーピング」ですね!
引っ越さないけど模様替えや処分をしたい場合
牧野:最後に「引っ越しはしないけど、新年度に向けて模様替えや処分をしたい」場合はどうでしょうか。
中山:先程もお話したように“魔法の季節”なのでライフスタイルの変わり目は頑張って整理してほしいです。新しい物がどんどん入ってくる時期なので物の整理が必須になってきます。学生の場合、新年度は使わない学校用品や教科書など過去の物を上手に手放すといいですね。
牧野:次年度の自分の姿をイメージしながら計画を立てるとよさそうですね。
中山:片付けは過去を振り返って、未来を見据えながら上手に手放していくのがポイントなんですが...。
牧野:中山さんは「えいやっ!」と物を捨てる踏ん切りを付けるんですか?私は苦手なんですが...。
中山:私も昔は苦手だったので気持ちは分かります。牧野さんは「探し物をすることがなく、必要な物がすぐ取れて、散らかってもすぐに片付く素敵な家」に住めたらどうですか?
牧野:いいですね。そういう家に住みたい!
中山:そうですよね。「いつか使うかも」「何かに使えるかも」という物が家の約7〜8割くらいあるんです。それが邪魔をしてきれいな部屋のイメージから離れてしまうので、勇気を出して「1日3個捨て」などをやってみたらいいと思います。
牧野:個数で目標を立てるのはいいですね。
この時期に多い整理・収納の相談
牧野:一番多い整理・収納の相談は何ですか。
中山:今の時期は学校や塾のプリントをどうしたらいいのかという相談が多いです。
牧野:分かるな〜。頑張った証だから親としては残しておきたい気持ちがありますからね。
中山:受験が始まるタイミングや終わるタイミングでよくある相談です。引越し前後のタイミング、ライフスタイルの変わり目、結婚前、第2の人生を楽しみたい!と高齢の方からの相談もあります。
牧野:ちなみに子どもの創作物はどういう片付け方を勧めていますか。
中山:「子どもは親や家族に見てもらいたい」という思いで作っています。まず作品を持って帰ってきたら一緒に「何でこういう物を作ったの?」と話を聞いてあげてまずは楽しんでください。その後で「これは作品ボックスに残しておこうか」「何カ月か経ったら見直そうか?」と片付けの教育として「手放す」という言葉は使わずに、一緒に決めていくといいかもしれません。作品ボックスは必ず作ってあげてください。
牧野:最近、3Dスキャンの「スキャニバース」というアプリがあって、それで作品を3Dスキャンすれば、バーチャルゴーグルをかけて創作物を立体で感じることができます。デジタルの解決法もありそうです。
中山:今までは「写真で撮ってさようならしましょう」とアドバイスしていましたが、写真じゃ満足できないという声がここ数年上がってきます。立体で見れるのはとても良いと思います。ぜひ活用してください。
牧野:最後にまとめをお願いします。
中山:春はワクワクする時期で、物が増える時期でもあります。季節が変わるこのタイミングですっきりした部屋を手に入れてほしいので上手に物とさよならして、収納してみてください。
牧野:まずは心で決めることも大事かと思うので、頑張っていきましょう!
※2025年2月20日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。今回、お話をうかがったのは……中山真由美さん
片づけが苦手だった人生、32年。自らの生活を見直すために整理収納アドバイザーの資格を取得。
これまで解決してきたお悩みは2000件以上。また整理収納アドバイザーの現場教育に携わった年数18年。ご家庭の整理収納サービスだけではなく、環境改善活動のコンサルティングも得意とし講座開催から講演会など幅広く活動をしている。