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食べると、麦の穂が揺れる情景が浮かぶパン 灘のパン屋さん『麦秋至(むぎのときいたる)』【職人こだわり「明日のパン」 Vol.5】

Kiss

今年、4年ぶりにパンの消費量全国1位に返り咲いた兵庫県。たくさんのお店がありますが、種類や製造方法はそれぞれ違い、味わいも様々です。そんな個性あふれるパン屋さんを取材し、職人たちが認めた「明日のパンを買うのにおすすめなパン屋さん」をリレー方式で紹介してもらう連載企画!

小麦から人々の手元に渡るまで、マニアックすぎるこだわりを紐解きます♪

今回ご紹介するのは、JR「灘」駅から歩いておよそ10分ほどの場所にある『麦秋至(むぎのときいたる)』。

こちらは実際のパンを使用したライトで、夕方には灯りがともります

店の前にあるベンチもかわいらしく、木のぬくもりを感じられます。

入口もとってもユニークで、なんと天井には麦がぎっしり!入店前からワクワクがとまりません。

店は2021年にオープン。店主の大石さんは大学時代に石川県で出会ったパン屋さんに魅せられ、実際にそのお店で修業をした後、地元の神戸に戻ってパン屋さんを始めました。

同店では全粒粉やライ麦を使用した14種類のパンと、7種類のスコーンを提供しています。

そんな大石さんにパンに込める想いを伺うと、「パンを提供することを通じて、日本の里山や麦畑の風景を次の世代に残していきたいんです」という回答が。一見壮大に感じられたその想いは”パンでしかできない循環”で自然を守ることにつながっていました。

全粒粉は外側に近い部分になるほど油分が多くなり、酸化するのが早い傾向にあるのだとか。店ではできるだけいい状態の全粒粉を使用するためにも、石臼を使用しています

まず1つめのこだわりは店内に導入した「石臼」にあります。「できるだけ近郊でとれた小麦を使用したいという思いがあるが、そうなると量がたくさんとれるわけではない。製粉会社にお願いするとなると、ある程度の量の小麦が必要になるので、自社の石臼を使用しています」ということ。

皮の部分(茶色い方)は香りを活かすため、一度ローストしてから実の部分(白い方)に絡ませるそう

1時間に1キロほどしか挽くことができないそうですが、色んな想いや願いがこもっているのですね。

「ライ麦パン」820円(ハーフ 410円)

また、2つめのこだわりは「ライ麦」を使用しているという点!ライ麦は水分を保持する力が強く、パンに配合するとしっとり感が持続するというメリットがある反面、酵素がでんぷん質を糖に分解する力も強く、パンの骨格が崩れてしまうというデメリットもあるそう。

乳酸菌を使って酸性にするとこの酵素の働きは抑えられるのですが、そうすると酸っぱくなってしまい、味わいに苦手意識を持つ人も…。

しかしライ麦には「痩せた土地でもよく育ち、土地を耕してくれる」作用があるため、大石さんはどうにかメリットの部分を活かし、消費拡大ができないか試行錯誤。

ライ麦と水を混ぜた「サワー種」を作り、状態や配合量、温度のいい塩梅を見ながら使用することで、メリット部分を活かしてよりおいしいパンを製作しているそう。

「全粒粉の食パン」820円(ハーフ 410円)

実際、同店のパンは「酸っぱさよりも甘さが感じられ、食べるとはまる旨みがある」と評判なのだとか。

「チェリーひまわり」820円(ハーフ 410円)

今回は伺う前から気になっていた「チェリーひまわり」をいただきました。一口食べると広がるパンの酸味が爽やかで、皮目がとっても香ばしい。ハード系のパンではあるのですがやわらかくしっとりとしています。

チェリーと甘酸っぱさに加え、ひまわりの種のポリポリした食感と香ばしさがたまらない!くるみなど他のナッツではなくひまわりの種というところが珍しく、クセになりました。

さらに「黒糖くるみスコーン」もいただきました。こちらも小麦の香ばしさが口いっぱいに広がるのですが、不思議しっとりしていてとってもおいしい。甘すぎず小麦の旨みを感じられる味わいでした。

店名『麦秋至(むぎのときいたる)』は「麦が熟し、畑一面が黄金色になる頃」を指す季節の言葉。その名の通り、パンを一口かじって目を閉じれば、黄金色の穂が風にそよぐ麦畑がたちまち広がるような味わいでした。

込められた想いを知れば、目の裏に浮かんだ空想の麦畑が、なんだか現実のものになるような気がしてきませんか?


場所
麦秋至
(神戸市中央区坂口通1-3-11)

時間
火〜金 11:00~18:00
土曜 9:30〜16:30

定休日
日・月曜日

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