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消費税が高い国ランキング1位はどこ?日本の税率は高いor低い?

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日本では平成元年(1989年)に導入された消費税。世界を見てみると、日本以外でも消費税を導入している国が多くを占めます。今回は消費税の興味深い一面を解説していきます。

各国の消費税事情

日本では平成元年に消費者に広く公平に負担を求める消費税を導入しましたが、同じような目的で付加価値税という税制を導入している国が多く見られます。消費税や付加価値税という制度を導入している国や地域は世界196カ国中150カ国を超えています。

税率27%も!世界各国の消費税率はどれくらい?

2024年1月現在での消費税の税率を比較してみましょう。

引用:財務省「消費税など(消費課税)に関する資料」より一部抜粋

上記のグラフは財務省が発表しているもので、OECD(経済協力開発機構)加盟国、EU、ASEAN(東アジア諸国連合)など51カ国の消費税率を並べたものです。

このグラフではハンガリーの27%が最も高い税率で、デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・クロアチアの25%が続きます。それ以降もヨーロッパ諸国が続き、北欧やEU諸国は消費税率が非常に高くなっています。

ざっくりとしたイメージですが、ヨーロッパで1000円の商品を購入すると、200円以上の消費税を別途支払うことになり、日本人的な感覚では「買い物なんてなかなかできない」という気持ちになるのではないでしょうか。

また上記のグラフを見てお気づきの方もいるかもしれませんが、アメリカでは消費税が導入されていません。ただし、似たような仕組みで小売売上税が州や郡、市などによって導入されており、自治体によって税率が異なります。

グラフを見てみると日本の消費税率は全体の中でも低く、51カ国全体の42番目となっています。日本の税率は全体の平均税率である17%を下回っており、日本以外の他のアジアの国も税率は低めです。

なお財務省など国の機関が作成した消費税関係の資料を見てみると、「日本の消費税は諸外国よりも税率が低いので、10%で各国平均よりも低いのに文句を言うな、今後も消費税を上げていく」という意図が透けて見えるというのが率直な印象です。

消費税率が高い国は「高負担・高福祉」の傾向

グラフからも分かるように消費税が高い国にはヨーロッパ、特に北欧の国が目立ちます。この国々に特徴的なのは「高負担・高福祉」だといえるでしょう。社会保障費を消費税という形で広く国民で負担し、福祉サービスを手厚く実施しているという特徴があります。

ノルウェー

ノルウェーの消費税率は25%と非常に高く設定されていますが、一方で出産や子どもの学費などが無料になっています。また高齢者への社会保障のサービスが充実しています。

フィンランド

フィンランドでは大学までの教育費が無料になっており、教育制度が充実しています。

スウェーデン

出産費用や20歳までに必要な医療費が無料になっており、児童手当なども充実しています。

いずれの国も消費税率は非常に高くなっていますが、国民から集めたお金で充実した教育制度や社会保障サービスを準備しています。税金を多く納めても、その分のサービスを受けられるという納得感は高そうです。ただし高負担・高福祉で子育て支援などの社会保障サービスが充実している国々の出生率が高いかというと、それほどでもないという印象を受けます。

日本の消費税の使い道は?

【画像出典元】「stock.adobe.com/Nuthawut」

ヨーロッパでは教育や社会保障サービスに消費税は使われていますが、日本ではどんな用途に消費税が使われているのでしょうか?

日本の消費税の税収は23.8兆円(令和6年度予算)で、そのうちの19.2兆円は以下の社会保障の4経費に充てられます。

・年金
・介護
・医療
・子ども・子育て支援

上記の4項目を賄うために税収が充てられていますが、4項目分の国の予算は33兆円を超えており、消費税の税収のみでは不足しています。そのため国債の発行などを通じて不足分を賄っています。

日本の消費税の歩み

社会保障の4経費に使われている消費税ですが、日本の消費税の歩みを簡単に振り返ってみましょう。

1989年4月:消費税導入、税率は3%
1997年4月:税率が5%へ引き上げ
2014年4月:税率が8%へ引き上げ
2019年10月:税率が10%へ。また軽減税率が導入され、対象は8%

日本の消費税は1979年に財政再建のために導入が計画されました。その後、紆余曲折を経て1989年4月に税率3%で施行されました。税率3%でスタートした消費税ですが、1997年には5%に引き上げられました。

その後、消費税は4年間上げないというマニフェストを掲げた民主党が政権を取りました。消費税を上げないことを公約にしていた民主党ですが、途中で消費税を上げる法案を可決。その際に決まっていた内容では2014年に消費税を8%にし、2015年に10%に変更する予定でした。

予定通り2014年に消費税は8%になりましたが、安倍政権では2015年に予定されていた10%へのアップを度々延期、2019年10月に消費税の税率は10%に変更されました。その際、軽減税率制度が導入され、食品(外食・酒類を除く)と宅配の新聞定期購読料は8%の税率が維持されています。

消費税がない国も!?財政はどうやって賄ってる?

消費税はほとんどの国で導入されており、導入していない国は数えるぐらいしかありません。消費税がない代表的な国としてはクウェートやブルネイ、カタールなどが挙げられます。どの国も石油資源などが豊富で財政が潤っていることもあり、消費税が導入されていません。また教育費なども無料です。

朝鮮民主主義人民共和国やイラク、シリア、香港やマカオなども消費税が導入されていません。香港やマカオはともかく、その他の国は政治情勢などが不安定ということも要因といえそうです。

上述したようにアメリカには国全体で定められた消費税はありません。国よりも小さな州単位、郡単位で税制や税率も異なり、消費税に代わって小売売上税という方式で徴収されています。

食料品や生活必需品にかかる消費税が低い国も

日本でも軽減税率が導入されていますが、食料品や生活必需品にかかる消費税が低い国も多く見られます。また食料品には課税されない国も目立ちます。

基本的な食料品に消費税が課税されない国

オーストラリア、イギリス、カナダ、インドなど

食料品などに軽減税率が適応されている国

ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ポルトガルなど

多くの国では食料品などにかかる消費税は低めに抑えられているようです。食料品は必要不可欠なものであり、国や政府としても国民生活を考えると消費税を課しにくいと考えることが自然でしょう。

社会保障費の不足とNISAの関係

【画像出典元】「stock.adobe.com/chawalit」

2013年にスタートして2024年に大幅な制度拡充になったNISA制度ですが、このNISA制度と社会保障費は密接な関係があります。

NISAの目的

NISA制度は、個人が自主的に資産形成を行うことを促進し、将来の生活資金や老後資金の準備を支援するものです。これにより社会保障に依存しすぎない生活設計ができることを期待されています。

社会保障の負担軽減

個人がNISAを利用して資産形成を行い、老後の生活費や医療費を自ら賄ってもらうことで、社会保障制度への依存度が低くなり、結果的に政府の財政負担を軽減する効果が期待されます。

NISA制度はイギリスで導入されていたISA制度を参考にしています。第二次世界大戦後のイギリスには「ゆりかごから墓場まで」という言葉に代表されるような手厚い社会保障制度がありました。しかし1970年代以降、イギリスの経済が低迷し、社会保障制度にかかる費用を準備することが難しくなっていました。

そこでISA制度という非課税制度を導入し、国民が積極的に投資をすることによる経済の活性化と、投資によって資産を増やし、老後や教育などに必要な費用を個人で用意してもらう方向へと舵を切ったのです。このISA制度の成功を模範に、日本でもNISA制度という形で導入されました。

そもそも北欧のように「高負担・高福祉」を実現するには高額な税負担が必要です。もし負担を減らすということであれば、代わりの財源を準備しなければなりません。消費税率を上げる代わりに、国民自身で財源を準備してもらう手段の一つとして、ISA制度やNISA制度が導入されたと考えても良いでしょう。

まとめ

少子高齢化が世界的に進み、どの国も社会保障制度を維持するための財源を確保することに躍起になっています。消費税や付加価値税は国民から漏れなく集めることができるため、導入している国が大部分を占めています。

日本の消費税率は世界的に見れば比較的低めの水準ですが、それでも負担は大きいと感じている人が多いと感じます。これは消費税が導入された1989年はバブル経済の恩恵を受けていましたが、バブル崩壊後の不況やデフレの影響が長引き、不景気といわれる時代と消費税が歩みを共にしていることもあるでしょう。ようやく給与が少しずつ上昇する兆しを見せていますが、給与が上がるという実感を得られる時が来るまでは重税感は拭えないでしょう。

日本の消費税は年金・介護・医療・子育て支援に使われています。また日本の社会保障制度は他国と比較しても見劣りするものではないと思います。ただし財源や内容について知られていないことが問題でしょう。消費税に対する納得感が得られなければ、抵抗感を持たれたままだと思います。

加えて、年金保険料や健康保険料など社会保険料の負担も大きく、消費税率は低くても個人が負担している費用の割合は他国と比べても低くはないでしょう。

少子高齢化が進む中で、残念ながら今後も消費税率は上がると考える方が自然です。日本は急速に高齢化が進んでおり、それに伴って社会保障費(年金、医療費、介護費用など)が増加しています。これらの費用を賄うためには、安定した税収が必要となり消費税率の引き上げが選択肢の一つとなります。ただし、そのタイミングや具体的な税率については予測が難しいところです。

高負担・高福祉、中負担・中福祉、低負担・低福祉、皆さんはどれが良いでしょうか?

消費税に関するQ&A

Q:ハンガリーでの生活必需品の消費税はどうなっていますか?

A:ハンガリーの消費税率(付加価値税率)は世界でも最高水準の27%ですが、軽減税率として18%と5%が設定されています。穀物や小麦などを使用した製品、乳製品などは18%、牛乳、卵、鶏肉、豚肉、魚などの食品、医療品、本などは5%に設定されています。

Q:生活必需品とされ、軽減税率の対象になる商品はどのようなものがありますか?

A:世界的には、食品や医薬品、衣料品、教育関連用品、子ども用品などが対象になっていることが多く、水道代などが軽減税率の対象になっている国もあります。

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