入社数ヶ月で若手社員が「もう辞めたい」 上司がかけるべき3つの言葉
少し前、GW明けの日本経済新聞に「新入社員4割が転職検討」という、センセーショナルな記事が上がりました。「自分の所に配属された新入社員は大丈夫かな?」と、思った方も多かったのではないでしょうか。
今回は、配属されたばかりの新入社員に「もう辞めたいです」と言われないために、上司として日々どのような声がけをしていくべきなのかについて解説していきます。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)
新入社員は自分が成長できる環境を求めている
最近は、社会に出てすぐ会社に見切りをつける若者も多いようです。転職サイト「doda」に登録した新入社員の数は2023年4月に過去最多になったそうで、調査を始めた11年前と比較すると30倍になっています。皆さんのところに配属されている新入社員も、転職サイトに登録していると思って間違い無いでしょう。
ただ、多くの新入社員はすぐにでも転職したいわけではありません。自身の市場価値を知りながら、ゆくゆくは自身の成長をさらに感じられる環境を見つけていきたい、と思っています。いくつかの調査結果を見ても、最近の新入社員が
「自分の成長が期待できるか」
「仕事にやりがいを感じることができるか」
「自分のやりたい仕事ができるか」
などを軸に就職や転職を決めていることがわかります。これらは上司の関わりによって改善できることがありそうです。
上司がかけるべき3つの言葉は?
新入社員のこうした自己成長欲求は、マズロー欲求5段階説に則れば、「自己実現欲求」に近いものといえます。欲求の5段階は以下になります。
第5段階:自己実現欲求
第4段階:承認欲求
第3段階:社会的欲求(帰属欲求)
第2段階:安全欲求
第1段階:生理欲求
また、フレデリック・ハーズバーグが提唱する二要因理論では、仕事の満足度を上げる要因として「仕事内容」「責任」「承認」「達成感」が挙げられています。こうした理論を踏まえた上で、3つのステップを踏みながら部下に言葉をかけていきましょう。
(1)マズローの第3段階と第4段階を満たし、自己実現欲求に進ませる必要があります。孤独感を感じさせることなく、上司や周りが見ていることを常に感じてもらうのです。上司がかける言葉としては、「頑張っているね!」といった労いの言葉になります。
(2)次は、自身の仕事に使命や意義を感じてもらう必要があります。なぜこの仕事やるべきなのか背景を説明するとともに、その仕事が終わった際には「ありがとう」といった感謝の言葉をかけていきましょう。
(3)自己成長を感じたい新入社員にとって、達成感を感じられることが大切です。自己実現に向かって前進していることや、小さな成功体験を積み重ねていることを実感できるようにしましょう。上司がかける言葉としては、「〇〇ができるようになったね」といった、成長を実感させる言葉になります。
以上、新入社員の急な転職を防ぐために上司としてかけていくべき3つの言葉を、新入社員の心理的な側面からご紹介して参りました。3つの言葉を意識しながら、定期的なコミュニケーションを繰り返してください。その行動が、定着率が高く生産性の高い職場風土を醸成していきます。