『さよならの向う側』の著者 小説家・清水晴木さん(習志野市出身)
京成線谷津駅、マザー牧場、海ほたるなど千葉を舞台にしたいくつもの小説たち。繊細な言葉をちりばめながら、人と人との温かいつながりを描く清水晴木ワールドの始まりです。
習志野市出身・地元を舞台にした作品
「あなたが最後に会いたい人は誰ですか」。
さまざまな人たちの最後の再会を描いた小説『さよならの向う側』。
2021年に出版されたこの小説は大ヒットし、テレビドラマ化。
続編も出版され話題になりました。
著者の清水さんは習志野市出身。
1988年に生まれ、習志野市立第六中学校から検見川高校へ進学。
高3の時に文化祭で劇の脚本を担当し、その劇がクラスメートや先生に喜ばれたのをきっかけに「書くこと」に興味を持ったそう。
東洋大学に進学すると脚本を書く勉強も始め、順風満帆に見えました。
しかし卒業後、白血病を発症。
骨髄移植を受け回復に至りましたが、身動きが取れなかった約1年の間、「病気」や「命」のことを考えたと言います。
「もうまっとうな会社員にはなれないと思い、好きなことをやろうという覚悟が決まってしまった」
救いのきっかけになるように
回復後、縁あって小説を出版するものの売れない時期が続きます。
「もう最後だと思って自分の中にある全てのテーマを詰め込んだ」のが『さよならの向う側』。
自身のこれまでの経験や価値観を強く投影した「命」と向き合う物語を書くと、シリーズ累計4万部の大ヒットとなり、広く名前が知れ渡るようになりました。
今年5月には『トクベツキューカ、はじめました!』という初の児童書も出版。
悩みを抱える小学生が、周りの人々とのつながりを通して少しずつ前に進む様子を優しく温かく紡いでいます。
「作品には普遍的なテーマを入れ込むことが多いです。どんな作品を書く時でも少しでも誰かの救いのきっかけになるようにしたい」、そして「自分にとって小説は人と人をつなぐもの」と軽やかに明言します。
素直に純粋で美しく、さらっと読めるのに考えさせられる晴木ワールド。
読み終わった後にはすがすがしさと少しの勇気が湧いてきます。
X(旧Twitter)/@hare141414