NANOSECOND[インタビュー]“J-POPの逆襲”という旗のもとに「正直、私たちは刺さらない人には絶対刺さらないグループ。でも、多くの人を惹きつけていきたい」
2025年1月26日にデビューした5人組アイドルグループ・NANOSECOND。“J-POPの逆襲”を掲げ、マイクスタンドを使ったスタイルでライブアイドルシーンの中で独自の立ち位置を築こうとしている。今回、そんなNANOSECONDのメンバー5人とプロデューサー・湯浅一樹にインタビューを実施。これまでの歩みを振り返ってもらいながら、6月28日(土)にGARRET UDAGAWAで開催するフリーライブ<Mao’s 19th birthday FREE LIVE>への意気込みを語ってもらった。
撮影:河邉有実莉
編集協力:竹内伸一
私たちが大きなところに行けるように活動しているグループだと思った(杏梨)
――まずは自己紹介をお願いします。
泉凪:
青色担当の泉凪です。ライブではMCを担当しています。
湯浅P:
キャッチフレーズは?
泉凪:
“ナノセカの蒼き核弾頭”です(笑)。
杏梨:
赤色担当の杏梨です。“ありんこワールドの女王様”って言われています(笑)。
芽生:
紫色担当の芽生です。“自己肯定感を失った女”っていうキャッチフレーズがついています(笑)。
茉央:
ピンク担当、“この女、甘やかさずにはいられない”の茉央です(笑)。
日菜乃:
黄緑色担当、別名“令和NO1ポップスター”の日菜乃です。
――みなさん、すごくインパクトのあるキャッチフレーズがついていますが、これはプロデューサーさんが考えたんですか?
湯浅P:
基本的にはそうです。杏梨は勝手につけてましたけど。
杏梨:
違いますよ、ファンの方が考えてくれたんです!
――みなさん、キャッチフレーズは気に入っていますか?
泉凪:
私は、最初なぜか“杏梨の右腕”っていうキャッチフレーズをつけられて。まあ、メンバーみんな、湯浅さんが変わっているのは知っているので、みんな“ああ、はい”(おざなりに)って感じでした(笑)。
――芽生さんは、“自己肯定感”がないんですか?
芽生:
うーん、まあ事実は事実なんですけど。自分にあんまり自信がないのにアイドルになっちゃったのと、紫色のイメージと相まって最近はいい感じになってきたのかな……あ、でも自分も知らないうちにつけられていたんですよ。どういう意図でつけたんですか? 話しているイメージから?
湯浅P:
最初に会った時に“自己肯定感が低そうだな”って思ったんです。それをあやふやなままにしておくと、本人もしんどいだろうなと思って。ある意味、逆転の発想というか、そこを強みにしてもらえればなと。おかげさまで、そういう感じが好きなファンには刺さったみたいです。
――茉央さんは?
茉央:
私はデビューした時はまだ高校生だったので、“エセ一軍JK”っていうキャッチフレーズだったんです。なんでそうなったのかは、私もわからないです(笑)。今の“この女、甘やかさずにはいられない”もわけがわからなくて。気づいたら変わっていたんです。
日菜乃:
私は“NO.1”なんて自分で言っちゃってて、すごく怖いです。みなさん、私のことなんてご存じないのに。最初は日和って“いいのかな?”って。あ、今も日和ってますけど(笑)。
――“令和NO1ポップスター”に、だんだん馴染んできてはいますか?
日菜乃:
ああ~……馴染んで……きています(笑)。
――オーディションからデビューまで約1年だそうですが、準備期間中にはどのような活動をしていたのでしょうか。
湯浅P:
そこは私から説明しますと、茉央が最初に決まったメンバーで、練習しながらメンバーを集めていったんです。でも、途中で運営が変わって、今は自分が代表になって株式会社ナノセカンドを立ち上げてやっています。途中でプロジェクトがなくなってしまって、メンバーが僕預かりとなったんです。そのタイミングで、見通しが立たないのに拘束しておくのも申し訳ないから、泉凪、杏梨は一旦グループを離れたんですよ。その後、芽生と日菜乃を加えて再出発した時に、2人も戻ってきてくれて。
――おふたりはなぜ戻ってきたんですか?
泉凪:
杏梨がいたからですね。杏梨はほかのグループと一線を画する部分というか、アイドルっぽくない歌声なんです。私は、杏梨がナノセカの軸だとずっと思っていて、“杏梨がいなくなったら無理ですよ”ってずっと言っていました。
――そう言われて杏梨さんは?
杏梨:
どうなんでしょう(笑)。私も1回辞めちゃったので……いつ再開するかわからなかったし、このままいても年齢を重ねるだけかなって思ったんです。本当にアイドルになりたかったので、別のオーディションを受けることにしたんです。そうしているうちに“戻ってきてほしい”と言われて。今はこういう状況で、ナノセカはこういうところがいいところだと思うって説明されたんです。それで私たちが大きなところに行けるように考えて活動しているグループなんだなと思って、それがいいなと思って戻ってきました。
――最初から所属している茉央さんは、ナノセカの魅力についてどのように考えていますか?
茉央:
やっぱりマイクスタンドを使ってパフォーマンスするところかな。今流行の可愛らしいアイドルとは、その時点で差別化されていると思います。楽曲も、そんなパフォーマンスが映えるような曲で、ちょっと常識を超えているような曲だと思います。「トゥインクル」は杏梨ちゃんが1人で歌うんです。私は最初マイクを持たずにダンスして。メンバーみんなで歌うというアイドルの常識を超えたパフォーマンスになっていて、そこが魅力かなって思っています。
最初、このコンセプトが嫌だったんですよ(日菜乃)
――グループコンセプト“J-POPの逆襲”についてはどう思っていますか?
日菜乃:
えーと……(長考)。私は最初、このコンセプトが嫌だったんですよ。私、フリフリの今時のアイドルさんのような曲がやりたかったんです。なので、衣装をもらった時も“ああ~”って思って。でも、今はとってもよろしいと思っています(笑)。
――“好きなもの”が“女の子のアイドルを拝むこと”という日菜乃さんとしては、最初は違和感があったんですね。
日菜乃:
めっちゃありました(笑)。
――本来はキラキラしたアイドルが好きなんですか?
日菜乃:
そうです。きゅるりんってしてみてさんが好きなんです。特に逃げ水あむちゃんが好きです。ほかにもたくさん好きなアイドルはいますけど。
芽生:
私は初めて曲をもらった時に、思っていたアイドルと全然違うかもって思いました(笑)。両親の車で聴いていた懐メロみたいっていうか……。でも、やっぱりマイクスタンドを持っているし、曲調も違う方がほかのグループさんとは差別化できるのかなって思って。最初は驚きましたけど、今は馴染みました(笑)。
――ライブでは自分たちのよさを伝えるために、どういうところに気をつけていますか?
泉凪:
ナノセカは素でいる状態が面白い子が多いので、ライブのMCではそういう部分を引き出したいなと思っています。茉央は作り込んだ感じになっちゃうというか、かしこまってしまうので、いつも彼女を引き出してあげたいし、逆に日菜乃はけっこう爆弾で(笑)、今日みたいなインタビューの場で急に“ぶちかましていいですか?”みたいなことを言い出すんです。管理には困りますけど、そんな彼女の個性的な部分はやっぱり引き出したい。対バンだと15分とか20分のステージじゃないですか。短い時間の中で私たちのよさを伝えなくちゃいけなくて、ほかのグループを目当てで来た人たちにも“いいな”って思わせなくちゃいけない。すごく難しいなっていつも思っているんですけど、マイクスタンドだけでは差別化できない部分を、MCで引き出せたらいいなと思っています。
――アイドルの場合、ライブと同様にSNSも重要ですが、それについてはどう思っていますか?
泉凪:
私はナノセカに入る前に、けっこう大きめのオーディションを受けたんです。その時に1日2時間はマストで配信しなくてはいけなくて。配信で順位が上がればアイドルグループに所属できますみたいな感じだったんですよ。ナノセカにはそういうノルマはないけど、やっぱり新しいお客さんに観てもらいたいし、それこそ“素”の部分を観てもらえるのがSNSだと思うので、ライブの15~20分では伝えきれないことを、SNSで伝えるということを意識してやっています。
湯浅P:
杏梨はSNS依存症なんですよ(苦笑)。禁止しても止めなくて。
杏梨:
そうなんですよ、話してはいけないことを言っちゃって(苦笑)。
泉凪:
そういうことがあったので“1週間はやらないで”ってプロデューサーからお達しがあったんです。でも、普通に配信してて。みんな“あれ、禁止じゃないの!?”って(笑)。それでまたプロデューサーから怒られて一旦は止めたんですけど、次の朝にはまたやってて(笑)。
杏梨:
最近は話す内容に気をつけてやっています(笑)。それにLINEで“配信しないで”って送ってくるんですよ。冗談かと思うじゃないですか。別の事務所にいた時に配信のオーディションがあって、1週間に30時間以上配信しないといけなかったんです。なので、1日5~6時間毎日配信していて、それがクセになっちゃって(笑)。ほぼ毎日配信しているので、1日休むとファンの人が“久しぶり!”って言ったりするんですよ(笑)。
“杏梨のフリーズ事件”として伝説になりました(泉凪)
――これまでの活動で印象的だったことは?
泉凪:
最近のことなんですけど、ライブがトリプルヘッダーの日があったんです。しかも、その日は5人揃わなくて。その日の最初のライブは3人がお休みで(苦笑)。2人ではさすがに難しいのでダンスの先生にサポートメンバーとして入ってもらいました。2回目は日菜乃が来て、先生を含めて4人でやって、3回目は芽生も加わって、メンバー4人でやったんです。それで私はソロ曲を歌うことになったんですけど、その曲、3日前に渡されたんですよ。しかも全然未完成で!
――ライブごとにフォーメーションや歌割りも変わるので、大変でしたね。
泉凪:
そうなんです、毎回構成が変わるのでしんどかったです。出演できなかったメンバーのファンの方が“すごくよかった!”っていうリプをXでくれたりしたので、頑張ってよかったとは思うんですけど、もうあんなことはしたくないです。でも、人間はこうやって強くなっていくんだなって思いました(笑)。あ、6月のワンマン(6月28日(土)にGARRET UDAGAWAで開催の<Mao’s 19th birthday FREE LIVE>)では、みんなソロ曲を歌う予定なんです。その時に歌うための曲なんですけどね。杏梨はデビューライブの時に1曲もらっているので、今ほかの4人のソロ曲を絶賛制作中です。
日菜乃:
私は、デビューして2ヵ月なので仕方がないのかもしれないですけど、特典会でファンの方が0人という日もあったんです。なので、ファンの方のありがたさ、新規の方が来てくださった時の喜びというのが、印象に残っているというか、すごく嬉しいです。
――ファンの方に言われて嬉しかった言葉はありますか?
泉凪:
(日菜乃を見ながら)北川景子さんに似てると言われたことじゃない?
日菜乃:
言われたことないよ(笑)。“意識しているってことはわかるよ”とは言われた(笑)。
一同:
はははは(爆笑)。
泉凪:
じゃあ、“日菜乃がいいよ”って言われたこと?
日菜乃:
そう。初めて私を特定して“よかった”って言っていただいたんです。とっても嬉しかったです。あれが私の全盛期でした(笑)。
一同:
はははは(爆笑)。
茉央:
私はデビューライブですね。1回デビューが白紙になって、私とプロデューサーしかいない時期もあって。次の事務所を探したりしている時期がけっこう長かったし、レッスンもプロデューサーと歌の練習をするだけだったり、活動と呼べることはやれなくて、本当にデビューできるとは思えなかったんです。実際、お客さんの前に立った時も実感が沸かなくて。ライブが終わってから、ちゃんとデビューできたんだってじわじわ思いました。親とか友達がずっと近くで支えてくれて、デビューライブにもみんな来てくれて。すごく緊張はしましたけど、みんな喜んでくれたし、アイドルとしてパフォーマンスするというのはこういう感じなのかって思いました。
――芽生さんはいかがですか?
芽生:
印象に残っていること……(長考)。えっと、ずっと推している側だったんですよ。推される側に自分がなるとは思っていなかったのが正直なところなんです。それと、私はほかのメンバーとは違って社会人なんです。平日は社会人として仕事をしていて、土日にアイドル活動をやらせてもらっていて。もう週7でフルフルに働いているみたいな感じなので、最初はきついかも、できないかもって思ったんです。デビューライブが終わってからも、そう思ってしまうことがあったんですけど、私が参加できない平日は4人で一生懸命活動してくれていて、みんながすごくサポートしてくれているんです。そのおかげで私はアイドルもできているし、やりたい仕事もできていて。メンバーに支えられているっていうことが、思い出深いというか、この活動を通じて1番感じていることですね。
杏梨:
私は、新宿でライブがあった時に、キャリーケースとマイクスタンドを持って歩いていて転んでしまったことです(苦笑)。
泉凪:
メンバーみんなで移動していて、杏梨が1番後ろを歩いていたんです。歩いていたら3段くらいの低い階段があって段差があるなって思っていたら、急に外国の人が“Wow”みたいに騒ぎ出して。何だろうと思って振り返ったら、派手な色のキャリーケースごと杏梨がバタンと倒れていて、フリーズしていたんですよ(笑)。その状態で1分30秒くらい固まってました。杏梨、なんで泣いているの?(爆笑)
杏梨:
(無言で泣き笑い)。めっちゃ痛くて貧血になってしまったんです。気分も悪いし、息苦しいし。だから動けなかったんですけど、それをフリーズしていたって、みんな言うんですよ(笑)。
泉凪:
その様子を再現してSNSに上げたりしました。“杏梨のフリーズ事件”として、伝説になりました(笑)。
杏梨:
その時はケガしちゃったので、結局ライブに出られなくて。傷、まだ残っているんですよ。
泉凪:
本当に急に出られなくなってしまったので、ライブも大変で。“ここは私がやるから、茉央はここのダンスをやって”みたいな感じで、慌てて構成を変えました。でも、初めてグループを感じました(笑)。
――逆に結束が強くなったんですね。
杏梨:
私のおかげ(笑)。
泉凪:
杏梨のおかげではないよ(笑)。
最高のパフォーマンスができるようにしたい(茉央)
――6月28日には茉央さんの生誕ライブとしてワンマンライブが控えていますが、その見どころと意気込みを聞かせてください。
芽生:
新衣装のお披露目もするし、新曲もあるし、みんなのソロ曲もあるっていうとんでもないハードな内容になるので、ファンのみなさんにはすごくワクワクな1日になると思います。それに無料なんです。対バンでは観たことがあるけどっていう人や、ナノセカをよく知らない人に、何だか面白そうだから、無料だったらちょっと行ってみようかなと思ってもらえたら。そういうきっかけになってくれたらいいなと思っています。正直、私たちは刺さる人には刺さるけど、刺さらない人には絶対刺さらないグループなので……(苦笑)。
――自分たちのことを客観視しているんですね。
芽生:
求めているニーズが違えば、ユーザーは手に取りたいとは思わないですから。でも、そこも含めて、多くの人を惹きつけていきたいです。ワンマンではMCとかも長く取れると思うので、メンバーの魅力をちゃんと伝えられたらいいなと。あと、茉央ちゃんのお誕生日なので、ファンのみなさんと一緒に誕生日を盛り上げたいなと思っています。
日菜乃:
キャパが300人なんですけど、私たちにとっては未知の数なので、当日までもっともっと頑張らないとって思っています。芽生が言った通り、ソロ曲や新しい曲もいっぱいあって……言っていいのかわからないですけど、私、念願が叶っちゃったんですよ。“フリフリがやりたい”って言い続けていたら、そういう曲を作ってくれたんです。衣装もフリフリにしてもらえたので、観なきゃ損だと思います。強気なスタイルでいきます!
泉凪:
ちなみに新衣装の製作は、私が担当させていただきました(笑)。まだ原型の段階なんですけど。最初のワンマンの時も、けっこう準備がギリギリだったんですよね。振り入れも完成形に持っていくのがギリギリになってしまって。今度のワンマンもたぶんギリギリなんですけど、最高のものを届けたいというナノセカの想いが伝わればいいなと思っています。ナノセカは、曲をすべてプロデューサーが作っているんです。今出ているミニアルバム『THE FIRST SECOUND』は、プロデューサーがバンド時代に書いた曲を、ナノセカに合うように編曲したものなんですけど、今度のワンマンで披露する新曲は、私たちのために書き下ろした曲なんです。プロデューサーがナノセカのためだけに曲を作ることも私たちの強みだと思うし、ここからまた新しいストーリーが始まっていくと思うので、そこをみなさんに見届けていただきたいです。
杏梨:
新曲が4曲あるんですけど、まだ1曲目の振り入れが始まったばかりで、完成していないので、まずはちゃんと覚えます(笑)。それで、旗を振るんですよ、私。それがちょっと不安(笑)。でも、いいものになるように、みんなで頑張りたいです。
茉央:
最初のワンマンが100人規模くらいで、今度は300人。私たちにとっては挑戦なので、6月までに集客面も、パフォーマンス面も頑張らないとって思っています。新曲があったりソロもあるので、いろいろやらないといけないことはたくさんあるんですけど、フリーだから、たくさんの方の目に触れられる機会でもあると思うので、最高のパフォーマンスができるようにしたいです。プラス、自分のソロ曲は、私が自分で振り付けをすることになったので、そこで自分らしさを表現できたらいいなと考えています。それから、私の生誕祭でもあるので、ファンの方から実行委員の方を募って、いろいろと準備をしていただくことになっているんです。いろいろな方の支えがあってのライブだと思うので、協力していただくみなさんへの感謝の気持ちを忘れずに、今から6月28日に向けて頑張っていきたいです。
<Mao’s 19th birthday FREE LIVE>
日時:2025年6月28日(土)17:00開演
会場:GARRET UDAGAWA
チケット:0円(+1D)