キス(シロギス)釣りのエサを徹底解説 『虫エサ』3種の使い分けで釣果アップ!
キス釣りには虫エサを使うのが一般的ですが、よく使われる「イシゴカイ(ジャリメ)」、「アオイソメ」、「チロリ(東京スナメ)」といったエサにはそれぞれ特徴があります。状況に応じて使い分けることで釣果を上げることができるので、今回はキス釣りのエサについて徹底解説します。
キス釣りの代表的なエサ3種
キス釣りではエサをハリに刺して投げ込むので、外れやすいエサは使いにくく、外れにくいゴカイなどの虫エサが使われることが多いです。また、虫エサは軸の長いハリに刺すことでまっすぐになり、エサを吸い込むように捕食するキスに向くという理由もあります。
よく使われる虫エサは「イシゴカイ(ジャリメ)」「アオイソメ」「チロリ(東京スナメ)」の3種類。イシゴカイやアオイソメは通年流通しており年中使われ、チロリはキスには非常に有効なエサではあるものの、寒さに弱いため、ほとんど夏季限定の釣りエサとなります。
ちなみにゴカイの仲間は環形動物門多毛綱の多毛類に属する動物です。いわゆるゴカイはもちろん、嫌われもののウミケムシなども含まれる大きな分類群で、世界に8000種以上が知られており、まだまだ未分類の種類も多いです。
虫エサの付け方
キスは口が小さいので、1匹掛けが基本。また、キスがエサを吸い込むのを阻害しないように、ハリの軸に対して真っ直ぐに刺すことが重要になります。エサがズレてこないようにチモトの部分までしっかりと通しましょう。
タラシの長さは1~2cmほどが基本ですが、エサの種類や活性、キスのサイズなどによって調整します。このあたりは虫エサの種類ごとにも紹介していきます。
イシゴカイ(ジャリメ)は昼間のキス釣りに必携
イシゴカイは多毛類のイシイソゴカイという名で、イシゴカイ、ジャリメ、砂虫などと呼ばれるポピュラーなエサです。1980年代に養殖技術が確立して、現在は大半が養殖物ですが、希に中国から輸入されてきているものもあります。
使い方としては何と言っても日中の引き釣りやちょい投げのエサとして重宝されます。先ず、昼間にキスを釣るなら必携したいエサです。
特徴は細くてよく動く点。また、身体が柔らかいのでキスの吸い込みもよく、投げ釣りでは引き釣りでの数釣りに多用されます。このイシゴカイ、動きでアピールするだけかと思いきや、そうではなく1cmほどに切ってハリの軸いっぱいに刺したくらいでもキスがよく釣れます。ということは、イシゴカイのニオイや成分そのものがキスに好まれていると推測できます。
ただし、夜釣りで使うと、日中ほど効果が得られず、日が暮れると急にイシゴカイが触られなくなるシーンに遭遇することが多いです。例外もありますが、どちらかというと日中に強いエサと認識しておくといいと思います。
イシゴカイの付け方とタラシの長さ
イシゴカイは爪楊枝を少し太くしたくらいの大きさで、体長は長くてもせいぜい7、8cm。これをキスの食いに合わせて切ったり、そのまま1匹掛けにしたりして使います。キスの食いに合わせて……というのが少々難しく、1匹掛けでないと反応しない時や、タラシ(ハリから出た部分)が長いとそこばかりかじり取られたりします。釣りをしている最中にアタリの出る刺し方、ヒットしやすい刺し方を毎回試してみてその日のパターンを見つけましょう。
イシゴカイの保存方法
保存については低温には弱く、15度前後が適温となるため、日陰やクーラーの効いた部屋なら部屋の中に置いておくぐらいが、活きの良さを保てます。ただ、そう長くは持たず、死ぬとすぐにとろけてきて、その体液が周囲のイシゴカイをも弱らせてしまうので、2日くらいをメドに保管しましょう。
アオイソメは置きザオや夜釣りに強い
安価で強いので使いやすく、数多くの釣りジャンルで利用されているポピュラーなエサのアオイソメ。実は日本には生息していないゴカイで、アオゴカイという名で中国や韓国から年間を通じて供給されています。
エサとして輸入されているのは、小型のものから体長25cmくらいの大型もあり、エサ店で大(太)、中、小(細)などと分けられて販売されていることが多いです。キス釣りに使用するなら、基本的に小(細)サイズを選んで購入しましょう。
イシゴカイの付け方とタラシの長さ
全体に身体が柔らかく吸い込みはいいものの、イシゴカイに比べると全体に大型が多いので、キス釣りでは引き釣りよりも、置きザオでしっかりと食わせる釣りに適しています。小サイズでもまずまず長いので、適当な長さに切って使いますが、イシゴカイのようにあまり短く切って使うと効果がない場面が多い印象です。ニオイよりも、動きでアピールするエサでもあるのでタラシは1~2cmほど出して付けましょう。
夜釣りにも強い
よく言われるのは「アオイソメは光るので夜釣りにいい」。しかし、実験ではアオイソメが光るのではなく、アオイソメに付いた微生物が光っていることが多く、アオイソメ自体は光らないことが分かっています。それでも、夜釣りに強いエサであることにかわりはなく、キスの夜釣り、特に置きザオでの釣りでは効果を発揮します。
アオイソメの保存方法
保存方法は10度前後が適温なので、冷蔵庫の野菜室などがオススメです。しっかりと管理すれば4、5日は持ち、毎日海水で洗えばさらに長持ちします。ただし、弱ってくると身体が柔らかくなり、身切れを起こすのであまり長期間の保存はやめましょう。
チロリ(東京スナメ)は状況によっては特エサに
関東では東京スナメとも呼ばれるチロリは、多毛類のチロリ科に属する生き物で、普段泥底に住んでいます。市場に出始めてまだ10数年といった新しいエサで、当初はキス狙いというよりは、夜のマダイ狙いに効くエサとして登場しました。チロリも国内には生息しておらず、釣りエサとして中国から輸入されています。低温に弱く、釣りエサとして出回るのは5~10月くらいとなります。
特徴としては、力を抜いた状態?のだらんとした柔らかさと、締まった時の硬さが非常にメリハリのある虫エサです。そして、動きも他の虫エサと違って、素早くキュッと締まったかと思えば、だらんとしたりとにかくよく動くエサで、動きはミミズに似ている気もします。
反応の良し悪しが分かれるエサ
このチロリは日中のイシゴカイ、夜のアオイソメの利点を兼ね備えた虫エサですが、キスの反応がいい時と悪い時が明確に別れる印象です。以前からかなり万能なキスの引き釣り用エサとして愛用されていますが、それでもイシゴカイと併用するとチロリには全くキスが見向きもしなかったり、逆にチロリにばかり食ってきたりと日によって偏りが出る傾向があります。
チロリの付け方とタラシの長さ
引き釣りの場合は、1cmくらいの長さに切ってハリの軸いっぱいに刺して使います。夜釣りの場合はアオイソメ同様、4、5cmに切って少しタラシを出します。特に夜の大型キスの特効薬的なエサですが、マダイなどもよく釣れるため、このエサを使用する時は大型魚がヒットしてもいいように太仕掛けを使用するといいでしょう。
チロリの保存方法
上記の2種よりも低温には弱く、釣行時もあまりクーラーボックス内で氷に近づけないようにしておきましょう。イシゴカイ同様、釣りエサに使用するための保管は2、3日で、弱ると極端に動きが鈍くなり食いも悪くなります。また、個体差がかなりありますが、元気なチロリでもハリに刺そうとすると、自切して切れ切れになるものもいます。
エサを使い分けることがコツ
3種類の虫エサの特徴を解説しましたが、要約すると、
・日中の引き釣りならイシゴカイ
・置きザオの釣りならアオイソメ
・チロリは常に少量持参しておく
といった感じでしょうか。相手が自然界の生き物である以上、これが全てではなく、例外も数多くありますが、傾向として参考にしていただければ幸いです。
その他の虫エサも有効?
キス釣りを始めとする投げ釣り、チョイ投げでは定番の虫エサの他に多種多様な虫エサが存在します。たとえば、昔からカレイ釣りの特効薬として知られるマムシ、ホンムシなどもキス釣りに使われることもあるエサです。
また、アオイソメの変異型であるアカイソメも最近では、「アオ」と「アカ」で分けられて市販されています。そして、前述のように世界にはまだまだ知られていない種も含めて多様な種類のゴカイ類が生息しており、いつ新しいエサとして登場するか分からないのが現状です。もし、エサ店で新しい虫エサを見つけたら、使ってみるといい思いができる可能性は十分あるでしょう。
代用エサも存在
キス釣りによく使われる虫エサは、見た目などを嫌って苦手な人も多いと思います。そういった場合の代用としてはバイオワームが使えます。本物には食いで劣り、飲まれるほどしっかり食い込んでくれることは少ないので、使用する際には置き竿ではなく誘ってアピールし、アタリがあったら積極的にアワせるのがコツとなります。
また、仕掛けをしっかりと投げる必要のない、堤防の足元などのポイントでキスが釣れる状況ならオキアミでも釣ることができます。
スーパーやコンビニで入手可能なエサ
虫エサが手に入らない場合はスーパーやコンビニで買えるイカの塩辛も意外に釣れます。イカの塩辛はキスの食い自体は悪くないものの、虫エサよりも硬いので食い込みの悪さが欠点です。細長く切られた商品を使い、サイズや活性に応じてさらに細くしたり、短くしたりして使うのがポイントです。
<TSURINEWS編集部>