猫が口にすると『危険な虫』5選 どんな健康トラブルが起こり得るかも解説
1.ゴキブリ
一般家庭の害虫といえばゴキブリでしょう。ゴキブリは汚れた場所に生息しているため、病原菌やウイルス、さらには寄生虫の卵を運ぶことがあります。
誰もが嫌がるあの素早い動きは猫の狩猟本能を刺激するため、ゴキブリ発生時には悲鳴を上げる飼い主さんをよそ目に、意気揚々と走っていくかもしれません。
しかし、猫が捕獲後に口にしてしまうと、ゴキブリの持つ病原菌や寄生虫が猫の体内に侵入し、食中毒や寄生虫感染を引き起こす危険があるのです。
それだけでなく、ゴキブリが殺虫スプレーをかけられていたり、置き型駆除薬を食べていたりした場合、その成分が猫の中毒原因となることもあります。
2.ムカデ
ムカデは湿気が多く、薄暗い場所を好むため、隙間の多い木造家屋ではしばしば見かける危険な虫です。ムカデにはいくつかの種類がありますが、多くは毒を持っており、特にオオムカデは体長が15cm近くにまで成長します。
ムカデは夜行性なので、猫が活動する時間帯にも遭遇することがあります。もし猫がじゃれて口にしてしまうと、ムカデも防御反応から逆に噛みついてくるかもしれません。
ムカデの毒はキバの根元から分泌され、非常に強い痛みや腫れを起こすことがあります。特に体が小さい猫は、毒の影響が強く出ることもあります。
毒はアレルギー反応やショック症状を引き起こすことがありますが、致命的になることは少ないとされています。
3.ハチ
ハチの中でも、スズメバチやアシナガバチなどは攻撃的な種類ですが、好奇心旺盛な若い猫は、羽根の音を立てて飛び交うハチに興味を持ってしまうことがあり、止まった瞬間に噛みついてしまうかもしれません。
ハチに刺されると、患部に腫れや強い痛みを引き起こします。また、アレルギー反応としてアナフィラキシーショックを引き起こし、よだれを垂らしたり嘔吐したり、重症化すると気道が腫れて呼吸困難に陥ることがあります。
命に関わることもあるため、ハチに刺されたことがわかったら、すぐに対応することが重要です。
4.毛虫
春先になると庭やベランダなどに毛虫が這っているのをみつけることがあります。毛虫の動きはゆっくりで捕まえやすいので、猫はくわえて運ぼうとした延長で口に入れてしまうことが考えられます。
毛虫はイラガやドクガなど蛾の幼虫の場合、ふわふわした体表に含まれる毛に毒を持っています。毒腺毛が口の中の粘膜や舌などに刺さると、腫れて強い痛みからよだれや食欲不振を引き起こします。
毒は生きている毛虫だけでなく、死んでしまったものにも毒が含まれています。特に毒針毛の刺激は即座にあらわれ、毛虫を触った瞬間に強い痛みを感じることがあるため、見つけたら猫に気づかれないうちに処理しましょう。
触ってしまって皮膚炎などが起きているようであればすぐに受診するよう心がけましょう。
5.ノミ
ノミは屋外にいる猫であれば身体に寄生していることがほとんど。吸血することで、かゆみなどの皮膚症状を起こすことが有名です。猫が遊びの延長で口にするわけではありませんが、飲み込んでしまうとトラブルの原因になるため危険な虫のひとつです。
問題となるのは、ノミが単に猫の体表に寄生していることだけでなく、猫が毛づくろいをした際に飲み込んでしまうことで寄生虫感染を引き起こすからです。
ノミは瓜実条虫の卵を食べ、その卵はノミの体内で幼虫に成長します。猫がそのノミを飲んでしまうと、猫の消化管で瓜実中が成長することになるのです。この寄生虫に感染すると、下痢や血便などの消化器系のトラブルが起こり、栄養が十分に吸収できず痩せてしまうことがあります。特に子猫は体力を消耗しやすいため、ノミの予防と対策が重要です。
まとめ
暖かい季節には虫を追う猫が多くなりますが、誤って食べると有毒だったり、寄生虫に感染したりする危険があります。
狩猟本能を満たすことは猫の心の健康にも大切ですが、有害な虫を口にしないよう、室内環境を整え、適切に駆除剤を使うようにしましょう。
特にノミやダニなどは予防及び駆除を適切に行うことで、二次的な感染を含む猫の健康を守ることができます。
また、室内だけでなくガーデニングなどをされている飼い主さんは、ベランダの植物にも毛虫やハチの訪問がないか注意が必要です。また、飼い主の服や持ち物に毛虫などが付着することもあるため、特に外出中、木の下を通る時には注意してください。
そして、猫が虫に興味を示したら、すぐに遠ざけて危険を防ぐようにしましょう。
(獣医師監修:葛野莉奈)