マグロは泳いでないと死んでしまうってホント? #もやもや解決ゼミ
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今回のギモンは「マグロは泳いでいないと死んでしまう?」です。
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よく「マグロは泳いでいないと死んでしまう」といわれます。しかし、これは本当のことなのでしょうか。また、泳ぎ続けないといけないのなら、いったいどうやって睡眠をとっているのでしょうか?
今回は、2002年にマグロの完全養殖に世界で初めて成功した『近畿大学水産研究所』の升間主計(ますま・しゅけい)所長に回答いただきました。
【画像】遊泳中のクロマグロ(pixta)マグロは泳いでいないと死んでしまう?
結論からいえば、「マグロは泳いでいないと死んでしまう」は本当です。
マグロは早く泳ぐために沢山の酸素を海水から取り込む必要があります。
そのため、自身が泳ぐことによって新鮮な海水を口から取り入れて、海水が鰓(えら)を通るときに海水中の酸素を血液中に取り込む「ラムジェット換水」という呼吸法を発達させました。
口から吸い込んだ水をエラから排出して、呼吸を行いますが、早く泳げばそれだけ沢山の新鮮な海水を取り込むことができるようになります。
マグロは遊泳することで呼吸を行っています。
このような仕組みであるため、マグロは泳ぎを止めると酸素不足で死んでしまうのです。
また、成魚のマグロの鰓蓋(えらぶた)は泳ぐ際に水流の抵抗を小さくするために大きく開けず、さらに強い抵抗に耐えるために鱗に裏打ちされ厚くて強固な表皮となっているために、遊泳中に鰓蓋を動かして呼吸する(鰓ポンプ換水)ことができません。
ただし、マグロも仔稚魚期の小さいときには鰓蓋を動かすことができます。
マグロはいつ眠るの?
泳ぎ続けないと死んでしまうマグロですが、では眠らないのでしょうか?
魚の睡眠については研究が進んでいないようですので、マグロが睡眠をとっているのかどうかは分かりません。
ただし、あくまでも私見ですが、われわれが考えているような睡眠(横になって寝るとかブダイなどで見られるような行動)ではなく、泳ぎながら活動を低下させて休息しているのではないでしょうか。
◇けつろん!
「マグロは泳ぎ続けないと死んでしまう」のは本当でした。また、升間先生によれば、睡眠については、泳ぎながら活動を低下させて休息しているのではないか?とのことです。ずっと動き放しのマグロは、なかなか大変そうですよ。
◇こたえてくれたせんせい
升間主計(ますま・しゅけい) Profile
『近畿大学水産研究所』所長
『近畿大学水産研究所』は1948年に創設された魚類増養殖の専門研究機関。「近大マグロ」をはじめとする完全養殖研究のほか、栄養学や魚病学などの基礎研究、バイオテクノロジー、代替タンパク源研究など総合的な研究活動を行っている。
文:高橋モータース@dcp
編集:学生の窓口編集部
取材協力:『近畿大学水産研究所』
https://www.kindai.ac.jp/rd/research-center/aqua-research/
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