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「きみの色」山田尚子監督の舞台挨拶付き試写会&藤女子大学の座談会レポート

SASARU

「きみの色」学生試写会と監督舞台挨拶が7/25に札幌市にあるTOHOシネマズすすきの で行われました。監督に直接質問ができるティーチインも実施され、作品のポイントや制作する上で大切にしたことなど貴重なお話がたくさん!また、このイベントに参加した藤女子大学の学生とUHBアナウンサー柴田平美による座談会も開催。学生たちが感じた率直な感想や見どころなどをレポートします。

学生限定・監督舞台挨拶&試写会レポート

山田監督が全国16(いろ)都市を回る映画のキャンペーン。札幌で行われたイベントでは、監督のインタビューをはじめ、学生とのティーチインが行われ、会場は大いに盛り上がりを見せました。

山田尚子監督インタビュー

―――物語の着想はどこから生まれてきたのか、監督が描きたいと思った1番大きなものを教えてください。

大きく2つあって、まずは音楽を奏でる作品を作りたいということと、もうひとつは、人と人とが支え合う目線を大切に感情の中でまだ名前がついていないようなもの、感情の生まれた入口を描く作品を作りたいというのがあり、「きみの色」を考えました。

―――タイトルに入っている色は作品の大きな特徴でファクターですが、色について一番最初に描いていきたいと思ったことはありますか?

ポイントとしては光を描こうと思いました。光の三原色になぞらえて色を探って光の粒子を細かく見た時に溢れてくる色みたいなイメージで作品の色を描いていきました。

―――本作のバンド曲「水金地火木土天アーメン」は、監督が歌詞を考えたと伺いましたが、どのように考えたのでしょうか。

「水金地火木土天アーメン」は、トツ子が考えた曲で...。トツ子の目線を借りて、彼女の見える世界を覗かせてもらった時に自然に生まれてきた音楽という感じです。

監督が本作のライブシーンで登場する3曲の中でどれが一番好きでしたか?と会場に質問するシーンも。ちなみに監督は1曲目の「反省文」が特に好きだと教えてくれました。

―――音として大事なのが声優の皆さんだと思いますが、今回オーディションで選ばれたということでメインキャスト3人の声の印象やエピソードはありますか?

この作品にぴったりの3人だと思っています。最初から決まっていたんじゃないかというほどぴったりきていました。

ポイントとしては、やわらかい音を持っている方たちというのを大切に探しました。

―――1番最初に決まったのは3人のうち、どなただったんですか?

トツ子役の鈴川紗由さんですね。やっぱりこの作品はトツ子が動かしてくれるので、まずはトツ子が決まらないと始まらないと思って。あんなにかわいらしい声だけどすごくコメディエンヌとしてしっかりと立ってくださっていて、本当に出会えてよかったです。

監督に直接インタビュー!学生ティーチイン

―――繊細な描写がたくさんあり、言葉にできないような気持ちの表現がたくさんありましたが、制作する上で気を付けていることは何かありますか?

作品に出てくる登場人物1人ひとりを生きた人間だと思い込んでいるので、彼らの尊厳を踏みにじらないことをすごく大切にしています。彼らが何を思って、何を見て、どういうことに心を震わせているのかを各キャラクターに教えてもらいながら、作品の中で成り立たせています。

キャラクターの心を描く、尊厳を保つという感じです。

―――監督を目指して映画を作っているのですが、作品を作る上でどんな人に作品が届いてほしいと思って作品を作っていますか?

ふれると壊れてしまう気持ちを大事にしているので、そういう気持ちを大事にしている人たち。もちろん、みなさんに届いてほしいと思っているのですが、何か取り残されたような気持ちになっている人がいたら作品でお会いしたいなと思っています。

―――監督は自分がどんな色だなと思いますか?

すごく難しくて...皆さんもそうだと思うんですが、自分の見えてる世界って自分がいないですよね、なのでどんな色なのかがわからないままな気がします。自分がどんな形、色をしているよと言ってくれる仲間がいるというお話を書いてみたくて...そんな感じです。

―――「水金地火木土天アーメン」で一番気に入ってるフレーズを教えてください。

歌詞にトツ子、きみちゃん、ルイ君の名前が全部入っているんです。トツ子が友だちができた喜びを表現しています。ぜひ探してみて下さい。

―――中学・高校と女子校に通っていて、すごく既視感のある空気感だなと思ったのですが、雰囲気作りで意識したことがありますか?

学校をいくつか取材させていただいたり、実際に先生だったり、卒業生の方にお話を聞いたりしたんですけど...この学校はカトリックの学校で、その情報だけだと、真面目で静かなお嬢様学校というのをテンプレでは想像してしまうかもしれないのですが、実は女子校ってやんちゃで無邪気でいろんな子がいるし、元気というか茶目っ気あふれる場所だと思うので、そういう感覚を大事にしたいなと思いました。既視感を感じて頂けてほっとしています。

藤女子大学・映画座談会レポート

山田尚子監督のティーチイン付き試写会に参加した藤女子大学のみなさんとUHBアナウンサー柴田平美が行った座談会の様子をレポート。

学生たちが感じた作品の率直な感想や魅力をお伝えします。

―――パステルカラーの淡く繊細な世界観、シャボン玉のように儚い雰囲気が素敵な作品でしたよね。10代の心の揺れ動きみたいなものにリンクしていて、心が震える作品だなと思いました。ミュージックビデオみたいな感じで、すごく映像もキレイで、映画館の大きなスクリーンで見る価値があるなと思ったんですけど、皆さんどう感じましたか?

色をテーマにあげられていて、映像美がとても印象的。きみの色の"きみ”という部分が登場人物のきみちゃんのことだと私たちに語りかけられているのかなという気がしました。

色というのが、個性みたいな捉え方のニュアンスだと思うんですけど、キャラクターの個性を尊重している作品だなと思いました。思春期特有のもろさとか映像やテーマもですけど、全体で伝わってきて、共感がすごかった!意見がまとまってないんですけど笑

―――話し出したら止まらないよね!他の方はどうしてたか?

トツ子、きみちゃん、ルイ君の関係性がいいなと思って...。トツ子が声をかけなかったら、3人でバンドを組むこともなかったなと。勇気を出して話しかけていくっていうのがいいなぁと思いました。自分も話しかけたり、色んなことをしていこうかなと一歩踏み出す勇気をもらえた映画ですね。

私も、色は個性や自分らしさを意味しているのかなと思っていて...。3人が色々な経験を経て、一歩前進したという風に感じました。トツ子のように人の色が見えるわけではないので、みんな自分らしさを探しているのかなと映画を通して感じました。あと、トツ子ときみちゃんの言葉にできない関係性がめちゃくちゃ好きでした!友だちというよりはちょっと複雑で...憧れも強いし、恋愛ではないけど、その中間みたいな?そこが好きでした。
一歩踏み出すことで音楽やライブを作りあげることができたというところがいいのかな。

―――憧れとかも強そうだよね。一歩踏み出すことで何かを作り上げたというところがいいのかなぁ。監督が「自分の姿が見えないから周りの仲間が自分をどういう色なのかを見つけてくれる」と話していたけど、そういう仲間ができたら良いなと思って映画を作ったというのが印象的だったよね。

友だちとの関わりを通じて自分の色を見つけられたのかなって思いました。

―――自分と重なる部分とかあったりしましたか?

いい子でいなきゃみたいなところが共感できたかな。

―――カトリック系の女子校だから規律というのもあるよね。中学・高校で女子校出身の方っていますか?世界観はどうでした?

私は、中学・高校が女子校なんですけど...めちゃめちゃ心当たりあります笑
厳しいところもあるし、女子だけなのではっちゃけている部分がリアルで懐かしかったです。舞台挨拶で女子校に通っていてと質問したのは私なんですが...

一同:え?あの時の?笑

女子校の雰囲気って言語化が難しいなと思うんですけど、すごく繊細に表現されていたのが印象的でした。おもしろい部分やコミカルな部分もあったり...逆に縛られている部分もあって、複雑な感情みたいなものが鮮やかに描かれていたように感じますね。

―――他に印象に残っていたり、共感できるシーンはありましたか?

黒髪で大人っぽくて他とは違う雰囲気を持ったきみちゃんに憧れるし、そういう雰囲気の女の子が大好きで、かわいい〜!と思いながら見てました!恋愛感情があっても素敵なんですけど、純粋な仲間っていう感じが良い関係だなと思って、羨ましさがありました。こういう時もあったよなみたいな懐かしさとかもあったりして...。

―――純粋な仲間っていうのが羨ましくなりますよね!こういう事あったよなみたいなね。

大学入学当時にあまり仲の良い友だちがいなくて、ガイダンスの時に隣の子が話しかけてくれて...今も仲が良いんですけど、ちょっと自分と重ねてしまいましたね。
自分たちにも意外にあるから大切にしようって思いました。

予告でバンドがテーマだと知っていて、バンドが好きなので期待してました!曲がめちゃくちゃささりましたね笑
「水金地火木土天アーメン」が流れた瞬間、泣きそうになっちゃって...。3人でがんばって作って、やっと一歩踏み出そうとステージに立っている姿と曲がすごくマッチしていて、今でもSNSで定期的に聞くくらい好きなんですよ!音楽を感じるので絶対劇場で観た方がいいって思いました。

―――あの曲、頭に残るよね!歌詞の中に3人の名前が入ってるっていうのを監督が言っていましたが、ぜひ見てほしいよね!バンドをやっていたんですか?

バンドは、やりたかったんですけど..少しだけ楽器をさわっていたことはあります。3人は楽器をさわったことがあるけど、そんなに演奏できるとかではないのに、バンドを組みたいって思ったことで行動に移しているのがすごくいいなって思いました。あのクオリティで楽しそうにやっているのが、本当にいいな...。羨ましかったです。

―――10代ならではの世界観が青春という感じで良いよね!その他の印象はどうでしたか?

監督が光の三原色をテーマにしているって聞いて、踊っていたシーンが明るくて光という感じだったので、素敵でした。

―――キャラクターそれぞれの色がぴったりだなっと思いながら観ていたんですが、プリズムという光から生まれる色を描きたくて映画の色を作ったと監督が言っていました。人との関わりとかも心地よい世界観ですよね?

邪魔をしてくる人がいないというか、向き合ったらきちんと答えてくれる人たちが周りにいて、それを見て勇気をもらったなと思いました。

―――たしかにそうですよね。悩んでる人が実世界にはたくさんいるから、この映画では優しい世界であってほしいという監督の想いが描かれているそうですよ。その他、舞台挨拶で感じたこと、印象に残ったことはありますか?

バンドだけではなくて、日常や困難な部分を見せているのが良いなと思いました。

―――人間模様を描いているのが良かったですよね。心の動きに重きを置いていたなと思って…きれいで良い世界観でしたよね。舞台挨拶で監督から好きなキャラクターを聞かれる場面があったけど、みなさんはどのキャラクターが好きですか?

私、全部好きです笑
トツ子の天性の明るさに憧れるし、勇気があって魅力的。きみちゃんはかっこいい女の子だし、ルイくんのほんわかした雰囲気も好きで...選べなかった!

―――最後にこの物語に感じる色、全体を通して何かありますか?

パステルカラーやキレイな色が使われているイメージで、グッズが出たら絶対好きだなと思う色でした!

―――素敵ですよね!他にはありますか?

3人のイメージが光の三原色ということだったので光の色というのを作品全体で感じました。様々な色が集まると透明になるので、そういう意味で透き通った感じも…。

―――監督のお話を聞いて、記憶に残っていることはありますか?

キャラクターの描写の細かな設定についてですね。キャラクターを人として描いて捉えているというのが印象的でした。

―――最後に伝えたいことはありますか?

この映画は私たちの世代の共感を考えて作られたと思うんですが、親世代にも親子の関係がしっかり描写されていたので、対話を大切にしようという気持ちが伝わる作品だと思いました。

今回は、「きみの色」監督舞台挨拶付き試写会と藤女子大学の学生による座談会の様子をレポートしました。色と音楽、そして青春ストーリーをぜひチェックしてみてください。

作品情報

(C)2024「きみの色」製作委員会

作品名:『きみの色』

監督:山田尚子 「映画 聲の形」「リズと青い鳥」「平家物語」

声の出演:鈴川紗由 高石あかり 木戸大聖 やす子 悠木碧 寿美菜子 戸田恵子 新垣結衣
(※高石あかりさんの「高」は正式には「ハシゴの高」)

脚本:吉田玲子 「猫の恩返し」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「若おかみは小学生!」

主題歌:Mr.Children「in the pocket」(TOY'S FACTORY)

製作:「きみの色」製作委員会

配給:東宝

公開日:2024年8月30日(金)

公式サイト:https://kiminoiro.jp/

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