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腫瘍でリュックを背負ったような男性、4度目の手術が成功し「仰向けになれる」と笑顔(マダガスカル)

Techinsight

まるでリュックを背負ったような大きな腫瘍があった男性。小さな吹き出物のような点が、15年かけて大きくなっていったという(『The Grand Junction Daily Sentinel 「Man gets tumor the size of a watermelon removed from back」(Joshua Kiew Wing Chau / Mercy Ships via SWNS)』より)

15年の間に腫瘍が巨大化し、まるでリュックを背負っているかのようだった男性が今年6月、国際慈善団体が所有する病院船で人生を変える手術を受けた。男性はこれまで3度の手術を受けたが、腫瘍は再発。今回の手術で絶望の淵から救われたという。英ニュースメディア『The Mirror』などが伝えた。

【写真】背中に5キロの腫瘍を抱えていた男性

マダガスカル在住のフィディソアさん(Fidisoa、53)は2009年、背中に小さな吹き出物ができていることに気がついた。

当初は気にも留めなかったフィディソアさんだが、それはいつの間にかこぶし大ほどになり、15年間で背中にリュックを背負っているかのような5キロの腫瘍に変化した。そして仰向けで寝ることが困難になり、慢性の腰痛に悩まされ、仕事や日常生活にも支障をきたすようになった。

実はフィディソアさん、2015年、2018年、2021年と3度の手術を受けていたが、腫瘍を完全に取り除くことができずに再発していた。そして約24万円(690万マダガスカル・アリアリ)の貯金を全て使い切り、3度目の手術では海外で資金調達までして臨んだものの、腫瘍はすぐに大きくなった。

それでも5歳、22歳、25歳の3人の子を持つフィディソアさんは、建築業兼米農家の仕事をやめるわけにはいかず、失望はやがて絶望へと変わっていった。

そんな時、フィディソアさんは国際慈善団体「マーシー・シップス(Mercy Ships)」が所有する病院船“アフリカ・マーシー”がマダガスカルに寄港することを知り、一筋の希望を見出した。

マーシー・シップスは1978年に創設されたキリスト教系の非政府組織で、安全な医療を受けられない人々に無料の手術や医療サービスを病院船内で提供する。そこでフィディソアさんは早速、ボランティアチームに手術の相談を持ちかけ、53歳の誕生日の翌日である6月7日に手術を受けることが決定した。

手術を担当したチームの一人で、南アフリカ出身の再建・形成外科医ターシャス・ヴェンター氏(Dr. Tertius Venter)によると、フィディソアさんの手術は冬眠腺腫(hibernoma)と呼ばれる脂肪組織の良性腫瘍を切除するもので、異常な組織が筋肉にまで浸潤していたことから4時間を要したそうだ。ただ、ターシャス医師は「全ての異常な組織をしっかりと取り除いた。だからこれまでのように再発することはない」と胸を張る。

一方でフィディソアさんは、マーシー・シップスのスタッフに感謝したうえで次のように語り、喜びを露わにした。

「手術はこれまでの人生の中で、最高の誕生日プレゼントになった。看護師はとても親切で、私のために誕生日の歌を歌ってくれてね。手術後、私を迎えに来てくれた妻や娘、女きょうだいは皆、私のスッキリした背中を見て驚いていたよ。」

「背中の重荷がなくなって普通の生活ができるようになったし、仰向けで寝ることも可能になった。また腰痛のことを気にせずに仕事ができるから、米を作るのを楽しみにしているんだ。それに米袋を顧客に配るため、これから古いバイクを修理しようとも思っているよ!」

ちなみにマーシー・シップスのマダガスカル寄港は、1996年、2015年、2016年に続いて今年で4回目だった。政府や保健省と協力しながら人生を変えるようなサービスを提供しており、前回までの訪問で6425件以上の手術と、5万2395件の歯科手術を行っている。さらに長年にわたり教育にも力を入れており、これまでに2019人の医療従事者を育成しているという。

画像は『The Grand Junction Daily Sentinel 「Man gets tumor the size of a watermelon removed from back」(Joshua Kiew Wing Chau / Mercy Ships via SWNS)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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