猫の『すごい足さばき』のヒミツ選!障害物を落としたり倒したりせずに歩けるのはなぜ?
1.前足の触毛がセンサーの役割を果たす
「触毛」とは「ひげ」のことです。「ひげ」と聞くと、口の周りや顔から生えているものの認識ですが、実は触毛は前足にも生えており「手根触毛(しゅこんしょくもう)」といいます。
手根触毛が生えているのは、猫の前足にある手根球の位置です。手根球は多くの人が「肉球」と呼んでいる位置から少し離れており、地面と接することはありません。その手根球の周りに生えているのが手根触毛です。特徴は他の毛よりも少し長くてやや硬め、本数は1~3本程度です。
この手根触毛は、猫の顔周りのヒゲ同様、センサーのような働きをします。障害物との距離を測ったり動きをキャッチしたりする機能が前足にあることで、猫はいちいち足元を目視しなくても、障害物があっても難なく進むことができるというわけです。
2.肉球の優秀な機能
肉球といえば、猫のチャーミングポイントで上位にランクインするほど人気の部位なのではないでしょうか?しかし肉球はただカワイイだけではなく、とても優れた働きをするのです。
猫の肉球は弾力性に富んでおり、適度に湿り気もあるので、すべりどめとしても優秀です。人間で例えるなら、素足だとすべる場所でも、シューズを履いた方が転びにくく運動パフォーマンスが向上するような感覚です。
なお、猫の前足の肉球は手の平のような「拳球」と指に値する「指球」とありますが、その幅は3cmほどです。実は猫はこの肉球の幅さえあれば体を支えることができます。たった3cm程度の隙間でも難なく歩くことができるのは、肉球の働きも大きな要因でしょう。
3.しっぽでバランスを取っている
猫の身体の左右から中心部分に生えているしっぽ。実は猫はしっぽを振ることで、バランスをとることができます。これは、まるで綱渡りや平均台を渡るときに用いる長い棒ですね。棒でバランスを取るような役割を、しっぽは担っています。
猫のしっぽは骨盤に繋がっているので、倒れそうなときはしっぽを素早く振ることで平均を保つのです。たとえば全身が右側に傾きそうなときには左側にしっぽをふり、逆に左側に倒れそうなときには右側に動かし、骨盤の位置を調整します。
参考までに、幅が狭い場所のときは、姿勢は低くしてしっぽはつり上げるように高くします。
まとめ
猫が障害物を難なく歩き抜けることができる秘密は、その身体の仕組みにあることがわかりました。
足の先のセンサー(触毛)で障害物を感知したり、狭い隙間でも足元がブレることなく歩くことができる足を生かしたり(肉球)、そして足元がブレることがないようにバランスをとるのです(しっぽ)。
本来そのバランス感覚は、野生の中で生活するためにフル稼動していた能力です。「イエネコ」として暮らすようになった今でこそ、獲物を狩ったり、外敵から逃げたり隠れたりすることはありませんが、猫の「すごい足さばき」とは、得るべくして身についている能力といってもよいでしょう。