<35才、結婚できナイ!?>お相手にタメ息「まだ付き合ってたのか……」結婚には反対【まんが】
私(ミサコ)は60才。会社員の夫、テツオとふたりで暮らしています。ひとり息子のユウトは現在35才、社会人になると同時に家を出ました。大切に育てたユウトが立派に働いている姿には感慨深いものがあります。しかしユウトもいい年です。過去にお付き合いした女性は何人かいるようですが、そろそろ伴侶となる人を見つけて身を固めてくれないかな……と思っていました。そんなユウトから、私たち夫婦はある日「会ってもらいたい人がいる」と言われたのです。
そして2週間後、私はユウトが予約した店に向かいました。紹介された福田ユナさんは、清潔感があり芯の通った女性という印象です。ユウトが親に彼女を会わせるのは初めてのことなので、おそらく将来を真剣に考えてのことなのでしょう。
ユナさんは6人きょうだいの一番上で、よく下の子たちの面倒をみてきたのでしょう。ユウトもすでにユナさんの家に出入りし、ずいぶん親しくさせてもらっているようです。ユナさんが家族を大切にしているのはよく分かるけれど……。
ユウトから「紹介したい人がいる」と言われたときは、正直とても嬉しかったです。ユウトももう35才、そろそろ身を固めてもらいたいと思っていたところでした。 しかし相手が「ユナさん」だと知ったときは、複雑な気持ちになりました。ユウトからは何年か前にユナさんの話を聞いています。そのとき私たち夫婦はユナさんのことを結婚相手としては難しいだろうと思っていたし、このままお付き合いが続くことはないと想像していたのでした。 実際に会ってみるとユナさんは明るく芯の通った雰囲気の女性で、温室育ちのユウトにはもったいないくらいの人でした。けれど私は複雑な気持ちでいっぱいだったのです。
不安しかない!亡き父親に借金、複雑な家庭事情にアゼン
「なかなかできないよな。働いて給料をもらったら、自分のために使いたいだろうに……。若いのに家族の生活を支えていて、すごいと思うんだ」ユウトは感心したように話します。けれど私にはそのとき、夫の顔が曇ったのが分かりました。
ユナさんの家庭事情を聞いた私には、不安しかありませんでした。けれど夫は静観すると言ったので、私もそれに従うことを決めたのです。生活環境がまったく異なる相手とのお付き合いなど、どうせ長くは続かないだろうと……。
いくら相手の女性が素敵な人だったとしても、結婚となると「家庭環境」「価値観」「金銭感覚」がある程度似ていることが必要だと思うのです。「自分とは違うところ」に憧れを抱いてユナさんとお付き合いをはじめたユウトには、そんな現実は見えていないだろうと思いました。 ただそのときユウトは30才を過ぎていましたし、いい大人です。自分なりの価値観も築いているだろうし、さまざまな可能性も考えて行動していることでしょう。だからお付き合いに関しては口を出さずにいました。しかし「結婚」になると話は別なのです。悩みは深まるばかりでした。
結婚を夢見る息子に夫が一喝「現実をみろ」「反対だ!」
実家に帰ってきたユウトに、夫ははっきり「結婚には反対だ」と伝えました。ユナさん家族の強い結びつきや金銭的事情など、結婚するとなると直面することがたくさんあるでしょう。正直、ユウトにそれをクリアしていく覚悟があるとは思えないのです。
「俺も頑張るから」「何があっても乗り越える」ユウトの言葉はどこか夢見がちに感じます。夫は冷たく言い放ちました。「そんな精神論を言えば俺たちが納得すると思っているのか? のちのち揉めて別れるくらいなら、結婚なんてやめておけ」
私たちは決してユナさん本人を否定しているわけではありません。ただ家庭環境があまりにも違いすぎるのです。ひたすらに「頑張る」と繰り返すだけの今のユウトが、結婚をしてうまくいくとは到底思えません。 さらにユナさんと話してみて、あらためて「お母さんやきょうだいのことを何よりも大切にしている」ということが伝わりました。それ自体は悪いことではないのですが、果たしてその環境のなかでユウトは幸せになれるのでしょうか。 この結婚には不安要素がたくさんありすぎて……。けれど35才にもなる大人の息子の結婚にここまで口を出すのもどうなのだろうと、悩んでしまう自分もいます。
【息子の気持ち】親の反対にイラッ!尊敬できる彼女なのに
俺(ユウト)は、数年前から付き合ってきたユナとの結婚を考えている。しかし両親はユナとの結婚にいい顔をしなかった。ユナは6人きょうだいの一番上で、ずっと下の子たちの面倒をみてきた。お父さんが借金を残して亡くなり、高校を卒業すると働いて家計を助けてきたそうだ。そんなユナを俺は支えてあげたいと思ったのだ。父からは結婚を反対され、「もう一度話し合え」と言われた。いったい俺はユナに何を伝えればいいのだろうか……。
ユナはまるで母親のように下の子たちの面倒を見ながら、家事をテキパキとこなしていた。きょうだいはみんなで協力しあい、お母さんを支えてできることを分担していた。俺は自分がいかに何不自由なく育ってきたかを思い知らされたのだ。
ユナの生育環境がいまのユナを作り、俺はそんなユナを受け入れている。それなのに父は反対してきた。母でさえユナに対して「家族への想いが強すぎる」と心配していた。果たして俺と結婚して新たに家庭を築くことができるのだろうか、と……。
ユナは自分の家庭環境を受け止めて、今までずっと頑張ってきた。俺はどんな環境でも前向きなユナのことを尊敬しているし、ユナのことをもっと支えたい、幸せにしてあげたいと思っている。 それなのに両親は、お互いの家庭環境が違いすぎると言って反対している。そもそも違う家庭で育ったもの同士が一緒になるのが「結婚」じゃないのだろうか。俺はユナのすべてを受け入れて、ユナと一緒にいたいと思ったのだ。そう父に言い返したかったが、俺は何も言えなくなってしまった。俺がユナと話し合うべきことはいったい何なのだろう。
【私の気持ち】客観的な視点を持てない息子「甘すぎ!」友人からの指摘
ひとり息子のユウトは現在35才。ある日「会ってもらいたい人がいる」と言われ、私はお相手の福田ユナさんとお会いしました。しかしユナさんの育った家庭環境はわが家とは違いすぎます。結婚するとなると、家庭環境の違いに対する相当の覚悟が必要になってくるでしょう。正直、結婚に夢を見ているようなユウトにその覚悟があるとは思えないのでした。
メグの娘さんはいわゆるエリート男性と結婚したのですが、数年で離婚してしまいました。人間性で言えばユナさんは立派な女性なのだと思います。働きながら母親やきょうだいを支えるだなんて、誰にでもできることではありません。
メグにはユウトの甘さを指摘されました。「これが20代前半とかならまだ『若いから仕方ないかな?』って思うんだけど、35才でしょ? いろいろ見えていてもいい年齢じゃない。親がどう思うのかとか、客観的な視点があってもいいはず」
私はユナさんの家庭環境を不安視していました。しかし生まれ育った環境は本人にとってはどうすることもできませんし、とやかく言うのは彼女がかわいそうです。そして友人の言葉を聞いてハッとしたのです。私が不安になる原因はユウトの甘さにあるのだと……。 もう35才にもなるのに、親の不安要素をそのままにして結婚しようとしているユウト。そんな息子が彼女を守れるとは思えません。ただでさえ彼女は6人きょうだいの一番上として下の子たちの面倒をみて頑張ってきた女性です。ユウトが生半可な気持ちで結婚を申し出ていいものではないのです。私はそんなユウトの甘い考えに、この結婚話が破綻する未来を感じていました。
【息子の気持ち】親の反応に困惑「原因は……まさか俺!?」
たとえ両親に反対されたとしても、絶対にユナと結婚する。そう思って俺は結婚式場などを探しはじめた。しかしユナは……。
「ご両親に私との結婚、反対されているんでしょ?」ユナには黙っていたけれど、すべてお見通しだった。「大切なご両親でしょ? 反対された状態で私は結婚したくないな」「いいんだよ。ウチの親のことは放っておいて」「そんなわけにいかないよ」
そもそも完璧な家庭環境なんてないし、いちいち不安を言っていたらきりがないのに……。しかしそのとき、ふと思った。両親を不安にさせているのは、本当にユナの家庭環境なのか……? 俺は父から言われた言葉を思い出していた。
俺が至らなかったせいで両親を不安にさせ、ユナにまで辛いことを言わせてしまった。我ながら本当に情けない。両親がこの結婚を認めてくれないのはユナの家庭環境のせいだけではなかった。その環境の違いを受け入れるだけの覚悟が俺に足りていないと分かっていたから、よく考えるよう諭してくれていたのだ。 だから俺は客観的な視点からこの結婚に対する不安を払拭して、両親に安心してもらうべきなのだろう。それが「ユナを幸せにする」と誓った俺にできることだ。俺は目の前にいるユナにもあらためてその決意を伝えたいと思っている。
足りなかったのは「新しい家庭」築く覚悟
結婚するということは、俺とユナが「新しい家庭」を作るということだ。ユナの全てを受け止めるつもりでいるけれど、ユナの家族のなかに入るために結婚するんじゃない。結婚に対してどこか夢見がちだった俺には現実が見えていなかった。
結婚する以上、これから築く「新しい家庭」を優先する覚悟が必要だ。ユナにとってお母さんやきょうだいは何よりも大切な存在だったし、俺だって両親のことを大事に思っている。しかし線引きをしなければならない場面は出てくるだろう。
俺は本当に甘かった。結婚を認めてくれない親がおかしいのだと、理解を得られないことばかり嘆いていた。しかし実際は、結婚に対する自分の覚悟が足りないことを見抜かれていただけだったのだ。 ユナの育った家庭環境はわが家とあまりにも違う。そのことにうちの親が不安を抱くことなんて分かっていたはずだった。それを解消できていないのは俺の責任だ。両親に反対されて初めて、自分自身も結婚への覚悟ができたように感じる。俺はもう一度しっかりと両親に決意を伝えたいと思っている。
【私の気持ち】覚悟決めたふたり「新しい家庭第一に」親として心から祝福
数日後、再び家にやってきたユウトは私たちに頭を下げて言いました。
「ユナはどんなことにも前向きに頑張るし、人を悪く言うこともない。誰よりも苦労を知っているから人の痛みが分かる女性だ。俺はそんなユナと一緒に生きていきたい」深々と頭を下げるユウト。その意志を確認するかのように夫は問いかけました。
そして迎えたユウトとユナさんの結婚式。お母さんやきょうだい、たくさんの人々に祝福されてユナさんは幸せそうです。そして隣に寄り添うユウト。笑顔あふれる新郎新婦の姿に、この結婚は決して間違っていないんだろうなと感じました。
結婚式当日はユナさんのお母さんとあらためて挨拶を交わし、弟さんや妹さんたちとも実際に会って話をすることができました。これまでずっと家族のために頑張ってきたユナさん。そんな彼女に幸せになってほしいと心から願う気持ちが伝わってきました。 ユウトはきっとご家族のそんな気持ちをしっかり受け止め、応えてくれることでしょう。結婚式で笑顔のふたりを見て、この先もきっと大丈夫だろうと思えました。これからも陰ながら息子夫婦のことを見守っていきたいと思っています。