涼感と風情を楽しむ夏の和の風物詩!宝塚の伝統工芸品を作る『つりしのぶ園』に行ってきました 宝塚市
みなさんは「つりしのぶ(釣り忍)」ってご存知ですか?山地の樹木や岩肌に着生して育つしのぶを束ねて、玉などの形状に仕立てたもので、古くから夏の風物詩として愛され続けている伝統工芸品です。
江戸時代に東京の深川周辺の植木屋さんが出入りしていたお屋敷に涼感を楽しんでもらおうと考案されたのがつりしのぶの始まり。その後、軒先に吊るされたつりしのぶの心和らぐ風情が評判となり全国に広まっていったのだそう。
現在ではつりしのぶを専門に作っている農園は全国で2カ所のみで、そのうちの1つが宝塚市北部の自然豊かな西谷地区にある『つりしのぶ園』(宝塚市)。伝統工芸品のつりしのぶのほか、しのぶ製品の開発・生産から卸・販売までを手がけています。
地域特産物マイスターとしても活躍している園主の市原さんはつりしのぶを作り出してなんと約55年。20代の頃に友人が作っていたつりしのぶに出会い、魅了されたのがきっかけなんだとか。最初のうちは山にしのぶを獲りに行って作っていましたが、40年ほど前からは何年もかけて自分でしのぶ苗を育てるようになったのだそう。
こちらが市原さんが育てた「しのぶ」。今回訪問した農園のほかに2カ所、しのぶの苗を育てる農園があり、育つには4年かかるらしい。
土をネットに入れしのぶを巻き付け、玉型にします。
1年半ほどすると、根を出してこんな風になります。時間をかけて作り込まれるつりしのぶは、環境が合えば10年、20年単位で鑑賞でき、中には50年楽しめることもあるのだそう。
同園のつりしのぶは四季折々の顔のある日本産のものと、一年を通してその青葉を楽しむことができる亜熱帯産(常緑種)の2種類があります。
こちらも人気だという苔に覆われた容器にしのぶ玉を入れた「苔玉しのぶ」。
こちらも年月が経つとこのようになります。
流木と組み合わせたものも可愛らしくて人気だそうです。
たくさんのつりしのぶが育てられていて、幻想的とも言えるその姿は圧巻でした!
丸型のつりしのぶのほかにも三日月型や俵型などのものもありました。
同園では毎月1回第3日曜日に「つりしのぶ作り講習会」が開催されているのですが、好きな型のつりしのぶを自分で作ることができ、毎回大好評らしいです。子どもの夏休みの自由工作にも良いかもしれないですね。
疫病、魔厄よけの風鈴をつけたことで全国に広まったというつりしのぶ。風鈴の音がより風情を感じさせてくれそうですよね。
夏本番に向けぜひ筆者も欲しくなり「風鈴付きの日本産のつりしのぶ」と、 常緑種である亜熱帯産のしのぶ玉を使用した「苔玉しのぶ」を購入しました!
「苔玉しのぶ」は流木でできた台の上に置きましたが、可愛くて癒されます!手入れも難しくないのでこれから長いお付き合いになりそうです。
「つりしのぶ」は窓際に。窓を開けると風に吹かれてそよそよと揺れる葉とチリーンという風鈴の音にすごく癒されます!涼感を感じ和の風情も感じるその姿をずっとみていたくなりました。紅葉や落葉もするようなのでそれも楽しみです。
つりしのぶの購入は同園でのほか、オンラインショップでも購入できます。贈り物としても人気なようで、お中元に贈るのもおすすめです。
場所
つりしのぶ園
(宝塚市境野鳶ケ巣30)
営業時間
8:00〜17:00
営業日
年中無休
TEL
0797-71-0223