【月刊!スピリッツ9月号】 漫画家・塚田ゆうたさん(静岡県出身)「RIOT」第3回
静岡新聞論説委員がお届けする“1分で読める”アート&カルチャーに関するコラム。今回は小学館の「月刊!スピリッツ9月号」。静岡県出身の漫画家塚田ゆうたさんの初連載「RIOT」第3話を掲載。
静岡県松崎町を思わせる田舎町を舞台に、男子高校生「シャンハイ」「アイジ」が手作りのカルチャー誌を創刊。限定5冊を発行後、こうした媒体が世間で「ZINE(ジン)」と呼ばれていることを知る。
第3話ではコラージュ的な手法で構成した創刊号からの進化を目指し、「専属カメラマン」を求めて写真部部室を恐る恐る訪ねる。こうした展開は「里見八犬伝」的であり、「ドカベン」的。ある目的を達成するために仲間を集め、「チーム」を形成していく過程を描くのは、物語の「王道」と言える。
「RIOT」のユニークさは、王道的な物語の着地点が「ZINE」という非常にニッチな世界であるところ。プロジェクトの欠けたピースがどのように集まるのか、またプロジェクトの外部にどれだけの支持者が集まるのか。興味は尽きない。(は)