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“抜き打ち”なのにマスコミ勢ぞろい 事前に知ってた県職員も 「訓練のための訓練」の声

Shizuoka

■南海トラフを想定 静岡県で全職員対象の参集訓練

静岡県は南海トラフ地震の発生を想定し、県職員7320人全てを対象にした参集訓練を実施した。事前告知をしない「抜き打ち」をうたっているが、「事前に知っていた」と話す職員もおり、「訓練のための訓練なので意味があるのか疑問」という声も上がっている。

国家公務員より高額 静岡県職員の給与は全国で最も高水準

静岡県は4月24日、県職員が県庁などに集まる訓練を行った。訓練では災害対策本部の立ち上げや防災情報共有システムなどを使った情報共有など、地震発生直後の初動対応の流れを確認した。

訓練は午前6時45分頃に県中部と西部で最大震度7の地震を観測した想定で、参集を求めるメールやファックスが全職員や県の出先機関に発信された。公共交通機関が利用できなくなった前提だったため、職員は自転車やバイク、徒歩で県庁に向かった。

職員には事前に訓練の実施日時が伝えられない中、215人が30分以内に集まった。鈴木康友知事も午前7時前に県庁に到着した。30分以内の参集は県が目標としていた254人には届かなかったが、1時間以内の参集は418人で目標の382人を上回った。

全職員を対象にした参集訓練を実施した静岡県

■「事前に知っていた」、「毎年同じパターン」 緊張感薄れる訓練に

参集訓練は年度が替わったタイミングで毎年実施されており、今年で30回目となった。県は「抜き打ち」としているが、事前に知っていた職員は少なくないという。ある職員は、こう話す。

「部署や役職によって、一定数は訓練の日時を知っている。そこから情報が直接漏れることもあれば、普段とは違う言動によって察しがつくこともある。知り合いのマスコミ関係者から聞く職員もいる」

訓練を計画する以上、一部の職員は実施日時を把握している。そして、訓練当日に職員たちが集まってくる様子を撮影していることからも分かるように、記者クラブに所属する新聞社やテレビ局も県から事前に情報を受け取る。これだけの人数が知っていれば、「抜き打ち」の効果が薄れるのは当たり前だろう。

前出の職員は「緊張感を持っているのは自分や部署のメンツを保ちたい職員や、上司に怒られたくない職員くらいでしょう。訓練のための訓練でしかない。毎年同じパターンで機械的に訓練を繰り返しているだけの危機管理部にも問題はある。今回の訓練に限らず、危機管理部からは本気で南海トラフに備えようとする空気が全く伝わってこないので」と話す。訓練の対象となっている職員に“毎年恒例”と思われていては緊張感が失われ、訓練の意味はなくなってしまう。

(SHIZUOKA Life編集部)

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