夏休みの夜更かし・朝寝坊…。「子どもの休み明け」生活習慣の対処方法
臨床心理士・公認心理師のyukoです。夏休み恒例の夜更かし、朝寝坊。毎日言い聞かせてもなかなか直らず毎回親子の攻防戦。生活リズムは言って聞かせるだけではなく、親子の習慣作りから始める必要があるんです。2学期を気持ちよく迎えるための対策を考えていきます。
令和の昼夜逆転は厄介者。
夏休みになると夜更かししてしまい、朝寝坊してしまう。
これはいつの世代においてもあるあるですよね。しかし“そういうものだから”で片づけてしまうのはNG。なぜなら、今の夜ふかしは、数十年前の夜ふかしとは質が違うからです。
昔は、夜ふかしをして音楽を聴いたり漫画を読んだりTVを見たり、一方通行の情報を受信するのが主でしたよね。しかし今は、オンラインゲーム通信やSNSなど、“誰かと繋がれること”に特徴があります。
その結果、単に寝る時間が遅くなるだけではなく、心や脳まで夜型に変わってしまうんです。昔であればすぐに生活習慣が戻せましたが、心や脳にまで影響があると、切り替えるのが難しくなってしまうんですね。そして乱れが続くと朝起きられないだけでなく、夜眠くならない・お昼ごろまでボーっとするなど、心が時差ボケしてしまうようになります。
昼夜逆転生活が続くと成長の妨げになるだけではなく、頭の働きが鈍くなることにより集中力や記憶力が低下しやすくなります。また、イライラや不安定さなど情緒面にも影響してしまうんですね。
夜型が向いている子もいる?
夜の方が仕事や創作がはかどる方がいるように、子どもでも夜に頭がさえる子もいます。
ただし、学校を始めとした社会生活は朝の時間割で動いているので、日中も適応できる身体づくりを目指すのがおすすめ。
時差ボケしすぎないよう、夜型の強みを生かしていくサポートが必要です。
例えば、
・21時以降は読書灯のみつけててもよい。読書や絵を描くなどは22時まで可。
・朝は遅くても9時までには起きる。
・次の日の準備は夜のうちにしておき、朝はゆっくり過ごせるようにする。
夜が強い子は、本人の強みを生かしながら社会と適応もできるような環境づくりが大切になるんですね。
心の時差ボケ、どう対処する?
海外旅行で時差ボケになると、朝なのに眠かったり夜なのに眠れなくなったりしますよね。旅行であれば一時的なものなので解消されますが、デジタル社会による心の時差ボケはこじれると面倒。2学期を気持ちよく迎えられるよう夏休み中からしておきたい対策を考えましょう。
朝仕事をいくつか担当してもらう。
ペットのお世話、郵便物を取りに行く、ゴミ出しをする、洗濯物を干すなど、朝のお手伝いをうまく組み込むと、“朝起きる意味”が見出しやすくなります。
ただお手伝いをお願いしてもなかなか乗り気にならないときは、「お手伝いが完了したらゲームを〇時間してもよい」「お手伝いをこなすごとにポイントが溜まり、ポイントをご褒美と引き換えられる」など、楽しみとセットにするのも◎。
夜はWifiをオフにする。
子どもにゲームやスマホの時間制限をかけても、親がスマホやPCをずっと触っていると子どももモヤモヤしやすいもの。家族全員電子機器から離れる時間を設定する、Wifiをオフにするなどの、デジタルデトックスもおすすめです。
そうはいっても夜に仕事をしなければいけなかったり、大切な連絡を返さなければいけない場合もありますよね。その場合は説明し、別室で行う、「〇時まで仕事をするよ」と声をかけてから行うなどの工夫があると受け入れやすくなります。
リズムの調整は15分ずつ前倒し計画。
2学期直前になって生活リズムをいきなり直そうとするのは至難の業。
夏休みが終わる2週間~10日前から計画的に生活リズムを調整していく必要があります。
寝る時間も起きる時間も15分ずつ前倒しにするなど、スモールステップで調整していくのがよいでしょう。
夏休み、朝予定がないと布団に居続けてしまいますよね。朝の過ごし方についても、布団からでてリビングでゴロゴロする→朝ご飯を家族で食べる→朝のお手伝いをする、などスモールステップで活動的に過ごせるよう調整していけるといいですよね。
生活リズムを夏休みの途中から少しずつ調整することが、子どもにも親にもやさしい方法です。
親子で「整える時間」を共有しながら、新学期を気持ちよく迎えましょう。
yuko/臨床心理士・公認心理師