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新NISA開始から1年、認知度や利用状況は変わった?

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新NISA開始から1年、認知度や利用状況は変わった?

ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行とiBankマーケティングが共同運営する「マネーインサイトラボ」では、デジタル時代における、人々のお金に関する意識・価値観・行動の変化に関する調査・研究を実施し、その結果をご紹介しています。

今回のテーマは「NISA(少額投資非課税制度)の利用実態」です。 2024年1月に新NISAが始まり、同年3月にマネーインサイトラボでは新NISA開始直後のNISAの利用実態調査を行いました。それから1年が経過し、NISAの認知度や利用状況はどのように変わったのでしょうか。

Z世代(19~27歳)、Y世代(28歳~43歳)、X世代(44~59歳)の世代別に調査を実施しました。

2025年4月にアメリカが新たな関税政策を発表したことにより、調査を実施した2025年3月から環境が変化した部分もあるため、それらも踏まえながら調査結果を見ていきたいと思います。

 全世代で認知度9割超、制度内容の理解が進み利用率も向上

まず始めに、NISAの認知度について世代別に1年前と比較すると、やや認知度が低かったZ世代でも知っている人が増え、全世代で9割を超えています。どの世代においても、「制度の内容についておおよそ知っている」の割合が5%以上増えているのに対し、「名前だけ知っている」の割合は減っており、NISAがどのような制度なのか?という内容の理解が全世代で進んだことがわかります。

理解度が向上したことは利用率にも影響を与えているのでしょうか。こちらも世代別に1年前と比較すると、全世代で5%以上利用率が上昇しており、制度の内容の理解度が上がったことが利用率にも反映されているようです。特に、X世代では10%近く上昇しており、資産を持っている分、行動に移している人も多いようです。

逆にZ世代では、他の世代と比べると「利用を検討している」人の割合が高く、投資に対するリテラシーが高くないことや収入や資産が多くないことから、利用については検討に留まっている人が多いのではないかと考えられます。

少額から始められるつみたて投資枠を利用している人が多い

続いてNISAの利用状況を見ていきます。
NISAを始めた時期は、つみたてNISAが開始された頃がどの世代でも50%前後と最も多く、少額からリスクを抑えた投資ができるつみたてNISAができたことがNISAの利用ハードルを下げたことがわかります。つみたてNISA開始頃にはまだ学生や新社会人だったZ世代は新NISA開始以降に利用を始めた人も44.2%と多くなっています。

つみたて投資枠と成長投資枠の利用状況は、つみたて投資枠のみを利用している人が半数以上という結果になりました。つみたてNISA開始時期にNISAを始めた人がそのスタイルで現在も利用しているというケースが多そうです。

特にZ世代では、つみたて投資枠のみ利用している人が7割を超えており、全世代で最も多くなっています。少額からでも始められるつみたて投資枠は、若いZ世代にとって特に利用しやすい制度であることがわかります。

老後や将来のライフイベントに備えた中長期の資産形成に利用

1年前と比較してNISAの利用者は増えており、中でもつみたて投資枠を利用している人が多いことがわかりましたが、どのような理由でNISAを利用しているのでしょうか。世代別の理由TOP5を見ていきます。

X・Y世代は「老後」、Z世代は「ライフイベント」に備えて利用している人が多く、「なんとなく将来が不安だから」も全世代でランクインしています。NISAは中長期の資産形成を目的とした制度でもあり、利用者も長い目線で将来に向けた資産づくりに利用したいと考えている人が多いようです。

また、全世代で「預貯金の金利が低いから」がランクインしており、資産を持っているX世代では43.5%と特に高い割合となっていますが、2024年3月に17年ぶりにマイナス金利政策が解除、その後二度の追加利上げも行われ預貯金の金利は上昇傾向にあります。2025年4月に発表されたアメリカの関税政策の影響で一時的に停滞する可能性はありますが、年単位で見ると利上げが今後のNISAの利用状況に影響してくることも考えられそうです。

NISAを利用している人のほうが資産が増えている

続いて、NISAを利用している人と利用していない人で、この1年の資産の増え方に違いがあったのかを見ていくと、NISAを利用している人は半数以上の人が1年前より資産が増えており、利用していない人と比べるとその割合は20%以上多いことがわかりました。

増えた資産の金額は、増えた資産額が10万円未満の人の割合はNISAを利用していない人のほうが上回っていますが、10万円以上100万円未満の割合はほぼ変わらず、100万円以上増えた人の割合は、どの金額帯においてもNISAを利用している人のほうが多くなっています。このことから、 NISAを利用している人は利用していない人と比べて、資産が増えた人の割合が多いだけでなく、増えた金額も大きいことがわかります。

調査の翌月に発表されたアメリカの関税政策への懸念から一時大幅な株価の下落が見られたため、資産額がこの結果から大きく動いた人も多いかもしれませんが、現在の株式市場は回復の兆しを見せつつあります。

2025年の投資額を減らそうと思っている人はほとんどいない

最後に、NISAを利用している人に、2025年の投資額の方針を聞いたところ、前年から「変えない」と回答した人が57.2%と最も多く、変える予定の人はほとんどの人が「増やそうと思っている」ことがわかりました。

物価高や社会保険料の値上げなど将来や老後資金の不安を感じるニュースが続く中で、消費意欲が低下し、将来や老後のための資金を少しでも増やしたいと考える人は多い傾向にありそうです。

NISAを利用している人は2025年3月までの1年で資産を増やした人が多く、その成功体験から2025年もこれまでと同じ、もしくはより大きな金額を投資に回そうと考える人もいるのではないでしょうか。

ただし、前項にも記載の通り、現在は回復基調にあるものの調査翌月の株価の大幅下落の影響により、その後投資額の方針を再検討した人もいるかもしれません。

また、多くはありませんが、「減らそうと思っている」人も一定数見られます。これは金利が上昇傾向にあることも影響し、投資に回していた資金を一部預貯金にシフトしたり住宅ローンの前倒し返済に回したりしているのではないかと考えられます。

おわりに

今回の調査では、新NISAが開始された1年前と比較して、NISAの認知度や利用状況がどのように変わったのかを見てきました。

NISAの制度内容への理解が深まった結果、利用者が増えていること、NISAは将来のライフイベントや老後を見据えた中長期の資産形成を目的としてつみたて投資を行っている人が多いことがわかりました。NISAを利用している人が利用していない人に比べて資産を増やした1年でもあったようです。

他の世代と比べると若いZ世代のNISA利用率はまだ低く、今後投資の知識や制度の理解がさらに進み、収入が増えていくことで、NISA利用者は増えていくポテンシャルがあると言えます。また、預貯金の金利や住宅ローンの金利が上昇傾向にあること、物価高なども今後のNISAの利用状況に影響する要因となりそうです。

【調査概要】
調査対象:Z世代(19~27歳)、Y世代(28歳~43歳)、X世代(44~59歳)
調査集計期間:2025年3月10日(月)~ 3月24日(月)
調査機関:iBankマーケティング株式会社
調査方法:インターネット調査
有効回答数:9,072サンプル(Z世代 1,192、Y世代 2,602、X世代 5,278)
※各データの内訳は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が必ずしも100%にならない場合があります。

【マネーインサイトラボについて】
マネーインサイトラボは、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行とiBankマーケティングが共同運営するお金に関する調査・研究組織です。デジタル時代における、人々のお金に関する意識・価値観・行動の変化や、新しい金融サービスの可能性について新たな視点を見出すことを目的に活動しています。

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