古古米を美味しく食べる「7:3」の黄金比!
精米と配送のキャパオーバー
井上:3週連続の登場ありがとうございます。今週も毎日お米のニュースが出ていますね。
西島:追加で2021年産と2020年産の備蓄米が発表されましたけど、大手はあまり手を挙げてない。なぜかというと、物流がうまくいってないからなんです。もう精米現場のキャパを超えちゃっているんですよ。精米機って24時間フル稼働でも、備蓄米だけを回せるわけじゃない。他の新米や業務米も並行して精米する必要がある。精米機のキャパ超過が起きてます。
井上:精米が終わっても、今度は配送ですよね。
西島:そう。トラック問題が深刻。重量物なので大型車が必要になる。でも10tトラックのドライバー不足が全国的に慢性化してる。コンビニが赤字覚悟で“1店舗2袋ずつ”配送してるのは、むしろ奇跡的な努力。
犬山:裏でこれだけの苦労があるんですね…。備蓄米が家に届くありがたみ、ちょっと考えさせられます。
古古米は品質維持が上手くいってるけど・・・
井上:では本題! 今日は2022年産備蓄米を取り扱っていきます。
西島:2022年産の備蓄米を、炊飯器(16万円の高級機)で炊きました。
犬山:見た目は新米と変わらない。粒立ってますね。
井上:炊き上がりの香りもそんなに古米臭しません。
西島:2022年産はまだ新しめなので状態はかなり良好。低温倉庫の品質維持が上手くいった証拠です。
犬山:でも一口食べると…やっぱ硬めですね!
井上:そうそう、芯が残ってる感じ。でも嫌な硬さじゃない。むしろ噛み応えあって好きかも。
西島:ただ、備蓄米の欠点も分かってきました。。時間が経つと表面が固くなっていくスピードが速いんです。なので、噛み応えは良くても、冷めると急激に硬化していくんです。
備蓄米を美味しくする「7:3の黄金比」
西島:今回おすすめするのが、備蓄米と家庭米との7:3のブレンド。
犬山:たった3割で変わるんですか?
西島:変わるんです。家庭米が持つ十分な水分・糖化成分が備蓄米の硬さ・香りを緩和し、全体の粘り・甘み・風味が向上する。7:3が誰でも違いを実感できる黄金比。食べてみてください!
井上:見た目が全然違う!確かに食べ比べると全然違う! 甘みが広がるし、ふっくらしてる。
犬山:見た目も全然違うし、お米の甘みも感じられる!
お米の命運を握る──プロが教える「研ぎ方」
西島:お米を研ぐときに水はいらないんです。お米同士が研磨してるシャカシャカ音が大事なんです。
犬山:ずっと水入れてジャブジャブ派でした…。
井上:我が家もです…(笑)
西島:水研ぎ派が多いんです。それだと、かき回してるだけで、研いではなんです。しかも、最初の研ぎで水を使うと、逆に水に臭い成分が溶け出して残りやすい。
井上:たしかにお米を研ぐんだから、水はいらないのか
2020年産の備蓄米を救う「研ぐ」という技術
井上:そろそろ2020年産も市場に出るとか…怖いですね。
西島:正直、ここからは完全に“未知の領域”に入ります。
井上:西島さん的にはどう思いますか?
西島:危険ですね。2021年産でも臭いが強く出ていたので、さらに臭いが強くなるのと、水分はあるんですが、表面の硬さが固くなるので、どんな料理に合うのか分からないですね。ただ、世の中に出るのは、2021年産の取引が終わってからなので、どうなっていくかは分からないですね
井上:でも、別の角度からみると、これだけ前のお米をちゃんと保管できている日本の技術力もリスペクトすべきだなと思います
西島:保管するのにお金もかかっているんでね。最後の最後までおいしく食べてほしいです。そのためにも2021年産で臭いが気になった人は、最初の研ぐ回数を20回から40回、60回に増やすだけでも、臭い対策にはなるので、ぜひ試してほしいですね!
井上:やっぱり、研ぐが大事なんだ!
(TBSラジオ『井上貴博 土曜日の「あ」』より抜粋)