上野天神祭・鬼行列の「蛇」とは? 強さ、おそれの象徴
2025年の干支は「巳(み)」。十二支の6番目で、動物では「蛇」が当てはめられる。だんじりや鬼などで知られる三重県伊賀市の「上野天神祭」を彩る供奉行列には、「蛇」と名の付く鬼面が3種類ある。鬼行列の先頭を行く角を持った白塗りの「悪鬼(真蛇)」が代表的だ。
上野文化美術保存会によれば、鬼行列の目印になる高さ6メートル余りの大御幣が「五大明王」を表し、その力で暴れる悪鬼や他の鬼たちを鎮めているという。
悪鬼は見開いた目と長い歯が特徴的で、嫉妬やねたみを抱えた人間が般若となり、蛇となり、悪鬼になったとされる。鬼や蛇とは言っても悪い存在ではなく、人間から見た強さやおそれの象徴とされているそうだ。
また、鬼行列中盤の通称「ひょろつき鬼」の前と、奴を従え後尾を行く鎮西八郎為朝の更に後ろにも、それぞれ「蛇」と呼ばれる鬼がいる。
同保存会の関係者は「巳年の天神祭は、悪鬼や蛇の面にも注目して見てもらえたら」と話していた。